元祖ワーゲンバス『タイプ2』とその系譜を辿ってみた【懐かしのカーカタログ】

VW タイプ2
VW タイプ2全 14 枚

VWのバッテリーEVシリーズの一環として、来年に入り発表されるという『ID.BUZZ』。もし実現されれば、2001年のコンセプトカー以来待たされた“ワーゲンバス”がいよいよ復活することになる。そこで今回は、懐かしい元祖ワーゲンバス『タイプ2』とその系譜を辿ってみた。

タイプ2(1950年)

VW タイプ2VW タイプ2

ビートル(タイプ1)とともにおなじみのタイプ2(T1)は、1950年に誕生。もともとはデリバリーバン(後部に窓のない、いわゆるパネルバン)としてスタート。しかしマイクロバス、シングルキャブのピックアップなど、さまざまなバリエーションが展開された。日本市場でもヤナセが扱っていた。

他のVW車同様、ブラジル、メキシコなどでも生産された。1967年にはモデルチェンジが行われ、1枚モノ曲面のフロントガラスになり、リヤサスペンションに独立式が採用されるなどした「T2」に進化した。2トーンの独特のルックスを模した日本の軽自動車の改造車でも(!?)おなじみ。

T3(1979年)

VWカラベル、ヴァナゴンVWカラベル、ヴァナゴン

リヤエンジン・リヤドライブのメカニズムはそのままに、ボクシィなスタイリングを纏って一新されたのがこの「T3」。日本市場へは乗車定員が7名のマイクロバスがヤナセにより87年から正規輸入され、当初は『カラベル』の車名だったが、90年、VW/アウディの日本法人設立以降は『ヴァナゴン』に呼称変更された。

VWカラベル、ヴァナゴンVWカラベル、ヴァナゴン

後方視界に配慮した穴あきタイプのヘッドレスト、ドアの開閉に連動するサイドステップなどを備えた。搭載エンジンは2109ccの水平対向4気筒で3速ATの組み合わせ。商用の『トランスポーター』(『デリバリーバン』)も輸入されている。

T4(1990年)

VWヴァナゴンVWヴァナゴン

メカニズムがFFに一新されて登場したのがこの「T4」。『ヴァナゴン』の車名で呼ばれ、低くフラットな床が特徴で、シフトレバーはフロア式ながらレバーを運転席側に大きく傾けてウォークスルーも可能にしていた。

VWヴァナゴンVWヴァナゴン

助手席の回転機構や、背もたれを倒せばテーブルになるセカンドシート、天井に備わるセカンド/サードシート用エアコン吹き出し口などの実用前提の機能も充実。搭載エンジンは直列5気筒の2460ccで、これにオーバードライブ付きの4速ATが組み合わせられた。続く「T5」、「T6」は日本で正規扱いとなることはなかった。

シャラン(1995年・初代)

VW シャラン(初代)VW シャラン(初代)

“T”ではないが、その後のVWのピープルムーバーとして登場したのが『シャラン』。初代はフォードとの協業により生まれたモデルで、日本市場へも『ギャラクシー』名義で投入された。乗車定員は7名で、日本市場に導入されたモデルには2791ccの“VR6”が搭載された。

シャラン(2010年・2代目)

VW シャラン(2代目)VW シャラン(2代目)

日本市場へは2011年に投入された。両側電動スライドドアやパワーテールゲートをもつ、一般的なミニバンスタイルのクルマとなり、2+3+2名の7名乗りで、2列目は3脚個別に20度のリクライニングと前後160mmのスライドが可能。3列目は簡単な操作でフラットなラゲッジスペースとの使い分けができた。搭載エンジンは1.4リットルTSIのツインチャージャーで6速DSGとの組み合わせ。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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