「屋根を切ったのには意味がある」ダイハツ ハイゼットジャンボ スポルツァVer.…東京オートサロン2021[インタビュー]

ダイハツ ハイゼットジャンボスポルツァVer.
ダイハツ ハイゼットジャンボスポルツァVer.全 21 枚写真をすべて見る

東京オートサロン2021バーチャルオートサロンにダイハツは『ハイゼットジャンボ』をベースにした、『ハイゼットジャンボスポルツァVer.』を出展する。単に屋根を切った改造車ではなく、ハイゼットが使われているシーンをもとに新たな提案に仕上げているという。

果樹園とレースを掛け合わせて

----:いかにもショーカー的な、でも思わず笑ってしまうようないでたちのハイゼットジャンボスポルツァVer.ですが、なぜこのクルマを作ろうと考えたのでしょうか。

ダイハツコーポレート本部先行企画グループグループリーダー主査の久保真吾さん(以下敬称略):ハイゼットは畑などでも使われる仕事グルマです。もしかしたら見たことがあるかもしれませんが、果樹園などに行くとルーフを切り落として、作業車として使われてもいるのです。その一方、最近人気が出てきている軽トラレースでも活躍していますので、そこと掛け合わせて何か出来ないかというのが発想のスタートでした。

また、ハイゼットは今年60周年ですので、新たにクルマを楽しくさせる表現が出来ないかと考えてみました。なんとなく思いつきでルーフを切ったのではなく、ハイゼットの本来の使われ方、そして軽トラレースとをリンクさせているのです。まさにライトウェイトスポーツで、そういったところをうまく捉えてもらえると嬉しいです。

----:それにしてもよくOKを出しましたね。

久保:実は最初は猛反対しました(爆笑)。デザイナーからの提案に対して、個人的には好きですがそれは違うんじゃないかという話をしたのです。格好良くなかったですし、本当に屋根を切っただけでしたから。

しかし、やるなら、実際にハイゼットが使用されているシーンと、僕らが演じたい、クルマをもっと楽しくというところとをうまく掛け合わせて、デザイナーが頑張った結果、良いものが出来ました。

ダイハツデザイン部第一デザイン室先行開発スタジオ主任の米山知良さん(以下敬称略):その意味を込めてアメリカのサーキット、ラグナセカと青果店を合わせて“ラグナ青果”としています。

運転が楽しいということをアピールしたい

----:その発想からより具体的なコンセプトに落とし込んでいったわけですが、それはどういうものだったのでしょう。

ダイハツコーポレート本部先行企画グループ主任の工藤真輔さん:デザイナー曰く、果樹園で平日に仕事をして、週末になったらこれでレースに行くという話でした。そこから着想を得てレーシングカーにしたらどうなるのかという実証実験をしてみたわけです。

また、ハイゼットの屋根を切って風を直接浴びると、運転する人は楽しいといってくれていましたので、この運転は楽しいんだぞということを伝えることを大事にしました。ダイハツは普段、運転は楽しいということをあまり積極的に訴求はしておらず、便利さ、使い勝手などをアピールしています。そんなダイハツでもこんなに楽しいクルマを作れるということを強調したいですね。

細かいところにまでこだわりを

----:ではどういったところにこだわりを持って作成にあたったのでしょうか。

米山:フロントバンパーとサイドのパネル、荷台部分、そしてリアバンパーを改造しました。リアバンパーはハーフスポイラーになっています。

マフラーも3気筒ですから3本出しで、きちんと機能しています。これは型を起こしてひし形の3本出しを作成。そしてロールバー(シートを覆う形のもの)も入れており、スペースのあるジャンボならではの装備です。

また、今回の全体のコンセプト、「ダイハツヴィレッジ カラフルカーニバル~新しい楽しみ方、見つけちゃおう~」の中では果樹園で働くクルマの設定です。普段はそこで使われて、週末はレースに行く。しかしレースは敷居が高いですから、もっと身近なものを使って楽しめればと考えていったのです。ですので、足回りなどにもこだわり、レース用の車高調も入れ、ブレーキもきちんと止まれるようにベンチレーテッドディスクにしています。タイヤもヨコハマタイヤのアドバンセミスリックを履かせました。

ミラーにはビタローニを装備し、フルバケットシートにしたり、クイックリリース式のステアリングも採用していますので、そういった細かいところもこだわりのポイントです。

また、カラーリングに赤を採用したのは、ハイゼットが60周年なので還暦祝いの意味を込めました。

ここから市販化へのフィードバックは…

----:バーチャルオートサロン2021に出展されるモデルたちは、かなり飛躍したイメージを想起させるものだと思います。今後として、カタログモデルへのフィードバックはありますか。

工藤:はい、こういったショーに出すクルマは、クルマの完成形でどうでしょう、買いますかということではなく、こういうクルマは面白いと思うので、それを極端な形で表現してコンセプトを問いたい。それがショーの役割でもあります。ですから、ここから皆さんの意見で実際に面白いねとなった時に、このまま市販化は当然無理ですが、ここから何か着想を得て市販の形にひとつでもフィードバックできればと思っています。

《内田俊一》

ピックアップ