元祖「羊の皮をかぶった狼」たちの姿を描く

60年代のツーリングカー
60年代のツーリングカー全 4 枚

『60年代のツーリングカー』
羊の皮を被った狼たち
著者:平山 暉彦
発行:三樹書房
定価:4950円
ISBN978-4-89522-773-5

【画像全4枚】

1960年代に多くのファンを魅了したツーリングカーレース。当時活躍したクルマたちを精緻で美しいカラーイラストと、国内外の文献を調査した解説文でその魅力を紹介する1冊が刊行された。

街中を走る乗用車をベースとした1960年代のツーリングカーレースは、その身近な雰囲気から熱狂的な人気となり、外国車のみならず日本においても数多くの名車を誕生させた。例えば日産『スカイラインGTR』やマツダ『ファミリア・ロータリークーペ』、そしてホンダ『N360』。ヨーロッパではアルファロメオ『ジュリアTIスーパー』やフォード『ロータス・コーティナ』、ルノー『R8ゴルディーニ』などが挙げられる。そのいずれもが普通のサルーンをベースにメーカーの技術の粋を集めて開発したクルマ達である。外見が大きく市販車とは変わらないものの、その中身はかなりの戦闘力を備えたもの。それを評して“羊の革をかぶった狼”とはここが起源である。

本書は日本及び欧州、特に英国のツーリングカーレースに登場した30台を超えるクルマたちに焦点を当て、一台一台について、当時の活躍ぶりを丹念に書き記すとともに、当時の仕様を忠実に再現した著者直筆のカラーイラストレーションを掲載して紹介。ミニに至ってはその派生であるクーパーフォーミュラジュニアMkllやいくつかのワークスモデルを描き分けるなど、著者のこだわりが見て取れる。

また、巻頭には紹介車両が実際に活躍する写真等を収録して資料性を高めているところも興味深い。

本書は1990年7月に二玄社より刊行された平山暉彦著『羊の皮を被った狼たち 1960年代のツーリングカー』を底本とし、全面的な規格の見直しや、版型、構成などを大幅に変更。イラストの追加や収録写真を刷新。巻末には1960年代の日・米・欧のツーリングカーレースの概要と、レースが展開された主要なサーキットについて当時のコース図を加え、資料の充実が図られている。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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