【アルピナ XD4 新型試乗】他メーカーの“シームレスな加速感”とは次元が違う…九島辰也

アルピナ XD4
アルピナ XD4全 22 枚

アルピナが2モデル目となるSUVをラインナップに加えた。今回試乗した『XD4』である。ご覧のようにベースになるのはBMW『X4』、クールなSUVクーペだ。

お互いリスペクトし合うアルピナとBMW

ご承知のようにアルピナはBMWのモデルをベースとする。そもそもはチューナーであったが、すでに自動車メーカーとして登録されから40年近く経っている。その実力はBMWも認めていて、物流システムで提携しているほど。というか、ドイツでのアルピナ車の多くはBMW販売ネットワークで売られる。それだけ両者の信頼関係は深いということだ。

個人的に20年以上双方の関係を見てきたが、お互いリスペクトし合っている気がする。アルピナのモデルにBMWのマークが貼られているのがその証拠。BMW側としてもアルピナを認めていなければ、貼ることを許さないだろう。ちなみに、日本には世田谷にアルピナ専門のショールームがあるが、これは世界で初の試みだそうだ。それだけ日本にアルピナファンが多いことを意味している。

アルピナ XD4アルピナ XD4
そんな背景があるだけに、XD4にはアルピナオリジナルの技術がてんこ盛りされていて、そのテイストを味わうことができる。例えばエンジン。長年BMWエンジンを手掛けてきた彼らはその全てを知り尽くしている。なので、その特性を活かしながらどうアルピナの哲学に見合ったモノに仕上げるかを日々研究し、それを具現化した。精度の高いオリジナルパーツの製造、熟練クラフトマンによる手作業での組み上げなど、知れば知るほど驚くことばかりだ。

どの回転域からも自然にパワーを引き出す

アルピナ XD4アルピナ XD4
XD4はその名のとおりディーゼルユニットが搭載される。3リットル直6コモンレール式ダイレクトインジェクションをベースに4基のターボチャージャーでパワーを引き出すという仕組みだ。高圧ステージに2基、低圧ステージに2基と、全領域をカバーする。

それじゃこれを実際に走らせるとどうか。結論から言うと、このエンジンはとても自然な加速フィールで、どの回転域からもシームレスにパワーを引き出す。最近多くのメーカーが「シームレスな加速感」を強調するが、それとは次元が違う。スタートからターボラグはほぼゼロで、よく回る大きなエンジンを動かしているような気がする。ある意味かなり個性的だ。

エンジンだけじゃない。このフィーリングはZF社と共同開発したアルピナ・スウィッチ・トロニック付き8速ATとも関係する。ドライブフィールを演出しながらの上品な変速はまさにアルピナの世界。彼らの目指している走りを体感できるのはこのギアボックスが大きく貢献していることだろう。

ゆったり感はまさにアルピナマジック

アルピナ XD4アルピナ XD4
個人的にアルピナを乗るたびに楽しみにしているのは乗り心地だ。アルピナ・スポーツサスペンションは、“スポーツ・プラス”でシャープなハンドリングを楽しませながら、“コンフォート・プラス”ではまるでフルサイズサルーンのような上質で快適な乗り心地を提供してくれる。これぞアルピナの醍醐味。それほどロングホイールベースでもなければ22インチのロープロファイルタイヤを履いているのだから不思議だ。このゆったり感はまさにアルピナマジックと言いたい。

と言うのが今回のショートインプレッション。およそ半日かけて都内から湘南エリアをテストドライブした。年に数回だが、毎回感じるのは身体に馴染むドライブフィール。返却時間が迫って来ると寂しくなるクルマはそうそう出会わない。

アルピナ XD4アルピナ XD4

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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