ランドローバー ディフェンダー 新型、燃料電池車を開発…2021年内に走行テスト開始

ジャガー・ランドローバーの電動化戦略の一環

2030年までに燃料電池車の世界販売台数は1000万台を超える可能性も

走行テストではオフロード性能や電費性能などを検証

ランドローバー・ディフェンダー 新型の燃料電池プロトタイプ車のイメージ
ランドローバー・ディフェンダー 新型の燃料電池プロトタイプ車のイメージ全 12 枚

ジャガー・ランドローバーは6月15日、新型ランドローバー『ディフェンダー』(Land Rover Defender)をベースにした水素燃料電池車(FCEV)のプロトタイプを開発していると発表した。2021年内に、走行テストを開始する予定だ。

ジャガー・ランドローバーの電動化戦略の一環

FCEVのプロトタイプは、ジャガー・ランドローバーの新グローバル戦略の「Reimagine」の一環となる。Reimagine戦略の中核となるのは、ジャガーとランドローバーの両ブランドの電動化だ。

ジャガーとランドローバーのそれぞれで、独自のパーソナリティを明確に持った別々のアーキテクチャーを採用するという。すでに新型ディフェンダーには、プラグインハイブリッド車(PHV)の「P400e」が設定されている。

ランドローバーは、『レンジローバー』、『ディスカバリー』、ディフェンダーの3つのファミリーを通じて、ラグジュアリーSUV市場において世界をリードし続けるために、今後5年間で6種類のピュアEVを導入する。

ランドローバー初のピュアEVは、2024年に登場する予定。ジャガー・ランドローバーはピュアEVの投入により、2030年までにランドローバーの約60%に、ゼロエミッションのパワートレインを搭載することを目指している。

ジャガー・ランドローバーの目標は、2039年までにサプライチェーン、製品、オペレーションのすべてにおいて、排出ガス量を実質ゼロにすること。その一環として、水素経済の成熟に伴い、クリーンな燃料電池の準備も進めている。同社はこれを長期的な投資プログラムとして行っており、開発を進めている。

2030年までに燃料電池車の世界販売台数は1000万台を超える可能性も

水素から電気を生成して、モーターに電力を供給するFCEVは、ゼロエミッション車への移行において、フルEVを補完するものになるとみられている。水素を動力源とするFCEVは、高いエネルギー密度と迅速な燃料補給が可能で、低温下でも航続の損失を最小限に抑えられる。

水素燃料電池技術は、大型で長距離を走行する車両や、高温または低温の環境で走行する車両に最適だとされている。実際に、2018年以降、FCEVの世界新車販売台数は増加しており、水素燃料補給ステーションは世界で20%以上増加している。

水素を動力源とするFCEVの世界販売台数は、2030年までに1000万台を超える可能性があると予測されている。全世界の水素燃料補給ステーションの拠点数も、1万を超えることが見込まれている。

こうした中、ジャガー・ランドローバーは「プロジェクト・ゼウス(Project Zeus)」を立ち上げた。このプロジェクトでは、英国政府が支援する「Advanced Propulsion Centre」から資金提供を受け、水素パワートレインを最適化して、顧客が期待するパフォーマンスと機能を実現することを目指している。

走行テストではオフロード性能や電費性能などを検証

ジャガー・ランドローバーはProject Zeusにおいて、Delta Motorsport、AVL、Marelli Automotive Systems、UK Battery Industrialization Center(UKBIC)などのR&Dパートナーと協力して、新型ディフェンダーがベースのプロトタイプFCEVを製作し、研究開発を進めていく。

ゼロエミッションのディフェンダーのFCEVプロトタイプは、オフロード性能や電費性能などの主要なパフォーマンスを検証するために、2021年の終わりをメドに、英国で走行テストを開始する予定だ。

ジャガー・ランドローバーで水素燃料電池車の開発を統括するラルフ・クローグ氏は、「水素燃料電池車は、ジャガー・ランドローバーの車両ラインナップにおいて、フルEVと並ぶゼロエミッションソリューション。Project Zeusでパートナーと協力して行う研究開発は、次世代のゼロエミッション車の実用化に向けた準備。2039年までに排出ガス量を実質ゼロにする目標実現に貢献する」と述べている。

《森脇稔》

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