3ウェイの方が音が良い!?…スピーカー[カーオーディオ システムアップ AtoZ]

3ウェイスピーカーの一例(モレル・38 アニバーサリー リミテッド エディション)。
3ウェイスピーカーの一例(モレル・38 アニバーサリー リミテッド エディション)。全 6 枚

カーオーディオシステムのグレードアップに興味を持つ方々に向けて、製品ガイドをお届けしている当連載。まずはスピーカーに関する情報をお届けしている。今回は前回に引き続き、「3ウェイスピーカー」について説明していく。

さて、前回解説したとおり、「3ウェイスピーカー」はインストールに手間がかかりコントロールも難しい。しかし音にこだわろうとする愛好家からの支持率は高い。今回は、その理由について一歩踏み込んで説明していく。

ところで実をいうと、「2ウェイスピーカー」のミッドウーファーは、音的な避けがたい不利要因を抱えている。それは「分割共振」だ。前回の記事でも説明したとおり、「2ウェイ」のミッドウーファーは担当帯域が幅広い。ゆえに、高域側の再生においてこの「分割共振」を起こしがちで、結果、中音の再生を少々苦手としている。

なお、「分割共振」とは以下のような現象のことを指す。スピーカーの振動板は本来、内側(センターキャップ側)と外側(エッジ側)が一糸乱れず同様の動きをしている。ちなみにそのような動き方のことは「ピストンモーション」と呼ばれている。しかしながら高域側の音を再生する際にはそれが乱れることがある。内側と外側の足並みが揃わず、振動板が波打つような動き方をしてしまうことがあるのだ。これが「分割共振」だ。そしてこのような現象が起こると、当然ながら音も乱れる。で、この現象は程度の差はあるもののほとんどの「2ウェイスピーカー」のミッドウーファーで発生する。いわば、宿命と言うべきものなのだ。

しかし「3ウェイスピーカー」ではミッドウーファーの再生帯域を狭められるので、「分割共振」が起こりにくくなる。宿命から逃れられるのだ。

また、音楽の主要要素となる中音を高い位置に取り付けたスピーカーから聴けるようになることも利点だ。しかも、中音を再生するスピーカーである「スコーカー」と正対することも可能となるので、中音の情報量をより多く受け取れる。ドアに取り付けたミッドウーファーとは正対できず、しかも低い位置にあるので情報量を受け取ることにおいて不利があるが、「3ウェイ」ではその不利も払拭できるのだ。

ただし、サウンドをまとめ上げるのは難しくなる。「2ウェイ」でもツイーターとミッドウーファーのサウンドを上手く繋げるのは簡単ではないが、「3ウェイ」では、ツイーターとスコーカー間、そしてスコーカーとミッドウーファー間、この両方の繋がりをケアしなくてはならなくなる。このように状況が複雑化する分、失敗の可能性も高まってしまう。しかしコントロールが上手くいくと、より良い結果が得られやすくなる。

今回は以上だ。次回は「3ウェイスピーカー」の選び方について説明する。乞うご期待。

「3ウェイ」の方が音が良い!? システムアップのための、カーオーディオユニット“AtoZ”! lesson 01「スピーカー編」その12

《太田祥三》

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