医療MaaSで医療アクセシビリティの向上を目指す…MONET Technologies 事業本部 事業推進部 事業推進課 加藤卓己氏[インタビュー]

医療MaaSで医療アクセシビリティの向上を目指す…MONET Technologies 事業本部 事業推進部 事業推進課 加藤卓己氏[インタビュー]
医療MaaSで医療アクセシビリティの向上を目指す…MONET Technologies 事業本部 事業推進部 事業推進課 加藤卓己氏[インタビュー]全 1 枚

自動運転時代に向けて、バックキャスト的に、移動に関する社会課題の解決や新たなモビリティサービスの実現と普及に向けてMaaS事業を展開しているMONET Technologies。その中でも2019年から取組みがはじまった医療MaaSはユニークだ。MONET Technologies事業本部 事業推進部 事業推進課の加藤卓己氏に、医療MaaSの取組みの進捗について聞いた。

加藤氏は、11月19日開催【無料オンラインセミナー】 医療MaaSの最前線に登壇し「MONETの医療分野への取組み」をテーマに講演する。申込は11月17日(水)18:00まで。

医療MaaSを通じて地域の課題をトータルに解決したい

---:2019年2月に事業を開始し、まもなく3年となります。進捗を教えてください。

加藤氏:自動運転時代に向けて、バックキャスト的に、オンデマンドバスやサービスカーなどの「人の生活」を中心としたモビリティサービスづくりに、地域に入り込んで取組んできました。運行事業者やサービス事業者になるつもりはなく、「MONETプラットフォーム」を基盤としたシステム面や「マルチタスク車両」などのハード面などで支援しています。

そして、MaaSの普及に向けて、自治体や企業と交流し、官公庁と情報や課題を共有することを大切にしてきました。これまでに、107の自治体と覚書や連携協定を結び、MONETコンソーシアムに加盟する企業は670社を超えました。そして全国に43の事例ができました。

---:自治体はさまざまな課題を抱えています。医療MaaSをどのように捉えていますか?

加藤氏:医療の課題のある所には、高齢者の病院やスーパーまでの足の確保といった別の課題があることがほとんどです。医療だけではなく、複数の課題をトータルで解決していく必要があると考えています。

そして弊社は、医療MaaSを通して、医療アクセシビリティを向上させることを目指しています。医療従事者の方から「重篤化する前に病院に来てくれればよかったのに」という声をよく聞きます。医療にかかるのが面倒だったり、遠くて行けなかったりすることが原因で、病状が悪化してしまうことが多いようなのです。

車内環境の向上を目指す

---:長野県伊那市でのモバイルクリニック「医療MaaS」は2021年4月から実装運行をスタートしました。喜ばれた点や問題点などはありますでしょうか?

加藤氏:6つの医療機関がモバイルクリニックを使っています。おかげさまで、2020年6月から2021年9月までに160症例ができました。医療従事者や患者さんのご家族から喜んで頂いています。例えば、神山内科医院の神山先生は「急変対応の患者をお昼に診ることができるようになり、当日に病院を紹介できるようになった。対面の診察と比べても違和感がない」と話して下さいました。

今後は車内の環境を充実させていきたいと考えています。訪問診療を行っている先生はご自身の訪問診療用のバッグの中に必要な機器を入れて持ち運んでいらっしゃいます。モバイルクリニックの良い所は、車両の中にすぐにオンライン診療ができる環境がセットされている点です。しかし、最低限の機器しか積載していないので、患者さんによっては必要な機器を追加で持ち込む必要があります。また先生によっても使っていらっしゃる機器も異なります。車内で汎用的に使えるような医療機器をより充実させられたらいいですね。

医師も高齢の町で

---:他の地域での医療MaaSの取組みを教えてください

加藤氏:2020年10月19日から2020年12月末まで、浜松市天竜区春野町で実証実験を行いました。人口約4千人、高齢化率が約50%の地域です。春野町にある1つの診療所にご協力をいただきましたが、患者さんの平均年齢が86.5歳、先生は80歳。看護師の方も午前中は診療所にいるのですが、午後はいらっしゃらず先生がお一人で対応されていました。デジタルデバイスをうまく使って頂けるかどうか心配でしたが、看護師が間に入ることで、問題なく遂行することができました。

また車両については、伊那市はトヨタのハイエースを作りこみましたが、浜松市はトヨタのノアをベースに、助手席を回転させて車内空間を作り出すという簡便な架装で実証を行いました。

MONET LABO「医療」

---:医療MaaSを推進するために、伊那市や浜松市以外に行っていることはありますか。

加藤氏:医療MaaSのプレイヤーを増やしていきたいと考えています。しかし、「医療MaaSは何から着手したらよいのか分からない」「ビジネスがなかなかできない」という企業のご担当者がたくさんいらっしゃいます。そこで、自治体のパートナーを探して、机上ではなくリアルな課題とリアルなフィールドに対して、企画を立ち上げて掘り下げていき、理解を深めて頂く、MONET LABO「医療」をはじめました。事務局にはシミックホールディングス様にご参画いただき、医療・ヘルスケア面での企画も推進できる体制を取っています。今後もさまざまな企業と自治体、MONETが連携し、地域の課題解決に向けて取組んでいきます。

11月19日開催【無料オンラインセミナー】 医療MaaSの最前線11月17日(水)18:00申込締切

《楠田悦子》

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