勝手に選ぶ「今年の一台+α」、最も感動したクルマ、技術、人は【岩貞るみこの人道車医】

VW ゴルフ 新型
VW ゴルフ 新型全 11 枚

2021年が終わろうとしている。今年もコロナに翻弄され、そのなかで、なにができるのかとあがき、日本では東京オリパラを開催し、多くの人がワクチンを打ち、感染確認者の推移を見つめ、今、オミクロン株に立ち向かおうとしている。

さて、そんななか、毎年勝手に恒例の「今年の一台+α」である。今年、私が最も感動した「カー・オブ・ザ・2021」は、フォルクスワーゲン『ゴルフ』である。

カー・オブ・ザ・2021

VW ゴルフ 新型VW ゴルフ 新型

2021年6月に日本に上陸した8代目ゴルフ。7代目と比べると、まるで、ビフォー&アフターのような変わりっぷりだ。少し前の話になるが、7代目ゴルフの試乗車に乗った時に、ブレーキペダルを踏むたびに、キィという音が出た(個体差。すべての7代目がそうというわけではありません)。返却するときに広報担当者にその旨を伝えると「ぼくらも本国に報告している。でも、あまり真剣に受け止めてもらえない」という趣旨の返答をもらった。

ドイツ人にとって、ブレーキペダルのキィ音など、取るに足らないもの。きちんと止まるのであれば、音ぐらいでしのごの言うでない(意訳)という反応なのだと受け止めた。そうよね。日本人、細かいよね。日本の洗車のぴっかぴか度といえば、あり得ないくらいで、ちょっとの違和感も気になる日本人は、逆におかしいんじゃないかって気になったものだ。

VW ゴルフ 新型(1.0 eTSI Active)VW ゴルフ 新型(1.0 eTSI Active)

しかし、8代目のゴルフの変貌ぶり。外観デザインがしゅぱっとスタイリッシュなのは想定内として、インテリアの劇的変化はどうしたことか。こんなに先進的なデジタルコックピットにして、インフォテイメントシステムを採用して、すっきりしすぎるほどすっきりした内装にしちゃって、ドイツ人がついてこれるのかと心配するほどである。

でも、いい。すごくいい。走らせていて、ときどき視界に入るちょっと未来なインテリアは、わくわくさせてくれるのだ。乗り心地、使い勝手は、これまでのゴルフをさらに進化させたけれど、常に軸として持っている、使いやすく、安全に、楽しくというコンセプトははずしていない。コロナで自分自身を見つめなおす時間が続いているだけに、こうして基本を押さえたクルマには、強く惹かれるのである。

技術・オブ・ザ・2021

マツダ CO-PILOT CONCEPT(コ・パイロットコンセプト)車両マツダ CO-PILOT CONCEPT(コ・パイロットコンセプト)車両

続いて、「技術・オブ・ザ・2021」は、マツダのMazda Co-Pilotである。

ドライバーを常時モニタリングし、体調不良を検知したときは、自動運転走行に切り替えて安全な場所に移動~停車し、緊急通報を行うというもの。第一弾のMazda Co-pilot1.0は高速道路上だが、そのあと目指す第二弾として、一般道で実現させようとしている、その志は高い。

体調不良事故は、なにも高速道路上だけで起こるわけではないのだ。むしろ事故件数としては一般道の方が圧倒的に多い。ならば、一般道で使えてこそ、その技術の効果があるというものである。もちろん、一般道には人も自転車もいる。安全に停車できる場所が少ないうえ、状況判断も高度な技術が求められる。それでも「目指す」という技術者魂は、まさに事故の現実を見つめ、被害者を減らしたいという思いにほかならない。これから高齢者に突入する私としても、本気でがんばってほしいと願っている。

マツダ CO-PILOT CONCEPT(コ・パイロットコンセプト)車両マツダ CO-PILOT CONCEPT(コ・パイロットコンセプト)車両

マン・オブ・ザ・2021

最後、「マン・オブ・ザ・2021」は、全国の救急隊員の方々に贈りたい。交通事故で駆けつけても、負傷者がコロナに感染しているかもしれない今、真夏でも、防護服に身を包み、搬送先を探し、急変する負傷者に対応をし続け、自分の昼ご飯は日付をまたいだ夜中の2時ということもしょっちゅうという救急隊員たちには感謝しかない。

活動のなかで、コロナに感染した隊員だっている。24時間勤務ゆえ、衣食住をともにする隊員同士でクラスターになりかねない状況でもある。それでも感染対策を徹底し、ひるまず傷病者によりそってきた彼らの献身的な行動には、頭が下がる。

ありがとう、消防のみなさん。この場をお借りして心からお礼を申し上げたい。

やるべきことを強く感じた一年

さて。私個人は、毎月いくつも出席している省庁関係の会議のほとんどがweb開催になり時間的余裕がものすごくできたのと同時に、密着取材を得意とするノンフィクション取材ができずに、悶々と過ごした一年だった。同時に、自分がやりたいこと、やるべきことを強く感じた一年でもある。2022年は、それを実現していきたいと思う。

来る年は、みなさんにとって、よい年になりますように。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。最新刊は「世界でいちばん優しいロボット」(講談社)。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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