日本で最も愛されるフランス車? ルノー カングーとそのルーツ【懐かしのカーカタログ】

ルノー・カングーとそのルーツ
ルノー・カングーとそのルーツ全 10 枚

ルノー『カングー』はもともと商用車を出自とするモデル。けれど実用性の高さとポップなキャラクターは、日本でも多くのファンに愛されている。そんな『カングー』の足跡を振り返ってみたい。

4、4F/4(1961年)

ルノー 4、4F/4(1961年)ルノー 4、4F/4(1961年)
『4CV』(日本では『日野ルノー』として知られる)の後継車として登場した『4』は、ルノー初のFF車で、合理性を絵に描いたようなハッチゲート付きの2ボックスだった。その『4』をベースにフルゴネット(屋根付きのバン、貨物車のこと)に仕立てたのが『4F 4』。フロントドアまでまで『4』の外観を活かし、後部に箱形のボディを組み合わせたもの。

カタログの白いクルマの写真でもわかるように、バックドアは横開きのドアとルーフ部の一部が上にはね上がる仕掛け。ちなみにリヤサスペンションの横置きトーションバーを水平に前後に並べて配置した設計上、ホイールベースは左右で(50mm)異なっていた。

エクスプレス(1985年)

ルノー エクスプレス(1985年)ルノー エクスプレス(1985年)
『4F/4』の後継車種として登場したのがこの『エクスプレス』。日本では“窓あり”の乗用車タイプがおなじみだが、ほかにパネルバン、ピックアップトラックのバリエーションがあった。『シュペールサンク』をベースにハイルーフ化し、箱形のボディを後部に繋げたスタイルは『4F/4』と同じ。

バックドアは観音開きのドアとルーフの一部も開閉する、いわゆる3方開き。カタログの日本仕様では1.4リットルのガソリン車のほか、1.6リットルのディーゼル車も用意された。乗車定員は5名になり、シフトレバーはフロアシフトに進化している。

ルノー エクスプレス(1985年)ルノー エクスプレス(1985年)

カングー(初代・1997年)

ルノー カングー(初代・1997年)ルノー カングー(初代・1997年)
『カングー』名義の初代モデルは1997年に登場。日本仕様は2002年3月の発売だった。当時の広報資料には「ハイトワゴンタイプモデルとしては、日本の輸入車市場初」とあり、当初はハネ上げ式のバックドアを設定。このモデルは短期間のうちにマイナーチェンジを受け、フェイスリフトを経て、いわゆる観音開きのダブルバックドアのみの設定に。

ルノー カングー(初代・1997年)ルノー カングー(初代・1997年)
1675mmの全幅、3995mmと4mを切るコンパクトなボディに、後部には“ドゥン!”と頼もしい音をたてて閉じるスライドドアを装備。大空間の室内には、オーバーヘッドに棚や物入れを備えるなど、人気が出て当然の実用的で楽しげなファミリーカーだった。

カングー(2代目・2009年)

ルノー カングー(2代目・2009年)ルノー カングー(2代目・2009年)
2代目の『カングー』の最初のモデルは、2009年に日本市場にお目見えした。全長4280mm、全幅1830mmと初代に対しボディサイズが拡大したことがファンの間でも話題となったが、これは幅1mの“ユーロパレット”の積載が前提だったため。とはいえそのおかげで室内空間はいちだんと大きくなり、広くフラットなラゲッジフロアは、さらに使い勝手が向上。ダブルバックドアは、開く角度を2段階に調節可能だった。

ルノー カングー(2代目・2009年)ルノー カングー(2代目・2009年)
航空機の操縦桿のようなパーキングブレーキレバー、24.4リットルのオーバーヘッドボックス、ステアリングコラム右奥のサテライトスイッチなど、シンプルながら実用的な装備も搭載。2010年には全長とホイールベースの短い「ビボップ」も設定された。特別仕様車が多数、設定されているのも特徴だ。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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