【日産 スカイライン 新型試乗】往年のわずか2%、日本で売れない理由は…渡辺陽一郎

V6 3.5リットル+ハイブリッドの動力性能

ダイレクトアダプティブステアリングの恩恵

中高年齢層のクルマ好きには、懐かしい雰囲気も

日産 スカイライン 新型(GT Type SP ハイブリッド)
日産 スカイライン 新型(GT Type SP ハイブリッド)全 14 枚

2019年における『スカイライン』の登録台数は、1か月平均で300台少々だった。最も多く売れた1973年には「ケンメリ」の4代目が1か月平均で1万4500台を登録している。

2019年に小型/普通車の販売1位となった『プリウス』の1万500台を上まわり、2019年の現行スカイラインに比べると50倍近い売れ行きだった。逆に2019年は、1973年の2%に過ぎない。

今のスカイラインが北米などの海外指向を強めたのは確かだが、そこまで国内市場に合わないのか? マイナーチェンジを受けて「プロパイロット2.0」を装着した「ハイブリッド GT タイプSP」を試乗した。

V6 3.5リットル+ハイブリッドの動力性能

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現行型の発売は2013年だから、インパネ周辺のデザインは古典的だ。それでも視認性と操作性に不満はない。前席の座り心地もLサイズセダンとして満足できる。

ハイブリッドシステムは、V型6気筒3.5リットルエンジンの後部に、発電と駆動を兼ねる1個のモーターを組み合わせた。エンジンとモーターの間にクラッチが備わり、モーターのみを駆動する時はエンジンを切り離す。

3.5リットルエンジン+モーター駆動だから動力性能は高い。巡航中にアクセルペダルを軽く踏み増した時は、モーターの駆動力が瞬時に強まり、変速は行わず速度をスムーズに高める。高回転域ではノイズは増すが、粗い音質ではない。

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ダイレクトアダプティブステアリングの恩恵

メカニズムでは、ダイレクトアダプティブステアリングにも特徴がある。ステアリングホイールの動きを電気信号に変換して、前輪の操舵を行う。発売当初は反応が機敏過ぎて操舵感が不自然だったが、今はダイレクトな演出を抑えて自然な印象に近付けた。Uターンのためにステアリングホイールを一杯に回すと、引っ掛かるような手応えを感じるが、この機会は稀だ。

そしてダイレクトアダプティブステアリングは、高速道路上で手離しの可能な運転支援機能のプロパイロット2.0を洗練させた。進路の細かな調節をステアリングホイールの動きに反映させず、滑らかに動かしているからだ。

ドライバーが自分で運転している時は、無意識に進路を細かく調節しているのに、同じことをクルーズコントロールが行ってステアリングホイールが自動的に細かく動くと、ドライバーは車両の動きがギクシャクしている気分になる。そこを抑えた。

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中高年齢層のクルマ好きには、懐かしい雰囲気も

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プロパイロット2.0で注意が必要なのは、高速道路の工事区間に差し掛かった時だ。規制速度が60km/hまで下がると、プロパイロット2.0も、標識を読み取って規制速度まで減速しようする。その結果、後続車に接近されやすい。これは車両の責任ではなく、表示が唐突に変わる規制速度に問題があるが、注意が必要だ。

スカイラインはデザインや少し硬めの乗り心地が古典的に感じたが、中高年齢層のクルマ好きには、懐かしい雰囲気もある。プロパイロット2.0は、高速道路の長距離移動を快適にして安全性も高める。売れ行きが1973年の2%に低迷する背景には、メーカーのアピール不足もあるだろう。もう少し売れて良いクルマだ。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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