[カーオーディオユニットの選び方]メインユニット…AV一体型ナビ 前編

チューニング機能がある程度充実したAV一体型ナビの一例(パナソニック・ストラーダ)。
チューニング機能がある程度充実したAV一体型ナビの一例(パナソニック・ストラーダ)。全 3 枚
カーオーディオという趣味をより深く楽しんでいただくために、製品の選び方を解説している当シリーズ。現在はメインユニットのチョイスのキモを紹介している。今回からはいよいよ、AV一体型ナビにスポットを当て説明していく。

◆AV一体型ナビは、オーディオ機能に着目すると3タイプに分類可能!

今や、メインユニットの大本命はズバリ、このAV一体型ナビだ。最近は「ナビはスマホアプリで良い」と考えるドライバーも増えつつあり、またはナビにはPNDを使いオーディオには1DINメインユニットを使用しているというケースももちろんあるが、もっとも多く使われているのはやはり、AV一体型ナビだ。

なお当記事では、AV一体型ナビのAV機能のみに着目してチョイスのポイントを説明していく。で、そのようにしたときAV一体型ナビはざっくり3タイプに分類できる。

あくまでも当サイト独自の分類方法なのだが、「高機能タイプ」、「スタンダードタイプ」、「ベーシックタイプ」、この3つに分けられる。まず「高機能タイプ」とは、「本格的なシステム運用を行えるもの」、こう定義したいと思う。本格的なシステム運用とは、「フロント2ウェイスピーカーのツイーターとミッドウーファーを“マルチ制御”すること」を指す。つまり「高機能タイプ」では、緻密なサウンドチューニングを行える。

ちなみにこれに該当する機種は、三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』、カロッツェリアの『サイバーナビXシリーズ』、同『サイバーナビ』、そしてアルパインの『ビッグXシリーズ』、この4シリーズだ。

続いて「スタンダードタイプ」とは、フロント2ウェイスピーカーの“マルチ制御”は行えないものの、簡易的な「タイムアライメント」、「13バンドイコライザー」、「サブウーファー出力」が搭載されているもの、と定義したい。そして「ベーシックタイプ」は、これらの機能を搭載していないもの、と定義する。

チューニング機能がある程度充実したAV一体型ナビの一例(ケンウッド・彩速ナビ)。

◆「スタンダードタイプ」は「ベーシックタイプ」より、一層良い音で音楽が楽しめる!

さて、当サイトとしてお薦めなのはズバリ、「スタンダードタイプ」以上のモデルだ。オーディオユニットとして考えたときにできることがぐっと増え、より良い音で音楽が楽しめるようになるからだ。

もう少し踏み込んで説明していこう。最初に「タイムアライメント」から。まず当機能は、スピーカーの発音タイミングを制御するための機能だ。で、この機能が必要となる理由は以下のとおりだ。

クルマの中では、自分と各スピーカーとの距離がそれぞれで異なる。運転席側のスピーカーは近くにあり、助手席側のスピーカーは遠くにある。ゆえに、ステレオイメージを感じ取りにくい。左右のスピーカーの音量バランスを整えればとりあえずは左右両方の音が耳に入ってくるものの、距離差があるために耳に入ってくるタイミングがずれてしまうからだ。

しかし「タイムアライメント」が搭載されていれば、右側のスピーカーの発音タイミングに遅延を掛けられるので、左右のスピーカーから発せられた音が同時に耳に届くようになり、結果ステレオイメージをよりリアルに感じ取れるようになるのだ。

ちなみに“マルチ制御”が行える機種ではツイーターとミッドウーファーを個別にコントロールできるので、一層ステレオイメージをリアルに再現しやすくなる。とはいえ「スタンダードタイプ」に搭載されている簡易的な「タイムアライメント」でも、これが搭載されていない機種と比べてのアドバンテージは相当に大きい。

そして「イコライザー」についても、「ベーシックタイプ」の場合は3バンドとか5バンド程度の場合が多く、これであるとサウンドの味付けは変えられるものの「周波数特性の乱れを正す」という観点での運用はし難い。しかし「スタンダードタイプ」に搭載されている13バンドタイプともなると、ある程度「特性の乱れを正す」というような使い方も可能となる。

チューニング機能がある程度充実したAV一体型ナビの一例(カロッツェリア・楽ナビ)。

◆「サブウーファー出力」が備わっていると、“低音の前方定位”が可能になる!

そして、「サブウーファー出力」が備わっているか否かも大きな違いを生む。これが備わっていると、サブウーファーを導入したときにフロントスピーカーとサブウーファー間の「クロスオーバー調整」を行えるので、低音の聴こえ方をガラリと変えられるのだ。

というのも、「クロスオーバー」が搭載されているとドアスピーカー(ミッドウーファー)とサブウーファーのそれぞれに対して、再生範囲を割り振れるようになる。そうすると、低音がドアスピーカーとサブウーファーの両方から聴こえてこなくなるので、高音から低音までの一体感を出しやすくなる。

かくしてサウンドの一体感が高まると、サブウーファーが再生する超低音も目の前から聴こえてくるようになる(このような聴こえ方のことは“低音の前方定位”と呼ばれている)。しかも「スタンダードタイプ」のAV一体型ナビには「タイムアライメント」も搭載されているので、サブウーファーの音の到達タイミングも揃えられる。それも相まって“低音の前方定位”をさらにさせやすくなる。

さて、「スタンダードタイプ」に該当する具体的な機種は何かというと、ざっと挙げると以下のとおりだ。カロッツェリアの『楽ナビ』、ケンウッドの『彩速ナビ』、パナソニックの『ストラーダ』、これらが「スタンダードタイプ」に当てはまる。ただし、各シリーズのすべての機種が該当するわけではないので、細かくはカタログ等を確認してほしい。または販売店の店頭で機種を触って確認するか、もしくはカーオーディオ・プロショップで聞けば教えてもらえるはずだ。

なおこのクラスの機器の場合、搭載されている機能のメリットを十分に得ようと思ったらその操作もプロに任せた方が良い。つまり、カーオーディオ・プロショップにて購入から取付、そして調整までを依頼した方が、良い結果が得られすくなる。

今回は以上だ。次回は「高機能タイプ」にスポット当て説明する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

連載「カーオーディオユニットの選び方」詳細解説! Part2「メインユニット編」 その4「AV一体型ナビのトレンド解説 前編」

《太田祥三》

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