GT-Rを生んだプリンス自動車をご存知ですか?

プリンス・スカイラインGT-RとR380
プリンス・スカイラインGT-RとR380全 5 枚

『プリンス自動車の光芒』
1945-1969 増補二訂版
著者:桂木洋二
発行:グランプリ出版
定価:2640円
ISBN978-4-87687-386-9

日産『スカイライン』を生み出した自動車メーカー、プリンス自動車の全貌を詳細にまとめた書籍が発売された。

立川飛行機と中島飛行機の航空技術者が中心となって設立されたプリンス自動車。当時の飛行機技術の粋を生かして数々の先駆的な自動車を開発し、レースにおいても大活躍した。

先駆的な自動車といえば、『リーフ』などの日産が販売しているEVの始祖も立川飛行機の流れをくむ東京電気自動車(のちにたま電気自動車)が開発した『たま』がある。トラックと乗用車の2種類があり、フルEVとして1947年に発売された。トラックは最高速30km/h、航続距離60km、乗用車は最高速35km/h、航続距離65kmだった。最高速を上げることは可能だったが、航続距離が短くなるというジレンマは当時から悩みの種だったようだが、当時のほとんど舗装されていない道路事情を鑑みるとこの程度の最高速で十分だったのだ。

本書ではその時代背景のもと、車両開発に至る様々な詳細のほか、会社経営に関する浮き沈みが記されている。

会社設立当初はもちろん、スカイラインの誕生について、また、昭和天皇の御料車である『ロイヤル』の開発に関して、そして『R380』をはじめとしたレーシングカーについても語られているので、1960年代のレースに興味のある方々も楽しめる1冊だ。

もうひとつ貴重な記述はプリンス自動車と日産との合併に関してのことだ。本書では当時のプリンス自動車と日産の状況などを踏まえながら述べられており、特にプリンス自動車の実際の経営状況や役員人事にまで踏み込んでいることは興味深い。

尚、本書は2003年刊行の『プリンス自動車の光芒』の内容を見直し、その後に発見された写真や資料などの追加、プリンス自動車の跡地の様子を取材・収録した、増補二訂版である。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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