サーブ900にボルボC70、味わい深い「欧州カブリオレ」の世界【懐かしのカーカタログ】

サーブ900カブリオレ
サーブ900カブリオレ全 15 枚

今回はちょっと懐かしい欧州カブリオレを集めてみた。どのクルマもそれぞれに個性があり、今からでもまた乗りたいと思わせられる、味わい深いモデルばかりだ。

サーブ 900カブリオレ

サーブ900カブリオレサーブ900カブリオレ

映画『ドライブ・マイ・カー』の劇中車にもなったサーブ『900』。原作に登場するのはカブリオレで、ミステリアスなトーンのあのストーリーに、たとえカブリオレであっても華美にならないところが馴染んでいると思えた。

実車の『900』は前身の『99』の流れを汲む後継車として1978年に登場。’93年にオペル・ベースの2代目に切り替わるまで25年以上、基本はそのままに生産された。万一の際、ドライバーの膝へのダメージを防ぐセンターコンソールのエンジンキー、トップを畳んだ状態で沈み込むような着座位置も特徴だった。

ボルボ C70カブリオレ

ボルボC70カブリオレボルボC70カブリオレ

写真は2001年のカタログより。2434ccの5気筒ライトプレッシャーターボを搭載し、同じ『C70』名義だったクーペからカブリオレに切り替わった年のモデルだ。ボルボ車の中ではスペシャルティカーの位置づけだったが、受注生産車の扱いで納期は通常約4カ月とされていた。

プレミアム・ソフトレザーシートや、後席シートバック背後に2本のリヤサブウーファーを組み込むなどしたデンマーク・ダイナオーディオ(=当時のカタログ表記)の上質なオーディオなども特徴。ソフトトップはスイッチひとつで開閉操作が可能なフルオートマチックだった。

アウディ・カブリオレ

アウディ・カブリオレアウディ・カブリオレ

ベースはB4世代の当時の『90』で、B3の『80』よりホイールベースを65mm伸ばすなどし、ひとつ上級の位置づけだった。搭載エンジンは5気筒の2.3リットルで、ジグザグのパターンのゲート式ATを採用。Pからの移動はシフトノブを押し下げて行なう安全機構が組み込まれていた。

近年のアウディはとにかくきらびやかだが、それに較べると、余分な加飾パネルなどないこの頃の室内空間は質素で好感がもてる。亜鉛メッキを施し耐久性に配慮したフルジンクボディ、万一の際にスチールワイヤーでステアリングコラムを前方に引き寄せ、シートベルトを張るプロコンテンなどもこの当時のアウディ車の特徴。

BMW3シリーズ・カブリオーレ

BMW320iカブリオーレBMW320iカブリオーレ

BMW『3シリーズ』には初代からカブリオーレの設定があったが、カタログはE30時代に設定された320iカブリオーレのもの。返す返すもこの時代のオーソドックスな水平基調のスタイリングは眺めていてもホッとするが、カブリオレも、派手さは控えめだがどこか優雅な佇まいが特徴。

ルーフ(とカタログには書かれている)の開閉は非電動ながら、オープン時には手際よく低く畳まれ、その上をスッキリとしたデザインのカバーが覆う。トランク容量は312リットル。搭載エンジンはこの時代のだからモデル名の数字どおりの2Lの6気筒だ。

メルセデスベンツ 320CEカブリオレ

メルセデス・ベンツ320CEカブリオレメルセデス・ベンツ320CEカブリオレ

124系のメルセデスベンツは今でも根強いファンをもち、ボディバリエーションが豊富なことも魅力だったが、セダン(W)、ステーションワゴン(S)、クーペ(C)と並んで用意されたのがこのA124型、カブリオレだった。

カタログには1964年の280SEの写真を載せるなどして4シーター・カブリオレの歴史をアピールしている。が、さらにページを進めると、万一の際に0.3秒で上方に伸びるという後席後方のセーフティヘッドレスト、エアバッグ、走行中の不快な振動を吸収するバイブレーションダンパー、強化ガラス製リヤウインドゥなど、説得力に溢れた機能の説明が続く。ソフトトップは厚み20mmの繊維の層を接着させた構造。トップの開閉は電動油圧式。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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