【インディアン FTR1200ラリー 試乗】舗装路もサーキットもガンガン走れるストファイ系のキャラクター…丸山浩

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旋回中も足回りが踏ん張るので、きちんと向きを変えていける
旋回中も足回りが踏ん張るので、きちんと向きを変えていける全 46 枚

皆様こんにちは!プロレーサー、テストライダー・ドライバーの丸山浩です。

今回インプレをお届けするのはインディアンモーターサイクルの『FTR1200ラリー』。「はて、インディアン?」とご存じない方向けにザクッと説明しますと、インディアンはアメリカ最古のバイクブランドで、その興りはなんと100年以上昔。長い歴史の中で紆余曲折もありましたが、クルーザータイプ、いわゆるアメリカンなバイクの源流にあったメーカーです。

でもこのFTRってマシン、アメリカンっぽくないよと思うでしょう。実はこれもれっきとしたアメリカンスタイルで、あちらで人気のダートトラックレーサーが概ねこんな形。未舗装のフラットなオーバルトラックをグルグル走るレースで、数年前にインディアンが久方ぶりに復帰したら、いきなり勝っちゃったなんてことがありまして、その時のワークスマシンをイメージしたのがこの『FTR1200』というわけ。さしずめFTR=Flat Track Racerってところでしょう。

よりトラディショナルなルックスを与えられた『FTR1200ラリー』

インディアン FTR1200ラリーインディアン FTR1200ラリー
『ラリー』はスポークホイールにブロックタイヤ、専用シートなどなど、よりトラディショナルなルックスを与えられたモデル。ハンドルバーは悪路でのコントロール性向上を狙ってスタンダードよりも2インチ高く設定されている。跨って手をのばすと、身長168cmの私で上半身ほぼ直立状態のままハンドルを握れる高さ。グリップ位置は肩幅から拳半個分外に出るくらいで、本気ダートトラッカーほど幅広というわけではないが、上体の自由度もあるので確かに扱いやすそうだ。

Vツインらしく、タンクからシートにかけての太ももで挟み込む部分はスリムで、停車時も足をスッと下ろせる。右側にはエキゾーストパイプの存在感があるが支障無し。しかしシート高は840mm、私の体格だと両つま先がバレリーナだ。シート座面は広く、前方がやや盛り上がった形状。これなら腰を引いての前傾ポジションも取りやすいし、大柄なライダーでも窮屈さは無いだろう。

レトロな雰囲気を醸し出す車体の各部を見ていくと、倒立フォークにラジアルマウントキャリパー、前後LEDライトやUSB電源ソケットなど、随所の装備は最新。果たして走りの雰囲気はどっち寄りに味付けされているのか、まずは公道からテストしてみよう。

低速域と高速域でキャラクターが変わっていくエンジンフィール

高速に入るとよどみなく加速する水冷4stV型2気筒エンジン高速に入るとよどみなく加速する水冷4stV型2気筒エンジン
ストリートはさすが1,203ccの大排気量、2,000rpm以下でシフトアップしても余裕の走り。Vツインのドコドコ感がひたすらに気持ち良い。アップライトなポジションは街中を流すのにすこぶる楽で、気を張るのは停車時のバレリーナのみ。飛ばさずにゆったりゆっくり、エンジンフィールを楽しみながら走るのが最高。これぞVツインの醍醐味、まさしく伝統のインディアンである。

ところがどっこい、高速に入るとこの水冷4stV型2気筒、最高出力123馬力のDOHCなので、回るし速い。アクセルを開ければ8,000rpmまで、よどみなくズドーンと加速。フロントもあっさり浮いてくる。回すほどパワーが出てくるフィーリングは、もはやスポーツバイクのエンジンだ。街中では低回転でガチャーン、ガチャーンとしたメカメカしさを楽しんでいたシフトフィールも、上を回せばスムーズに繋がっていく。

1,203cc水冷4stV型2気筒エンジン1,203cc水冷4stV型2気筒エンジン
ノスタルジックなクルーザー的キャラクターと思いきや、走り回って楽しいストリートファイター系でもあったのか!なるほど、であれば今回もサーキット試乗が予定に組まれていたことに納得である。『FTR1200ラリー』の真のハンドリングはいかなるものか、袖ヶ浦のコースアタックいってみよう!

