東京メトロに新型車「17000系」登場、お披露目---営団7000系を置き換え

東京メトロ 有楽町線&副都心線用17000系
東京メトロ 有楽町線&副都心線用17000系全 20 枚

南は東急東横線・横浜高速みなとみらい線、北は西武池袋線・東武東上線などとつながる、東京メトロ 有楽町線・副都心線。5社7線、8形式の電車が行き交うこの路線に、新たな形式が2021年2月から走り出す。

東京メトロ「17000系」。登場から46年が経つ有楽町線・副都心線「7000系」の後継として登場し、現在、8両編成15本120両、10両編成6本60両ある7000系を、同じ本数・両数の17000系で2022年度までに置き換える。現在の主力「10000系」(10両編成36本360両)の登場からも14年を経ての新型車導入だ。

8月11日に新木場車両基地(東京都江東区)で東京メトロが公開した17000系は、いまある10両編成2本のうちの1本、17101編成。編成はモーターつき車(M)が4両、なし車(T)が6両の4M6Tで組む。今回みた17000系10両編成は日立製作所のA-trainプラットフォームで、オールアルミニウム合金ダブルスキン構体を採用した。

このあと出てくる8両編成は、東急東横線内にある有効長8両ホームに対応させた組成で、近畿車輛でつくるという。

走り・制御・保安装置

運転室に入ると、「東武」「ATC」「西武ATS」といったスイッチがある。これらは他社線へ直通するためで、ATC(自動列車制御装置)はCBTC(無線列車制御システム)準備対応、T-D-ATC(東武)も積む。西武型ATS(自動列車停止装置)、ATOなども搭載する。車両担当者は「相鉄・東急直通線をみすえた直通機器はない」とも話していた。

また、安全・メンテナンス面では、自車両の機器状態を、総合指令所や車両のメンテナンスを行う部署から遠隔でモニタリングする TIMA システム(Train Information Monitoring and Analysis system:車両情報監視・分析システム)や、脱線した場合にも自動で列車を停止させる脱線検知装置などを搭載する。

床下の走行機器をみると、高効率な永久磁石同期電動機 PMSM(Permanent Magnet Synchronous Motor)や、シリコンカーバイド SiC素子を利用した制御装置、三菱電機のロゴがつくVVVF制御装置の箱がみえた。車両担当者はこう話す。

「有楽町線・副都心線とその前後でつながる路線の途中には、急曲線や急勾配がある。いま新たな車両をつくるときは、床下機器の配置を工夫して、すべての車輪にバランスよく荷重がわたり、安定した走りをめざす。だから床下機器のレイアウトにmm単位で設定している部分もある」

外観・客室・快適装備

東京メトロ 有楽町線&副都心線用17000系東京メトロ 有楽町線&副都心線用17000系外観で最初に目にとまるのが先頭の顔。JRや東急の最近の車がホームドアの上を照らすようにヘッドライトがルーフ部分の高さにあるのに対し、東京メトロ17000系は7000系、10000系と同様に“腰高”にランプを置く。

丸形ヘッドライトは、7000系や10000系を連想させるデザインにし、拡散用4灯+集光用6灯のLED、そしてその下に尾灯がセットされている。その雰囲気は、7000系や10000系にはない、クルマのLEDコンビネーションランプに似ている。

車内は、有楽町線・副都心線のラインカラーの色彩に同調させたデザインで、ホワイトの化粧板が印象的。最近の東京メトロ車と同様、連結面・座席横の仕切り・荷棚に透明強化ガラスを採用し、車内に開放感を与えている。

また、7000系と比較して車両の床面高さを低くし、車両とホームの段差解消も図る。7000系は床面高さ1200mm、17000系は1140mmとし、60mm低くした。ドア靴摺(ステップ)にホーム側にむけて10度落ちる傾斜もつけた。ステップの傾斜は東京メトロ車初の採用。

各車両1か所設置したフリースペース(車椅子、ベビーカー、大型荷物向け)近くの乗降ドア床のドアレールは、車いすやベビーカーなどが通過しやすくよう、一部を切り欠いた。これは「13000系」に次いでの採用だ。隙間風を考慮すると全てのドアに設置するのは難しいようだ。

17000系では冷房能力も向上。7000系の48.9kWから、58.0kWにし、快適性もアップ。座席幅も、7000系の430mmから30mmプラスの460mmに拡大した。

いよいよ走り出す、有楽町線・副都心線の新型車両17000系。まずは9月から乗務員訓練、10月から日中に試運転を始め、2021年2月に営業運転に入る。

《レスポンス編集部》

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