東京・池袋で自動運転サービスの実証実験…地域交通との接続やフードデリバリー ウィラー

WILLERが実施した、自動運転バスとIKE-BUSとの連携サービスの実証実験
WILLERが実施した、自動運転バスとIKE-BUSとの連携サービスの実証実験全 14 枚

自動運転バスやMaaS関連のモビリティを手掛けるWILLERは、3月10~16日の7日間、豊島区内にある「としまみどりの防災公園(愛称:IKE-SUNPARK)」周辺の公道上を使い、地域の公共交通・サービスと連携した自動運転の実用化へ向けた実証実験を実施している。

自動運転バスと地域の公共交通機関をつなぐアプリを開発

WILLERが用意するアプリをインストールし、アプリ上で目的地を設定WILLERが用意するアプリをインストールし、アプリ上で目的地を設定

この実証実験は、東京都の「令和2年度自動運転技術を活用したビジネス構築に関するプロジェクト」の採択によって実施されたもの。実験では自動運転と地域の公共交通との間で運行による回遊性向上や、自動運転を用いた生活サービスの実用性、さらには事業性の向上を検証。最終的には既存交通の代替えを目的とした自動運転というよりも、走行するニーズや目的に合わせた新たな移動サービスとしての有効性を検証するとしている。

この日の実証実験で実施されたのは3つ。一つは豊島区内を運行中の公共交通「IKE-BUS」と自動運転の乗り継ぎを想定した経路探索機能の体験。二つめはアプリを使って注文した食事を自動運転によってデリバリーするサービスの実演。三つめがNAVYA ARMAによる自動運転車両の乗車体験となる。

次に乗車ポイントをスマホ上で設定次に乗車ポイントをスマホ上で設定

一つめの経路探索機能の体験では、アプリ上で「自動運転バスに乗車した後、IKE-BUSに乗って目的地である池袋東口へ行く」という想定で乗車区間を設定。区間を設定した後に乗車人数を入力すると、乗車時刻と乗り換え時刻を含む経路一覧が表示される。このアプリが複数の乗り物を乗り継げるツールとなるわけだ。

WILLERではこのアプリを、現在、京都丹後鉄道沿線で展開中のAIオンデマンド交通「WILLER mobi」を呼び出せるツールとしても活用。今後は自動運転と地域の公共交通機関をつなげるアプリとして展開していく。

乗車人数を入力乗車人数を入力

食事のデリバリーサービスや、自動運転としてレベル2での走行を体験

二つめの食事のデリバリーサービスは、利用者がスマホから希望のメニューを注文すると、そのオーダーが店舗側のタブレット上でポップアップ。その後、オーダーがあった商品は自動運転バスにあるフードボックスに入れられて利用者が指定したエリアまで配達されるという流れだ。利用者のスマホにはバスが近づくとその連絡が届き、自動運転であれば非接触で受け取ることも可能となる。ただ、現状ではフードボックスの認証システムは採用されておらず、WILLERでは今後、認証を取る方式へと発展させていくとしている。

最後に経路探索を選ぶと、乗車時間等を記載した一覧が表示される最後に経路探索を選ぶと、乗車時間等を記載した一覧が表示される

三つめのNAVYA ARMAの乗車体験。自動運転とは言え、今回はレベル2での運用となる。そのため、オペレーターは進行方向前方に立って操作。あらかじめ設定したルート上を自動走行しつつも、細かな挙動をオペレーターが調整しながら走行することになっていた。センシングは基本的に他のARMAと同様で、車両周囲にはLi-DARを装備し、位置把握はRTK GNSSを使って測位する。

今回の実証実験では、WILLERが全体の統括管理・実正内容の企画から車両のオペレーション行い、ST Engineeringが自動運転の技術設計やナレッジの共有を担当。セーフティオペレーターのトレーニング、および3Dマッピング、ルート設定などについてはBOLDYが技術提供を行って実現した。なお、今回の試乗はコロナ禍による感染症拡大防止のため、一般の人ではなく関係者(IKEBUSサポーター企業)のみとなった。デリバリーサービスを体験してもらう対象の大学生も上記関係の一員となっているとのことだ。

フードデリバリーでは、スマホのアプリから注文フードデリバリーでは、スマホのアプリから注文

WILLERとST Engineeringは、2019年10月からシンガポールの国立庭園「Gardens by the Bay」にて商業化運行を開始しており、日本国内でも20年12月に関西文化学術研究都市(愛称:けいはんな学研都市)の公道上で技術実証実験を、21年2月には同場所でニューノーマルに対応した自動運転サービス実証実験を行ってきた実績がある。そうした実績を踏まえ、今回の実証実験では毎日の生活の中における実用化に向けた一つのステップとしたい考えだ。

《会田肇》

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