【トヨタ RAV4 PHV 新型試乗】欲しいをすべてつぎ込んだ 理想(?)のクルマ…諸星陽一

トヨタ RAV4 PHV
トヨタ RAV4 PHV全 12 枚

1994年に登場した『RAV4』は3代目までを日本で発売、4代目は海外専用モデルとしていたが、5代目をふたたび日本に導入、シリーズ途中でPHVを追加した。

今、人気のクルマといえば軽自動車ではスーパーハイトワゴン、登録車ではなんといってもSUVとなる。もうこれは世界的な流れで、今やSUVをラインアップしないメーカーはフェラーリ、ロータス、マクラーレンなど数えるほど、それも少量生産メーカーだけとなっている。

トヨタ RAV4 PHVトヨタ RAV4 PHV
RAV4はまずピュアエンジンモデルとハイブリッドモデルを導入し、その後にPHVが追加された。もともとRAV4のパッケージングのよさ、オンロード、オフロード通じての走りのよさは確認したので、今回のPHVの追加にも期待が膨らんだ。

注目のハイブリッドユニットは177ps/219Nmの2.5リットルガソリンエンジンに、フロント182ps/270Nm、リヤ54ps/121Nmのモーターを組み合わせた4WD方式。フロア下に収められるバッテリーはリチウムイオンで容量は18.1kWh。この容量は初代リーフの75%にあたる。

胸のすく気持ちのいい走り

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バッテリーが充電されている場合、走りは基本EVだと言っていい。停止状態からアクセルペダルをグッと踏み込むとEVらしい力強い加速を味わうことができる。余分なノイズを発生せずにグングンスピードを上げていくEV独特の感覚はじつに不思議な世界だ。強い加速感は発進時に限ったものではなく、高速道路の追い越し加速でもかなり力強く、そして胸のすく気持ちのいいものであった。

今回の試乗時でエンジンが始動したのは登り坂で負荷が増えたときであった。高速道路をACCを使って走っていると、登り坂になったときにエンジンが始動した。エンジン始動については体感できるタイプのものだが、それに伴うショックや段付き感はなく、スムーズで不快とはならない。

ハイブリッドに比べて車重が200kg増となるが、その大きな要因であるバッテリーは床下に収められるため、重心そのものはダウンしてハンドリングは向上する。とくに高速コーナーは気持ちのいいコーナリングが可能で、長距離移動の際に現れる山あいの高速道路での走りは楽しいものとなりそうだ。

急速充電を装備しない理由

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充電については普通充電のみの設定で、急速充電は備えない。急速充電を採用しなかった理由は車両本体価格のアップを招くとともに、PHVが高速道路などの急速充電スタンドを使うことでEVの充電を邪魔しないようにしたかったということがある。

また走行用バッテリーから100V電源を1500W分取り出すことも可能。この取り出しにはラゲッジルーム内のコンセント、もしくは給電口に差し込むヴィークルパワーコネクターを介する。ヴィークルパワーコネクターはアウトドアでの使用時や災害時などに効果的な使用方法となる。満充電で1500Wを使った場合、約7時間の連続使用が可能。災害時など止む得ない場合にエンジンを始動して使えば、満タンで3日程度の給電が可能となる。

PHVか、ハイブリッドか

トヨタ RAV4 PHVトヨタ RAV4 PHV
さて価格だ。「RAV4 PHV G」は469万円。ハイブリッドの「RAV4ハイブリッドG E-four」は402.9万円でその差は66.1万円。ハイブリッドGの場合は約40万円の優遇や助成金があるのでその差は26万円くらいに縮まりそうだが、じつはハイブリッドGにも優遇が16万円程度ある。すなわち(469-40)-(402.9-16)=429-386.9=42.1で、開きはやはり42万円程度はある。車両本体価格に10%の消費税を足してみると(469×1.1-40)-(402.9×1.1-16)=48.71で、約49万円と差はさらに広がってしまう。

現代のクルマの人気要素である、SUVでプラグインハイブリッド、そして安定のトヨタでさらに4WD…と魅力満載のモデルとなるRAV4 PHVなのだが、やはり本体価格が高いのはジワジワと支払い総額に響いてしまうのが現実だ。

トヨタ RAV4 PHVトヨタ RAV4 PHV

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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