佐賀県の山口祥義知事は11月20日に開かれた定例会見で、北陸新幹線敦賀延伸延期に伴なう九州新幹線西九州ルート問題の議論への影響について記者の質問に答えた。
北陸新幹線金沢~敦賀間は当初、2023年3月の開業予定とされており、その際に北陸新幹線敦賀以西と九州新幹線西九州ルート新鳥栖~武雄温泉間の財源問題について議論がなされる運びだった。
しかし、金沢~敦賀間は予定より1年半程度開業が遅れることが決定的となったことから、敦賀以西の延伸も遅れると目されており、整備問題を巡って国と紛糾している新鳥栖~武雄温泉間の議論に時間的な余裕が生まれるのではないかという点が記者から質問された。
これに対して、フル規格に限らずあらゆる整備方式に対応した「幅広い協議」を行なうとしている山口知事は、敦賀延伸の延期に「衝撃を受けた」としながらも、新鳥栖~武雄温泉間の整備問題については「短期間に決められるものではないというのは、事実上、長い時間がかかると思っているので、この北陸が延びたからその間にというような、そういう問題ではないと思っております」と述べ、議論へ波及することはないという見解を示した。
その上で「今、国交省さんが示しているルートは駅を通るルート、それに限られているわけですよね。これも、山と言う方もおれば、空港と言う方もおられますし、そういったところもしっかり分析しなければいけない話だ」として、JR九州が支払う線路使用料の問題も含めて、拙速な財源議論に釘を刺している。
一方、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム「九州新幹線(西九州ルート)検討委員会」(与党PT)では、11月20日に開かれた会合で、山本幸三委員長が実質的に660億円程度と言われている佐賀県の負担を軽減すること、国とJR九州が11月第4週にも新幹線開業後の在来線の扱いについて検討を開始することを発言した点についても質問されているが、山口知事は「また新しい話があれば、しっかり私は聞いていきたいと思います」と述べ、踏み込んだコメントを避けている。