[プロセッサー入門]運用法…ダイヤトーンサウンドナビ

三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ
三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ全 3 枚

現代カーオーディオにおいての必需アイテム「プロセッサー」について、これが何なのか、そしてどのように使うと楽しめるのかまでを全方位的に解説している当特集。前回からは具体的な運用法を紹介している。今回は、『ダイヤトーンサウンドナビ』に焦点を当ててみる。

『ダイヤトーンサウンドナビ』には、他にはない特別なチューニング機能が搭載されている!

三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』も、前回取り上げたカロッツェリアの『サイバーナビ』と同様に高性能な「プロセッサー」を内蔵したハイエンド・AV一体型ナビだ。そして当機はカロッツェリアの『サイバーナビXシリーズ』と同じように、「プロセッサー」のみならず音響パーツに贅が尽くされ先鋭的な音響技術がさまざま注入されている。つまり、ハイエンドメインユニットとしての総合力がすこぶる高い。これを用いるだけで愛車のシステムが一気にハイエンド化する。

なお、『ダイヤトーンサウンドナビ』の「プロセッサー」には、三菱電機だけが実現できているスペシャル機能も搭載されている。その機能の名前は「マルチウェイ・タイムアライメント」だ。

これが一般的な「タイムアライメント」とどのように違うのかは以下のとおりだ。決定的に異なっているポイントは、「ツイーターとミッドウーファーを個別制御しながらも2つの信号を同一回線で伝送できること」だ。通常は、ツイーター用の信号とミッドウーファー用の信号を個別制御したら、その後はスピーカーに送り届けるまで別回線で伝送しなければならない。2つの信号を混ぜるわけにはいかないからだ。

しかし『ダイヤトーンサウンドナビ』の場合は、スピーカーの手前に設置してある「パッシブクロスオーバーネットワーク」にて再び信号を帯域分割し直すと、高音と中低音とが「プロセッサー」内で制御されたままの状態に戻るのだ。

このような特長を有しているので、『ダイヤトーンサウンドナビ』では他ではできない特殊な運用法も可能となる。さまざまあるので1つ1つ説明していこう。

『ダイヤトーンサウンドナビ』の「マルチウェイ・タイムアライメント」の設定画面。

純正ケーブルをそのまま使っても、フロントスピーカーのマルチ制御が可能!

まず『ダイヤトーンサウンドナビ』では、“ナビを換えただけ”で本格的なサウンドチューニングを行える。本格的なサウンドチューニングとは、先述したようなツイーターとミッドウーファーとを個別制御することを指すのだが、通常はナビを換えただけではそれを行えない。スピーカーケーブルを引き直す必要があるからだ。内蔵パワーアンプの1chずつから各スピーカーユニットの1つ1つにスピーカーケーブルをダイレクトに繋げなければならないのである。

しかし『ダイヤトーンサウンドナビ』を使う場合は、純正ケーブルのままで良い。車体側の配線カプラーに変換ハーネスを接続し、そのハーネスと『ダイヤトーンサウンドナビ』から伸びるハーネスとを接続すれば配線を終了できる。このように通常の配線作業をするだけで、ツイーターとミッドウーファーの個別制御を行える。

また『ダイヤトーンサウンドナビ』では、内蔵パワーアンプの2chのみでフロント3ウェイスピーカーのマルチ制御も行える。「マルチウェイ・タイムアライメント」は3ウェイにも対応しているからだ。「内蔵プロセッサー」の内部でフルレンジの音楽信号をツイーター用、スコーカー用、ミッドウーファー用と3分割してそれぞれの信号を個別にチューニングし、しかしながらその3つの信号を同一回線で伝送できる。最後、スピーカーの手前に設置した「パッシブクロスオーバーネットワーク」にて信号を3つに分割し直せば、各信号は個別に制御された状態へと戻される。

なお『ダイヤトーンサウンドナビ』はその一方で、他のハイエンドメインユニットと同様に「マルチアンプ接続」も行える。つまり、内蔵パワーアンプの4chの1chずつをフロント2ウェイスピーカーの1つ1つに割り当てて鳴らすことも可能だ。

『ダイヤトーンサウンドナビ』の「クロスオーバー」の設定画面(仮想3ウェイ調整を実行しているケース)。

『ダイヤトーンサウンドナビ』では、「仮想3ウェイ調整」も行える!

そして、そのときにも「マルチウェイ・タイムアライメント」は力を発揮し特別なチューニング法を可能とする。それは「仮想3ウェイ調整」だ。

これはつまり、「フロント2ウェイスピーカーをあたかも3ウェイのように扱う」チューニング法だ。詳しくは以下のとおりだ。

内蔵パワーアンプの1chずつを1つ1つのスピーカーユニットにあてがう接続方法を取るわけだが、ミッドウーファー用のchについては、その信号を「内蔵プロセッサー」内でさらに2分割してコントロールする。つまり「スコーカー」があるかのように音楽信号を取り扱う。

なぜにこのような制御法を取るのかというと、理由は次のとおりだ。フロント2ウェイのミッドウーファーは実は、広範囲の音域の再生を担当しているのだが、中音と低音とでは特性が少々異なる。中音は低音よりも指向性が強く、低音は指向性が比較的に弱い。そして左右のミッドウーファーは、ドライバーから見たときのスピーカーユニットの角度が異なる。右ハンドル車の場合、右側のミッドウーファーは角度がきつく逆に左側のミッドウーファーは割とドライバーの方を向いている。

結果、左側のミッドウーファーが鳴らす音については中音が良く聴こえ、右側のミッドウーファーが鳴らす音は左側と比べると中音を感じ取りにくい。指向性の強い中音は、スピーカーと正対している場合は良く聴こえるけれど、角度がずれてくると音圧が弱くなりがちなのだ。というわけなので、2ウェイシステムで音楽を聴く場合、中音と低音の音圧バランスが整いにくい。

しかし「仮想3ウェイ調整」を実行すると中音と低音とを個別にコントロールできるので、中音と低音の音圧バランスのズレを補正できる。つまり『ダイヤトーンサウンドナビ』では、フロント2ウェイをより良いコンディションで鳴らせるようになるのだ。

以上が、『ダイヤトーンサウンドナビ』ならではの楽しみ方だ。さて次回は、気鋭ブランド、プラグアンドプレイの製品を活用するときの楽しみ方を解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

「プロセッサー」活用学・入門 第8回 運用法解説 その2 『ダイヤトーンサウンドナビ』の場合

《太田祥三》

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