【ホンダ PCX125 試乗】エンジン&車体をフルチェンジ!全方位「死角なし」…青木タカオ

ホンダ PCX125
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ホンダ『PCX』がフルモデルチェンジし、4代目となった。

新型は「eSP+」(イーエスピープラス)エンジンを搭載し、ドラム式だったリヤブレーキをディスク化。Honda セレクタブル トルク コントロールを新たに装備し、2021年1月28日に発売する。車体価格は35万7500円(税込み)だ。

2010年に登場して以来、原付2種スクーターの人気を牽引してきた『PCX』。12年に燃費性能を向上した「eSPエンジン」を搭載すると、14年に全灯火器をLED化、18年にはフレームをアンダーボーン構造からダブルクレードル式に刷新した。ライバルの追従を許すまいと、比較的早いサイクルでモデルチェンジしてきたが、今回も思い切ったアップデートが図られている。

新開発の4バルブeSP+エンジン採用

ホンダ PCX125ホンダ PCX125
まず、新作のeSP+エンジンは4バルブ機構や油圧式カムチェーンテンショナーリフターが採用され、52.4×57.9mmだったボア×ストロークを53.5×55.5mmに変更。クランクまわりを高剛性化し、『CRF450R』等にも取り入れられているピストン裏側にエンジンオイルを噴射するピストンオイルジェットも導入した。

ダブルクレードルフレームも完全新設計という力の入れようだ。CAE解析によってパイプ径や肉厚、材質、接合位置を最適化し、フレームボディー単体で760gの軽量化を実現。リアグラブレールも形状や肉厚を見直し、310gを減量している。

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エッジラインが際立つスタイリングデザインは、ワンクラス上の上質さを直感できるもの。精悍さが増したフロントマスクは、シグネチャーラインをフォローするように細い5本の光のラインを並行してレイアウト。X形状の赤い光が印象的だったテールランプのデザインは、2本の細いラインが強い光を放つ“マルチオプティクス”技術を応用し、立体感が強調された。フロント&リヤビューの先進的な発光技術が、進化を強くアピールしている。

乗り心地を向上し、安定感アップ

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アイドリングストップシステムやスマートキーシステムは新型も継続採用。ライディングポジションはよりゆったりとし、足もとが一段と広くなった。フットスペースが前方と外方向へそれぞれ30mm拡大しているからで、ヒザを伸ばしてクルーズしたり、踏ん張るようにヒザを曲げてキビキビ走ったりと、乗車姿勢の自由度が高い。

シート高は764mmで、足つき性も相変わらず良好と言える。身長175cmの筆者(青木タカオ)の場合、両足カカトまで地面にベッタリ届き、取り回しに不安は一切ない。

アクセルの開け始めから力強く、エンジンのレスポンスがいい。スロットルボディのボア径を26mmから28mmに拡大し、吸気経路も拡大された。膨張室をつなぐパイプをストレート構造にしたマフラーも新作で、スロットル低開度から力強いドライバビリティーを実現している。

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最高出力12.2ps/8500rpm→12.5ps/8750rpmと、数値的には僅かな向上にすぎないが、低中回転域の太いトルクフィールをそのままに、4バルブ化によって高回転の伸びと粘りが増した。

ハイスピードレンジでも車体は落ち着いていて、サスペンションもしっかりと衝撃を吸収している。リアサスペンションはレシオの変更によって、アクスルストロークを10mm増加(85→95mm)。また、タイヤサイズもフロント100/80-14→110/70-14、リヤ120/70-14→130/70-13とし、前後ブレーキをディスク化。足まわりの強化に加え、スリップを抑制するトルクコントロールも追加装備し、路面状況を問わず絶大な安心感が得られた。

また、初代PCXから継承するクロームバーハンドルをそのままに、クランプ周りのカバーを一新し、ハンドルホルダーはラバーマウント構造に。エンジン懸架方式も見直し、不快な振動を軽減。フレームや足まわりの刷新にともなって、乗り心地も向上した。軽二輪枠の兄弟車を150→160cc化し、速度域向上が図られたこともあり、ベースとなるこちら125ccモデルも軽快なハンドリングをそのままに車体の安定性を上げている。

ユーザー目線の細部も高い完成度

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シート下のラゲッジスペースは容量を28→30リットルに拡大。フロント左側のインナーボックスは、ペットボトルなどを収めるのに十分なスペース(1.7リットル)を確保し、スマートフォンなどを充電できるUSB Type-Cソケットを追加装備した。さらに、タンクキャップを固定できるスペースを燃料タンクリッドに設定するなど、ホンダならではの細かな配慮には舌を巻く。

スピードメーターも新作で、電圧低下警告灯とHonda セレクタブル トルク コントロール(HSTC)のインジケーターが追加された。視認性の高い大型ディスプレイを中央に置き、各種インジケーターがバランスよくレイアウトされている。HSTCはマルチファンクションスイッチでON/OFFの選択が可能だ。

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新たにナックルバイザーをラインナップするなど純正アクセサリーもますます充実。注目は容量35リットルのトップボックスで、なんとスマートキーシステムに対応し、開錠動作をボタンスイッチの操作のみで可能とした。各アクセサリーも新型PCX開発チームとの同時開発で、機能性はもとより車体との高いマッチングを実現している。

ユーザーの視点に立った開発がおこなわれ、利便性や積載力を含めた総合力で新型「PCX」はシーンをこれからもリードしていきそうだ。

ホンダ PCX125(左)とホンダ PCX160(右)ホンダ PCX125(左)とホンダ PCX160(右)

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

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