【ボルボ XC90 D5 AWD Rデザイン 新型試乗】イケメンなのに優しくて力持ち、ディーゼル×スポーティーなボルボ登場…河西啓介

なぜボルボは快適なのか?

ホイールは22インチ!

望外にしなやかな乗り心地

“純内燃機”ボルボを楽しむなら…

ボルボXC90 D5 AWD Rデザイン
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なぜボルボは快適なのか?

コロナウィルスの脅威がすさまじい。感染を恐れ公共交通機関での移動を控える人がいるいっぽうで、必然的にクルマでの移動を選ぶ人が増えている。とくに東海道新幹線利用者の激減と、東名高速の混雑ぶりが表すコントラストはわかりやすい。東日本大震災のときも然りだが、有事のさいには往々にして、自動車の「カプセル」としての安全性が見直される。

そんなことを思うとき、ふとボルボのエンジニアから聞いた話を思い出す。「スウェーデン人は厳しい冬のあいだ、家の中でいかに快適に過ごすかを考えている。ボルボのインテリアが居心地よく快適なのは、家の中と同じように快適に過ごせるように考えているからだ」と教えてくれた。今回、あらたに発売された、ボルボ『XC90 D5 AWD Rデザイン』に乗ったときも、最も印象に残ったのは、スポーティーなエクステリアや大きな22インチホイールのことではなく、ベージュのレザーで覆われた明るく気持ちの癒やされるインテリアだった。

ホイールは22インチ!

2013年に登場した現行XC90は、「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャ)」と呼ばれる新たなプラットフォームをつかった新世代ボルボの先駆けだった。以来、『V90』、『XC60』、『V60』、『XC40』(こちらはCMAと呼ばれるコンパクトなプラットフォームを採用するが)など、ニューモデルは軒並みヒット作となり、今やボルボはプレミアムカー市場で最も勢いのあるブランドとなった。

ボルボ車の世代交代がひと回りし、2周目に向かおうといういま、つまりXC90は熟成を重ねた“完熟”状態にあると言っていい。昨年夏にマイナーチェンジを受けたが、フロントグリルと前後バンパー、アルミホイールのデザインが変更され、運転支援システムがアップグレードされた程度の小変更で済まされている。

今回の「D5 AWD Rデザイン」は、2リットル直列4気筒ディーゼルターボを積む「D5」に設定されたスポーティーな特別仕様。専用のグリルとフロントバンパー、外装の各部に光沢のあるブラックのパーツが与えられ、足もとには22インチの専用ホイールが与えられているのが特徴だ。

望外にしなやかな乗り心地

車内に乗り込むと、上質なレザーを使った明るいインテリアが印象的だ。「ブロンド」と呼ばれるこの内装カラーは新色なのだという。サイドサポートが張り出したスポーティーなシートに座ってエンジンを始動すると、一瞬、ディーゼルとわかるノイズが微かに聴こえるが、いざ走り出してしまえば、まったく気にならなくなる。

スポーティ仕様とはいえ、乗り味はゆったりとした“ボルボ流”だ。感心したのは22インチの大径ホイールに275/35R22のタイヤを履いているとは思えない、しなやかな乗り心地。ちなみに試乗車はオプションの電子制御式エアサスペンションを装備していた。「comfort」「eco」「dynamic」「off road」「individual」の5つから選べる。ドライブモードを標準のコンフォートからダイナミックに変更すると、エンジンの反応が鋭くなり、足まわりも少々引き締まるが、とはいえあからさまに「硬くなった」感がないのは、やはりボルボらしいところだ。

“純内燃機”ボルボを楽しむなら…

つまりこの「D5 AWD Rデザイン」は、見た目はかなり精悍かつスポーティに仕立てられているが、それによって失っているものはない。イケメンでありながら、力持ちで、性格は穏やか……なのである。959万円という価格も、上級グレードの「Inscription」より20万円安く設定されているから、装備を考えれば“お買い得”と言える。

今後、ボルボはすべてのモデルをEVまたはハイブリッドカーにすると宣言している。つまり“純内燃機エンジン”のボルボを味わえるのは、いまが最後の機会とも言えるのだ。最新のXC90に乗りながら、そんなことも考えた。この「D5 AWD Rデザイン」、見た目やスタイルが気に入れば、手に入れて後悔はないだろう。

5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア/居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

河西啓介|編集者/モータージャーナリスト
自動車雑誌『NAVI』編集部を経て、出版社ボイス・パブリケーションを設立。『NAVI CARS』『MOTO NAVI』『BICYCLE NAVI』の編集長を務める。現在はフリーランスとして雑誌・ウェブメディアでの原稿執筆のほか、クリエイティブディレクター、ラジオパーソナリティ、テレビコメンテーターなどとしても活動する。

《河西啓介》

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