【マツダ MX-30】開発当初から手が届きやすい価格のマイルドHV投入を想定…竹内都美子主査[インタビュー]

マツダ MX-30 開発主査の竹内都美子氏
マツダ MX-30 開発主査の竹内都美子氏全 10 枚

マツダ初の量産ピュアEVとして2019年の東京モーターショーでベールを脱いだ『MX-30』は、これまでの「CX」シリーズとは似て非なる新しいクロスオーバーSUVである。そして日本で最初に発売されるのが、エンジンを積んだマイルドハイブリッドモデルであることにも驚かされた。

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その開発主査を務めた竹内都美子氏に、MX-30開発と発売の狙い、そしてこれからの展望について聞いた。

これまでのモデルと一線を画すスペシャルティ

----:車名は「MX-30」を名乗っていますが、マツダとマツダファンにとって「MX」のネーミングは特別なもののような印象を受けます。1989年にデビューした『ロードスター』は、海外では「ミアータMX-5」を名乗りました。また、モーターショーに参考出品しているスポーティな味わいのコンセプトカーの多くに「MX」のネーミングを付けています。

竹内都美子主査(以下敬称略):マツダには「CX」シリーズがあります。これはSUVです。これまでのマツダ系モデルと一線を画すスペシャルティですから、マツダが出す初めてのEVに「MX」のネーミングを与えました。今までにない新しい価値を提案したクルマとして開発しています。MX-30には、ブランドの幅を広げていく使命があります。次の50年、次の100年に向かって、マツダが一歩を踏み出していくときに、今までのお客様を大事にしながら、これまではマツダとご縁のなかったお客様にマツダのクルマを選んでもらいたいと思っています。それで「MX」シリーズを立ち上げました。マツダ MX-30 開発主査の竹内都美子氏マツダ MX-30 開発主査の竹内都美子氏

----:具体的には、CXシリーズやマツダのセダン群とどのように違うのでしょうか?

竹内:自分が持っているものさしで、自分の生活に合ったモノやコトを選び、私らしくいられる創造的な時間と空間を大切にする人たちに向け、MX-30は分かりやすいデザイン表現としました。「ヒューマンモダン」をコンセプトとしたMX-30は、どこか人間らしい、一緒にいることで落ち着く、いつまでも見ていたくなるような出会いなどに目を向けてデザインしています。インテリアの空間も、シンプルで機能的にレイアウトし、自然由来の素材などを用い、環境にも心を配ってデザインしました。ちょっと見に行って、触れてみたい、と思わせるデザインや素材にしています。

----:インテリアは、デザインだけでなく素材にもこだわるなど、新しいことに意欲的に取り組んでいますね。

竹内:開発の進め方そのものが、今までにない別のアプローチをしています。企画を始めた段階から、企画、デザイン、開発、販売のチームだけでなく私自身も一つのテストチームを作り、コンセプトもインテリアデザインも他のチームと同じ体験をしながら、独自の提案をして作り上げてきました。マツダ MX-30(マイルドハイブリッドモデル)マツダ MX-30(マイルドハイブリッドモデル)

ブランドの幅を広げるために目指した“価格”

----:意外だったのは、バッテリーEVだけではなく、マイルドハイブリッド車が用意されていたことです。マルチソリューションの戦略は最初から考えていたのでしょうか? また、内燃機関を加えるなら、革新的な圧縮着火ガソリンエンジンのSKYACTIV-Xのほうがインパクトは強いように思われます。

竹内:この「MX」でブランドの幅を広げるという使命があるので、手に取っていただきやすい価格に設定したいという思いがありました。SKYACTIV-Xは魅力的ですが、どうしても販売価格は高くなってしまいます。そこで、手の届きやすい価格で提供できるマイルドハイブリッドだけで、開発を進めてまいりました。デザインが気に入り、この空間を自分の生活に取り入れようと考えているお客様が、この値段では……、と躊躇してしまうのは残念だと思います。一人でも多くのお客様に、このMX-30を生活の中に取り込んでいただきたいと意図して、2.0Lのマイルドハイブリッド車を投入しました。

----:設計の初期から、ガソリンエンジンも積めるように設計していたのですね。

竹内:プラットフォームは、EVとマイルドハイブリッド、その両方を想定して開発しました。EVは初めての経験だったので、もっとも気を遣ったのは安全面ですね。通常の走行安全だけでなく、もしもの衝突のときの安全にも十分に配慮しています。フリースタイルドアの安全性と使い勝手についても徹底してやりました。また、電池の安全性についても徹底的に検証し、安全性を担保しています。マツダ MX-30(マイルドハイブリッドモデル)マツダ MX-30(マイルドハイブリッドモデル)

EVモデル導入に向け充電インフラも準備中

----:バッテリーEVは、企業平均燃費規制が厳しくなっているヨーロッパから先に出しますね。日本でも2020年度中にリース販売を開始しますが、EV戦略は?

竹内:CO2(二酸化炭素)規制が厳しいヨーロッパから発売していきます。国と地域、政策によって変わってきますが、ヨーロッパでは9月に販売を開始し、来年1月には日本でもリース販売を行う予定です。今のところヨーロッパはバッテリーEVだけを販売します。国によっては、積極的にEVを選びたいというお客様が増えているのです。ノルウェーはEVが優遇され、補助金は多く、公共の駐車場などもEVは無料ですから一気に増えてきました。

----:充電インフラなどの整備は積極的に行うのでしょうか?

竹内:もちろん、販売店に急速充電器などを設置する予定です。また、充電の時の通信も充電器によって差がありますし、相性もあるので、今、テストを繰り返し、お客様が安心して使えるように最後の仕上げを行っています。

----:ありがとうございました。走る歓びに加え、心地よい空間のマツダMX-30、公道で試乗するのが楽しみです。マイルドハイブリッド車の先にあるバッテリーEVについても期待が膨らみます。マツダ MX-30(マイルドハイブリッドモデル)マツダ MX-30(マイルドハイブリッドモデル)

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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