ブン回せるエンジン。旋回中も踏ん張る足回り。こいつは最新のスポーツバイクだ

インディアン FTR1200ラリーインディアン FTR1200ラリー
クローズドコースのスピードレンジで際立ったのは、やはりエンジン。下からトルクがあるので、コーナーでシフトをサボっても2~4,000rpmから問題なく立ち上がる。むしろ頑張ってギアを落とし過ぎると、コーナー出口でフロントが軽々浮くほどパワフル。しかもハイレスポンスなので、一気に上がるウイリーアングルをキープするのは中々に難しい。

そして最高に気持ちいいのがパワーの伸びだ。7~8,000rpmまで回してもグングン加速していく。袖ヶ浦のホームストレート約300mを、全開200km/h超えで最後まで頭打ちせずに引っ張り切れる。サーキットを楽しめるマシンか否かは、まずエンジンをブン回せるかどうか。その点では予想外というのもあるが、ハナマルをあげても良いレベルだ。

旋回中も足回りが踏ん張るので、きちんと向きを変えていける旋回中も足回りが踏ん張るので、きちんと向きを変えていける
ブレンボのラジアルマスター&キャリパーのフロントブレーキシステムは柔らかいタッチでコントローラブル。制動力はと言うと、最大値に到達する前にタイヤが負け始める。なので、ブレーキレバーを握ったままコーナー奥まで突っ込むような、フロント旋回力を引き出す走りは流石に出来なかった。しかしだ、コーナー進入でバンクしつつブレーキをリリースすればどうだ、スッとフロントの舵角が入ってくるのだ。

醸す雰囲気からはクルーザーチックな、寝るばっかりでベターっと曲がらないハンドリングをイメージしていたのだが、袖ヶ浦の高速コーナーでも存外なほどクルクル曲がる。旋回中も足回りが踏ん張るので、きちんと向きを変えていけるのだ。そこから立ち上がりに向けてアクセルを開けていくと、深いバンク角からリアをスーッとキレイに滑らせていける。

インディアン FTR1200ラリーインディアン FTR1200ラリー
また、低速ヘアピンでは、流れるリアを止めるべくマシンを起こせば瞬時にウイリーへと移行。サスペンションダンパーの効きも良く、スライド時の安定性、ギャップやキックバックの収束が早い。これほどのパフォーマンスあるハンドリング、シャーシ全体のディメンションは最新のスポーツバイクのそれだ。リアスライドっぷりについてはコントローラブルなタイヤ特性もあるだろうが、このブロックパターンでしっかりスポーツできるのだから、よりドライグリップに特化したタイヤを選べば更にプッシュした走りも出来そうだ。

なおポジションについては、ハングオンでサーキットを攻めるにはいささかハンドルが高く、特にアクセル側・右肘のポジショニングが迷子になりがち。だがこのハンドルには別の楽しみ方があるッ!直線では左手でハンドルの根本を逆手で掴みつつタンクを抱え込んで、フラットダートレースごっこだッ!どうだい、カッコいいだろぉ?(笑)これはやっぱりFTRじゃないとキマらないよね~。

最高に気持ちいいのがパワーの伸び最高に気持ちいいのがパワーの伸び

FTRフェアを開催中!フラットダートレースごっこをするなら今がチャンス!

というわけで、FTR1200ラリーは舗装路でもガンガン走れる、けれどタイムを狙うよりは自在なマシンコントロールを楽しむスタイルが似合う、ストファイ系のキャラクターだった。以下補足。意外にクルーズコントロールが操作も簡単で便利、但しエンジンレスポンスが良過ぎて高速じゃないとギクシャクするから注意。ウインドスクリーンはデザイン的おまけ、全身で風を感じて疾走するのだ!ラスト、タンク容量は13Lなのでロングツーリングでは早目の給油を。

最後に、インプレを読んでくれてテンション高まっちゃったそこの貴方に耳寄りなお知らせ!FTRシリーズを試乗できるフェアが、インディアン正規ディーラー各店で開催されているとのこと。期間は7/4~7/31、フラットダートレースごっこをするなら今がチャンスだぞ!

7月4日~7月31日までFTRフェアを開催中。ディーラーへ行ってFTRシリーズをこの目で確かめよう!7月4日~7月31日までFTRフェアを開催中。ディーラーへ行ってFTRシリーズをこの目で確かめよう!
インディアン FTR 1200ラリーの詳細はこちら
インディアン公式ホームページ(FTRフェア情報もこちら)

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

《丸山浩》

丸山浩

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー 1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

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