【アバルト 595C ピスタ 新型試乗】アバルトは裏切らない…九島辰也

アバルト 595C ピスタ
アバルト 595C ピスタ全 12 枚

2020年5月に限定車として発売された『595C ピスタ』に試乗した。『チンクエチェント』オーナーとしてワタクシ自身リスペクトする「アバルト595」シリーズだけに、興味津々である。

現行595シリーズはご存知のように、595、595ツーリズモ、595コンペティツィオーネと顔を連ねる。屋根開きの“C”はツーリズモだけという設定だ。が、今回のピスタには“C”もあるのでそれもこのクルマの強みとなるであろう。さらに言うと、ツーリズモにはマニュアルシフトがないことから、「マニュアル+屋根開き」となると、ピスタにスポットが当たることになる。

レーシーな装いとお馴染みの1.4リットルターボ

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さて、このクルマの特徴だが、まずは見た目が大いに気になる。ブルーを基調にイエローのアクセントをちりばめているのが目を引く。リップスポイラー、ブレーキキャリパー、ドアミラーカバー、リアディフューザーがペイントされたポイントだ。どこかレーシーな装いだ。

エンジンはお馴染みの1.4リットルターボユニットで最高出力は165psを発揮する。これはツーリズモと同じ出力で、ベースの595に対しプラス20psと言う数値。ちなみに、トップエンドのコンペティツィオーネは180psを発揮する。

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では、実際に走らせた印象だが、試乗車は5速マニュアルシフトの屋根開きであった。で、まずはクローズドから試す。走りはいたってアバルトらしく、他のモデルとほとんど変わらないのが正直なところ。ステアリング操作に対する回頭性は高く、イン側へ鼻先を向けようとする。当然、エンジンはフロントボンネット下に収まるが、この向きを変える感覚はまるでドライバーのすぐ後ろにパワーソースを積んでいるようだ。古典的な言い方をすれば、“弱オーバーステア”と言う感じである。

もちろん、それが楽しくて箱根の山道をグイグイ走ってしまうのだが、途中でエキゾーストサウンドの気持ちよさが伝わってきた。特に屋根を開けた後はそのレーシーなサウンドが強烈に耳に残る。これは“レコードモンツァ”と言うエキゾーストシステムによる。排圧でバルブが開き音を変える構造のモノだ。

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アバルトは裏切らない

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マニュアルシフトの手応えは現代的で、これといったクセはない。シフトを抜く時に若干機械的にアシストされるフィールがあるが、嫌なものではなく、次のシフトポイントにスッと入る。ダイレクト感もあって小気味よく走れるのはさすがだ。

それと個人的に感心したのはブレーキ性能。いきなりガツンとストッピングパワーが立ち上がるのではなくフィーリングがある。そのため細かな加減が出来、強く踏み込めば踏み込むほどリニアにその威力を感じられるのだ。そもそも軽量化されたボディではあるが、絶対的なパフォーマンスは十分。瞬時に思い通りの速度に減速してくれる。

と言うのが、595ピスタを箱根のワインディングで試乗した印象。アバルトは裏切らない。ちなみに、ピスタはイタリア語でサーキットを意味する。フェラーリ『488ピスタ』なんてのもあるくらいイタリア人はこのワードがお好きなようである。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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