マフラー交換の効果って? 排気系チューンの最新トレンド[カスタムHOW TO]

マフラー交換の効果って? 排気系チューンの最新トレンド[カスタムHOW TO]
マフラー交換の効果って? 排気系チューンの最新トレンド[カスタムHOW TO]全 3 枚

マフラー交換で数十馬力のパワーアップ! というのは今は昔。しかし、触媒の交換は今の時代も数字以上に満足できる効果のあるチューニングなのだ。

◆排ガスを浄化するのが触媒。消音するのがマフラー

排気系チューンと言えばマフラー交換。純正マフラーは隔壁構造で排気ガスを溜めてから、壁に何度もぶつかりながら隣の部屋に移すことで、徐々に音量を小さくする。アフター製のマフラーはストレート構造が多く、まっすぐな穴の空いたパイプを通過するときに、その周囲に巻かれたグラスウールに消音させる。排気効率を良くしてパフォーマンスアップを図ることができる。

触媒はキャタライザーとも呼ばれるもので、マフラーとエンジンの間に取り付けられるもの。こちらは消音が目的ではなく、排ガスをクリーンにするのが目的だ。内部にはレアメタルが使われ、排気ガスとこの触媒が反応してクリーンにする仕組み。排ガスをまんべんなく綺麗にしなくてはいけないので、かなり目の細かいセルと呼ばれるフィルターのようになっていて、それを排気ガスが通過しなければならない。

◆排ガスをすぐに綺麗にするために
エンジンの近くに触媒が配置される

しかも、現在はエンジンを掛けてすぐに排気ガスをクリーンにしなければならない。触媒はある程度の温度にならないと効果が弱くなってしまう。そこで少しでも早く温めるために昔よりもエンジンに近い位置に配置されている。

余談だが、最近のクルマがエンジンを掛けた直後だけアイドリング回転数が高いのは、触媒を素早く温めるためにECUに仕込まれたプログラム。なので、1分ほどするとアイドリング回転数が落ちるのは、触媒の温度が十分なものになったから回転数が下がるのだ。

エンジンと排気抵抗となる触媒が近いほどその影響は受けやすい。そのため、最新車ほど触媒が性能をスポイルしている可能性が高いのだ。例えば86/BRZの場合は、エキマニが集合した直後に触媒が配置されている、それが20年ほど前のシルビア(S13/14/15)だと触媒はフロア下のミッションの近く。86/BRZの方がはるかに触媒がエンジンに近づいている。それだけ排気抵抗を少なくすればその効果は大きく出る。

◆浄化性能は保ったまま排気効率をよくする努力

そこで登場するのがスポーツ触媒だ。アフターパーツメーカーから発売されているもので、排ガスの浄化性能は保安基準に適合させながら、浄化するフィルターの細かさ(セルと呼ぶ)を粗くして、排気抵抗を少なくしている。セルが粗くなることによって排気抵抗は劇的に抑制される。

クルマにも寄るがシャシーダイナモによるパワーチェックをすると、スポーツ触媒導入によるパワーアップは5~10psほどと、それほど大きな数字ではないかもしれない。しかし、それ以上に体感できるのがスポーツ触媒でもある。排気抵抗が少なくなるので、アクセルに対するエンジンのレスポンスが格段に良くなる。加速したいときに瞬時に加速できるので、思った以上に速く感じる。また、シャシーダイナモはアクセル全開での出力を計測するものなので、アクセル操作に対するレスポンスは現れないのだ。

◆オススメは街乗りのクルマやターボ車にこそぜひ

特にオススメしたいのはターボ車。もともとエンジンの直後にタービンがあり、そのタービンが回ってから過給圧が掛かり、エンジンに混合気を押し込む。そのタイムラグがあり、それはターボラグと呼ばれている。スポーツ触媒を導入するとタービンの後の排気管の排圧が下がる。タービンと触媒の間の圧力が減るのだ。そうなると空気が抜けやすくなるので、タービンはもっと回りやすくなる。よって、エンジンレスポンスが劇的に良くなるのだ。

その弾けるようなパワーの出方はぜひ街乗りで体感してもらいたい。普通に信号から加速するときも、右左折をしてアクセルを踏んだときもクルマが軽く感じられるほど、エンジンレスポンスが向上するのだ。この効果はマフラーよりも、エンジンに近い触媒交換のほうが大きい。インテークチューンも大事だが、そちらよりも明らかに体感しやすい。

メカニズム的にもタービンに掛かる負荷が減るので、タービン保護の効果も期待できる。気をつけるべきは、車種によっては触媒の抜けが良くなりすぎてブースト圧が高くなったり、エンジンチェックランプが点灯する車種もある。そういった場合は、適切なエンジンECUチューンで対策できるし、触媒に合わせてECUチューンを施せば、さらに効果は高い。予算が許すならECU書き換えチューンもセットで施工したいところ。


《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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