アメ車の影響をモロに受けたあの頃の日本車たち【懐かしのカーカタログ】

プリマス・バラクーダ(上)とトヨペット・コロナ・マークII(下)
プリマス・バラクーダ(上)とトヨペット・コロナ・マークII(下)全 9 枚

似たもの同士シリーズの今回は、アメリカ車とそれらを連想させた日本車を取り上げてみた。日本車がかつてアメリカ車の影響を受けていた頃の上級車を中心とした4組だ。

プリマス・バラクーダとコロナ・マークII(2代目)

プリマス・バラクーダプリマス・バラクーダ
クライスラーの一部門だったプリマスに用意された『プリマス・バラクーダ』は『ダッジ・チャレンジャー』と兄弟車の関係にあったモデル。GMの『カマロ』、フォードの『マスタング』の対抗車種でもあった。

写真のカタログは1971年のもので、写したのは6連デザインのグリルが特徴的だった「クーダ」。7リットル超のV8を搭載する高性能版だ。

トヨペット・コロナ・マークIIトヨペット・コロナ・マークII
そしてもう1台がトヨタ(トヨペット)のコロナ・マークII。1972年に登場した2代目は、スタイリングもコロナの上級発展版から大きく進化を遂げ、ハードトップはセミファストバックのスポーティなものとなった。この4気筒系のフロントグリルのデザインが、実に“バラクーダ風”だったのが印象的だった。

穴の数は4個(『バラクーダ』は6個)と異なり、レイアウトも平面的ではあったが、小学校高学年だった当時の筆者は、両車の顔の雰囲気が「似ているなぁ」と思ったもの。

フォード・サンダーバードと日産ローレル(3代目・後期型)

フォード・サンダーバードフォード・サンダーバード
写真のカタログは1982年のもので、実はこの世代の『サンダーバード』は、おりからのダウンサイズの波にのまれ、当時のコンパクト(『フェアモント』)をベースに仕立てられていた。直前の世代に対し全長は40cm近く短いものだった。

けれどコンシールド型ヘッドライトとともに、威厳を保つかのように、ブロックパターンのフロントグリルのデザインが踏襲された。そのグリルをいかにも彷彿させたのが、1978年に登場した2代目『ローレル』のマイナーチェンジ版。

日産・ローレル日産・ローレル
初期型が丸型4灯で登場したのに対し、この時にヘッドランプが当時の流行りでもあったSAE規格の角型4灯となり、あわせてフロントグリルが一新された。このメッキの格子状のパターンが、目の粗さこそ違えど『サンダーバード』を連想させたのだった。

プリマス・ダスターと日産グロリア(5代目)

プリマス・ダスタープリマス・ダスター
『プリマス・ダスター』は、『同・バリアント』の2ドアクーペ版として設定されていたモデル。直線的だったセダンに対して曲線を用いた、実はカジュアルでスポーティな位置づけのクルマだった。

“実は”と書いたのは、今回登場させるもう1台の“比較車”が、日産『グロリア』(5代目、1975年~1979年)であり、こちらは日本車としては上級オーナー車に位置づけられていたモデルだったから。

日産・グロリア日産・グロリア
さらに一連の“似たもの同士シリーズ”中、トップレベルの雰囲気重視の比較かもしれないが、『セドリック』ではなく『グロリア』のセダンのカタログ写真の細かな縦型ブロックパターンを見た当時の筆者は、同じくまさに写真のカタログの『プリマス・ダスター』を思い出した。

筆者はアメリカ車の知識は浅いが、かように、当時の国産上級車はほかにも、アメリカ車を範としていた例が数多く見られたように思う。

フォード・サンダーバードとホンダ・インテグラ(1989年・2代目)

フォード・サンダーバードフォード・サンダーバード
フォード『サンダーバード』は再度の登場である。こちらはグッと近年の1989年モデルで、空力を意識した当時の『トーラス』にも通じるグリルレスのマスクと、スッキリとなめらかなスタイリングが特徴的だった。

一方でホンダ『インテグラ』は、マイケル・J・フォックスを起用したCMで登場した2代目。ヤマタツのCMで爽やかに登場した初代に対し全幅を5ナンバーいっぱいの1695mmにまで拡大させ、4ドアをハードトップ化するなどして、より上級感覚を打ち出したモデルだった。

ホンダ・インテグラホンダ・インテグラ
で、『サンダーバード』とこの『インテグラ』の共通項がグリルレス&横長ヘッドランプの組み合わせ。登場年はどちらも1989年ということから、決してどちらかがどちらかを意識した(もっといえば、コピーした)訳ではなかっただろうが、この時代の流行りのスタイルのひとつだったということだろう。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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