【ロールスロイス ゴースト 新型】先代と共通なのはスピリットオブエクスタシーと傘だけ…日本導入

ロールスロイス・ゴースト・エクステンデッド
ロールスロイス・ゴースト・エクステンデッド全 41 枚

ロールス・ロイス・モーター・カーズは9月1日にグローバルで発表した新型『ゴースト』とそのロングホイールベースの『ゴースト・エクステンデッド』を日本で公開した。価格はそれぞれ3590万円からと4200万円から。納車は2021年1月開始予定。

ロールス史上最も成功したクルマ

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先代ゴーストは、「ロールスロイスの116年の歴史上最も成功した革新的なクルマ」と紹介するのはロールス・ロイス・モーター・カーズアジア太平洋北部地区広報マネージャーのローズマリー・ミッチェル氏だ。そして、新型ゴーストの生産開始に合わせ、グッドウッドの工場では、「新型コロナによる生産体制縮小からフル稼働に移行した」とコメントした。

ゴーストはフラッグシップのファントムに続いて2つ目のロールスロイスのセダンだが、「ファントムとは全く違うモデルだ」とローズマリー氏。「控えめでミニマルなスタイルのロールスロイスを求めていた主に事業家や起業家で構成されるお客様の間で人気を集めた」と分析。そして今回発表する新型ゴーストは、「そのコンセプトをさらに凝縮させたもの」と述べた。

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脱贅沢がコンセプト

新型ゴーストの開発コンセプトは、「ポスト・オピュレンス。つまり脱贅沢だ」とローズマリー氏。「これはすでにファッションや建築などのデザイン分野で確立されており、純粋さとミニマリズムによって定義される。これ見よがしな表現ではなく、素材の本質的な価値を求めるムーブメントだ」と説明。この考えは、「職人技とシンプルさを旨とする日本の文化にも深く関連している」と日本との親和性を強調。

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そのデザインは、「ぱっと見てゴーストであることがわかるだろう。しかし初代ゴーストから受け継いだコンポーネントはスピリットオブエクスタシーとドアに入っている傘だけ」とのこと。デザインは全てにおいて、「ミニマリズムを追求。ボディーはシャットラインに邪魔されることなく帆布のような滑らかなフォルムを描いている」とその特徴を説明する。そのために、「4人の職人が同時に手作業でボディーを溶接」。その結果、継ぎ目のない滑らかなボディーが完成したのだ。

ゴーストは、フラッグシップの『ファントム』、SUVの『カリナン』に続き、ロールスロイス専用のアルミ製スペースフレームプラットフォームを手に入れた。「開発の自由度が高く、ロールスロイスならではのデザインと性能を実現するために必須という考えのもとに採用。これにより強い存在感を与えながら、すっきりとしたデザインが実現した」という。

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また、スピリットオブエクスタシーは今回初めて周りのシャットラインがなくなり、「ボンネットの“湖の上”で佇んでいる。さらにパンテオングリルはグリル上部に配された20個のLEDによって存在感をスタイリッシュに演出している」とフロント周りの特徴を説明。またヘッドライトは照射距離600m以上を誇るレーザーライトが採用された。

サイドウインドウは前後で同じプロポーションのウインドウグラフィックを採用することで、ゴーストが「ドライバー志向とショーファードリブンの両方のキャラクターを両立させていることを示している」と述べた。

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ロールスロイスは室内のボタンによりドアを自動で閉めることが可能だ。新型ゴーストでは初めてリアのコーチドアを自動で開けることも可能になったことも特徴として挙げられた。

リアビューは、「躍動感を表すように絞り込まれ、優美なテールランプは現行ロールスロイスの特徴のひとつ。その周囲にシャットラインがないため、ボディー表面に浮かぶ島のような存在だ」とその特徴を語る。

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インテリアについてローズマリー氏は、「不要なものをそぎ落とし、飾りに頼らずあくまでも素材の技術と本質的な魅力を追求。そのためには上質なレザー、ウッド、メタルが必須だった」と述べた。

魔法のじゅうたんがさらに進化

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搭載されるエンジンは6.75リットルのV型12気筒ツインターボエンジンで、571馬力、850Nmのトルクを発揮。そのトルクは「低い回転域から発生し、このパワーとトルクによってどんなシーンでも余裕があり、しかも無音に近いエンジンに仕上がっている」という。

今回ゴーストのシャシーには前述のロールスロイス専用スペースフレームとともに、新たに開発されたプラナーサスペンションシステムを搭載。「フロントサスペンションアッセンブリーの上部に世界初のアッパーウィッシュボーンダンパーを採用し、細かい振動を吸収。さらに四輪駆動システム、四輪操舵システム、50対50の前後の重量配分によって大きさを感じないダイナミックな走りと、ロールスロイスの有名な魔法のじゅうたんのような乗り心地をさらに進化させている」という。

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「スペースフレームはもともとバルクヘッドとフロアが二重構造になっており、静粛性が高い」とその素地を説明。そこに加え、「100kg以上の防音材を使い、とても静かな環境になっている」という。しかし、「防音エンジニアがそのインテリアを試した結果、かえって落ち着かないことがわかった。そこでわずかに音として感じられる”ささやき”を作り出した」とのことだ。

ソムリエからアドバイスを受けたシャンパンクーラー

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エクステンデッドはゴーストよりも170mm長い5715mmだ。その長さはリアシートエリアに反映されている。

今回展示されたエクステンデッドは、4人乗りのインディビジュアルシートが採用され、シャンパンクーラーが標準装備だ。これは温度設定が2種類選べ、「エンジニアがソムリエにヒアリングした結果、ノンヴィンテージのシャンパンは6度に、ヴィンテージのシャンパンは11度に設定するのが適切だということから2つの設定が採用された」とこだわりを語る。

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新型ゴースト及びゴースト・エクステンデッドの正式な受注は10月5日からではあるが、「日本での反響はとても良く、9月1日のオンライン発表後、すぐに注文が入っている。今回日本では初めて実車を見てもらうが、イギリス本国では先にお客様へのプレビューが始まっており、想像通りの仕上がりにお客様は満足しているようだ」と完成度の高さをアピールした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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