ヤマハ発動機は、車両固定式バッテリー搭載の出力8.1kWクラス電動スクーター『E01』を日本、欧州、台湾、インドネシア、タイ、マレーシア向けに実証実験用モデルとして7月から順次導入する。
E01は、原付二種クラスのスクーターとしての実用性と都市間の移動に適した走行性能を備える電動スクーター。また、EVインフラやシェアリングビジネスなどの構築にあたって、顧客ニーズの把握やその他周辺ビジネスの可能性探求、新たな市場開拓などの実証実験用として、事業所、自治体、官公庁などに向けて導入するモデルとなる。
パワーユニットは、自社開発の高回転型空冷永久磁石埋込型同期モーター(IPMSM)を搭載する。長年培った鋳造技術と加工技術に、新たに同社独自の「平角太巻き線技術」を融合。最高出力8.1kW(11ps)/最大トルク30Nm、二輪EV用空冷モーターとして業界最高レベルの出力/トルク密度、高効率化を実現し、街中の渋滞路・低速走行時の扱いやすさ、全域でのリニアな加速感に貢献している。また、バッテリーエネルギーの高効率と高出力を両立させるため、電子制御デバイスを搭載。ガソリン車のECUに相当するVCU(Vehicle Control Unit)は速度センサーなどの情報と推定値を統合演算、BMS(Battery Management System)とMCU(Motor Control Unit)に制御信号を送り、バッテリーの過度な負担を抑え、性能安定化を図っている。
電源は大容量と高出力を両立する車両固定型リチウムイオンバッテリーを採用し、満充電での航続距離104kmを実現する。充電はコネクター共通の「急速充電器」「普通充電器」「ポータブル充電器」の3システムに対応。急速充電器は事業所や二輪販売店等への設置に適しており、1時間で残量0%→90%まで充電できる。普通充電器は自宅等私有地への設置に適しており、5時間で残量0%→100%の充電が可能。シート下収納に収まるポータブル充電器は携帯性に優れ、14時間で残量0%→100%の充電ができる。
E01の優れた走行性を支えるため、強度・剛性バランスに優れた新開発バックボーンフレームを採用。後輪懸架は同社スポーツバイクで実績のあるCFアルミダイキャスト製スイングアームとし、軽量化を図った。モーターやバッテリー、MCU等の重量物をバネ上へと配置することでバネ下重量を大幅に軽減。サスペンションとの相乗効果で良好な乗り心地を生み出す。
また、エンジンブレーキの感覚を再現した回生ブレーキや、走行状況に応じて選べる3つの走行モード、走行ログやバッテリー残量など車両情報をリモートで確認できるコネクテッドシステム、スムーズな発進を支援するトラクションコントロールシステム、取り回しで便利なリバース機能などを搭載する。
デザインの開発は、パワーモジュールと機能を視覚化するという点で、コンセプトモデル『MOTOROiD(モトロイド)』を頂点とする同社EVシリーズデザインコンセプト「人機官能EVデザイン」に基づいている。E01ではバッテリーとモーターエリアを一直線に配置し、EVのパワートレイン機能を視覚化。また、EVのクリーンさとモーターサイクルの逞しさを無機的な表情と情緒的なラインを併せ持つデザインで表現した。