マクラーレン 620R、レーシングカーの公道バージョンに「Rパック」…欧州などで設定

マクラーレンF1 GTRに触発されたカーボン製ルーフスクープ

最大出力620psのV8ツインターボ搭載

ピレリ製のセミスリックタイヤ

超軽量カーボン製レーシングシート

マクラーレン 620R の Rパック
マクラーレン 620R の Rパック全 21 枚

マクラーレンオートモーティブは9月9日、『マクラーレン620R』(McLaren 620R)に、欧州などで「Rパック」を設定した、と発表した。

マクラーレン620Rは、レーシングカーのマクラーレン『570S GT4』の公道バージョンとして開発された。クーペボディのみを設定し、サーキットと公道の両方で、レーシングカーのエクスペリエンスを提供することを目指している。

マクラーレンF1 GTRに触発されたカーボン製ルーフスクープ

このマクラーレン 620Rに、Rパックが欧州などで設定された。オーダーメイド部門の「マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ(MSO)」が開発した専用パーツが装着される。このオプションパッケージには、設計とエンジニアリング面でいくつかのアップグレードが含まれており、マクラーレン史上、最もサーキット重視の「スポーツシリーズ」のドライビングエクスペリエンスを、さらに強化するという。

マクラーレン 620R の Rパックマクラーレン 620R の Rパック

Rパックには、光沢仕上げのカーボンファイバー製ルーフスクープが装着される。チタン製の「スーパースポーツ」エキゾーストには、グロスナノブラックフィニッシャーが付く。カーボンファイバー製フロントフェンダールーバーも、グロス仕上げだ。カーボンファイバー製インテリアパックも、採用されている。

グロス仕上げのカーボンファイバー製ルーフスクープは、伝説的なマクラーレン『F1 GTR』の「ロングテール」に触発されたものだ。このルーフスクープに、「マクラーレン・トラック・テレメトリ(MTT)」システムと連動して作動するカメラを取り付けて、サーキット走行を記録することもできる。

マクラーレン 620R の Rパックマクラーレン 620R の Rパック

MSOのチタン製スーパースポーツエキゾーストは、他のスポーツシリーズのエキゾーストオプションよりも、サウンドレベルが最大5デシベル大きい。よりシャープで個性的なエキゾーストノートを発するという。

MSOの光沢仕上げのカーボンファイバー製フロントフェンダールーバーは、620Rのフロントに印象的な視覚効果を発揮する。カーボンファイバー製のインテリアパックは、サーキット仕立てのインテリアを補完する装備となる。Rパックの英国本国での価格は、車両本体に2万5000ポンド(約340万円)の上乗せ。個別に購入した場合よりも大幅にコストを抑えているという。

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最大出力620psのV8ツインターボ搭載

570S GT4と同じく、620Rにはカーボンファイバー製の「モノセル2」シャシーを使用する。このモノセル2が、車両の剛性と軽量化の基盤になるという。620Rの乾燥重量は1282kgに抑えられる。

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620Rには、570S GT4と同じ「M838TE」型3.8リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンが搭載される。620Rでは、レースのレギュレーションが適用されないため、エンジンECUとターボチャージャーのチューニングを変更することにより、最大出力620psを獲得する。歴代のスポーツシリーズ車で、最もパワフルという。

また、このエンジンは、最大トルク63.2kgmを発生する。トランスミッションは7速「SSG」(シームレス・シフト・ギアボックス)だ。0~100km/h加速は2.9秒、0~200km/h加速は8.1秒。最高速は322km/hに到達する

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ピレリ製のセミスリックタイヤ

620Rのサスペンションは、ドライバーが運転スタイルとサーキットの特性に合わせて、減衰力を調整できる。ダンパーは、通常のスポーツシリーズよりも6kg軽量とした。マクラーレンの最新の軽量ブレーキシステムを装備しており、カーボンセラミックディスクは、フロントが直径390mm、リアが直径380mmだ。鍛造アルミ製ブレーキキャリパーを組み合わせ、ペダルのレスポンス、サーキットでの耐フェード性を高めている。

マクラーレン 620R の Rパックマクラーレン 620R の Rパック

620Rには、ピレリ「Pゼロ・トロフェオR」のセミスリックタイヤを標準装備する。オプションで、フルスリックモータースポーツタイヤが選択できる。ピレリのモータースポーツチームによって、マクラーレン向けに特別開発されたスリックタイヤは、620Rのブレーキとサスペンションを補完するように設計されており、横方向のGフォースを増加させ、ラップタイムを短縮させる。サイズは、フロントが19インチ、リアが20インチを履く。

エアロダイナミクスに関しては、570S GT4と同じ角度調整可能なカーボンファイバー製リアウィングを装着する。抗力を最小限に抑えながらダウンフォースを増加させるという。角度は3段階に調整できる。フロントバンパー、リップスポイラー、ボンネットは、620R用に再設計された。エアロブレードと専用デザインのリップスポイラーが装備される。カーボンファイバー製ボンネットには、ダウンフォースを引き上げ、車の上部の空気の流れを最適化する2つのダクトが設けられた。

マクラーレン 620R の Rパックマクラーレン 620R の Rパック

超軽量カーボン製レーシングシート

インテリアは、フロアカーペットやグローブボックスを未装備とした。エアコン、「IRIS」ナビゲーション、オーディオシステムも付かないが、無償オプションで装備することができる。軽量な「Bowers&Wilkins」オーディオシステムは、オプションで選択できる。

マクラーレン 620R の Rパックマクラーレン 620R の Rパック

シートは、超軽量カーボンファイバー製レーシングシートで、6ポイントレーシングハーネスを標準装備した。ステアリングホイールには12時の位置に赤いマークが施される。バケットシートに体を固定した状態で、ドアを閉めるのに役立つドアプルストラップが採用された。パドルシフト、ステアリングホイールスポーク、センターコンソールなどには、カーボンファイバー製トリムが装着される。

標準設定のボディカラー3色は、GT4のレーシングカーにインスパイアされたものだ。マクラーレンオレンジに白いストライプ、シリカホワイトにオレンジストライプ、オニキスブラックにオレンジストライプの組み合わせとなる。ゼッケンナンバーのデカールはオプションだ。マクラーレン『セナGTR』にインスパイアされたカラーリングも選択できる。

マクラーレン 620R の Rパックマクラーレン 620R の Rパック

なお、620Rは英国サリー州ウォキングのマクラーレンプロダクションセンターにおいて、手作業で225台を組み立てる計画だ。

《森脇稔》

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