ホンダのFCV用エンジンと可搬型汎用電源ユニット…水素・燃料電池展2022

ホンダの新しいFCパワーユニット(スマートエネルギーWeek春2022)
ホンダの新しいFCパワーユニット(スマートエネルギーWeek春2022)全 7 枚

ホンダは昨年燃料電池自動車『クラリティ』の生産終了を発表している。しかし、FCVやFCスタックの開発まで終了したわけではない。本田技術研究所は「スマートエネルギーWeek春2022 / 水素・燃料電池展2022」において、FCパワーモジュールと可搬型のFC電源を展示していた。

ホンダが新たに開発中のFCパワーモジュール

FCパワーモジュールは、水素供給を受けて電気を発生させる発電機だ。プロトタイプとのことで、詳細仕様は公表されていないが、唯一出力80kWという数値のみ明かされている。クラリティ向けでは100kWくらいの出力があったが、搭載するバッテリーとの組み合わせで、FCパワーモジュールの出力だけ上げればよいというものでもないそうだ。形状は自動車のエンジンブロックを彷彿とさせるが、実際車載も意識して設計しているという。

特徴は、クラリティに搭載されたFCパワーモジュールから、低コスト化を進めたこと。そして、量産をさらにしやすいように各部の生産技術に改善や工夫が凝らされた。本格的な量産・普及を視野にいれた生産性を確保する。用途は車のパワートレインだけではなく、多用途展開も考えている。そのため、耐久性も向上させているという。

ブース担当者は明言を避けたものの、ホンダから再びFCVが発売される日は近いのかもしれない。

もうひとつはコンセプト展示だが、クラリティのFCパワーユニット使った可搬式の電源ユニットだ。工事現場などで見かける発電機くらいのサイズの箱に、水素タンク、FCスタック、制御ユニット、出力インターフェイスが収められている。エンジン発電機と同様にこれ単体で汎用の電源となる。

こちらもタンク容量など詳細は非公開だが、110kWh以上の供給能力があるという。クラリティのFCユニットが100kWほどだとすると、単純計算ではそれを1時間以上維持できるくらいの水素タンクを内蔵していることになる。また、この電源ユニットは、外部タンクを接続することもできるそうで、この場合はさらに長時間、大出力の電源として利用可能となる。ちなみに110kWhの容量は、車の動力のような使い方をしなければ相当な電力量だ。リーフの60kWhのバッテリーは、一般家庭の通常使用の電力(エアコンや家電その他を普通に使った状態)4日分はまかなえる。

このユニットが外部に給電できる能力は、交流なら最大9kVA。100Vなら1.5kVAを6口。200V 6kVAなら1口とることができる。直流なら最大50kW。200V 6kVAや直流50kW。この数値は、EVのAC普通充電、DC急速充電のスペックを意識しているようだ。

展示のコンセプトモデルの出力インターフェイスにはAC100V(ロック式)のアウトレットが6つとチャデモのコネクタが設置されていた。この部分は用途によっていかようにも変えられるという。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  2. 「思ったよりだいぶ安い」トヨタ『GRヤリス』に新登場、エアロパフォーマンスパッケージに絶賛の声
  3. 「動画を観る」もっとも良い方法とは? トヨタ車純正ディスプレイオーディオ搭載車の場合は?[車内エンタメ最新事情]
  4. メルセデスベンツ『Cクラス』次期型を予告、光る大型グリル採用…初のEVも設定へ
  5. 【ジープ レネゲード eハイブリッド 新型試乗】レネゲード、ここにいよいよ極まれり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る