LFP時代のバッテリー管理システムは精度が命…二次電池展2022

スマートエネルギーWeek 2022:半導体もEV向けデバイス・ソリューションが多かった
スマートエネルギーWeek 2022:半導体もEV向けデバイス・ソリューションが多かった全 6 枚

三元系のリチウムイオンバッテリーを見直すして、LFP(リン酸鉄)バッテリーに置き換えようとする動きがある。大企業は、コバルトやリチウムなどの資源について、調達地域の人権問題や環境破壊などのリスク要因を排除したいからだ。

【画像全6枚】

しかし、LFPバッテリーをEVやエネルギーストレージとして使う場合、バッテリー制御、とくに各モジュールやセルの電圧監視が難しいという課題がある。アナログデバイセズのマルチセルバッテリモニタはLFPの監視ソリューションにも耐えるという。

バッテリー管理システム(BMS)は、温度管理によって加熱・冷却処理も重要だが、バッテリーの電圧を監視することで、使用状況や負荷に合わせた最適な充放電を制御する機能も重要だ。アナログ・デバイセズ(二次電池展2022出展)はAD変換、DA変換といったアナログICや、電源まわりの集積回路、信号処理、RFデバイスのトップベンダーだ。

バッテリーの電圧監視には、AD変換がまず必要だ。電圧というアナログ量をデジタルデータに変換することで、プロセッサ(ソフトウェア)はきめ細かい制御が可能となる。AD変換はリファレンスとなる基準電圧の正確性・信頼性が高くないと精度が出せない。同社のADコンバーターICは基準電圧をつくるツェナーダイオードがチップに埋め込まれており、精度と信頼性を上げている。正確なサンプリングが特徴である。

リチウムイオンバッテリーはセルあたりの電圧が最大4Vと、3VちょっとのLFPより高い。高出力が求められるEVバッテリーは、1V以下の電圧の差でも大きい。セルを何枚も重ねてモジュールを作り、さらにモジュールをつないで(パック)最終的な電圧と容量を確保するからだ。高度なバッテリー制御を実現するには、セル単位・モジュール単位の電圧を正確にモニタリングしなければならない。AD変換の精度が低いと測定誤差も積み重なっていく。

誤差が多ければ、たとえばSOCの計算(バッテリーの残量表示)に影響が出るほか、効率のよい制御、寿命を延ばす制御にも支障をきたす。

三元系のバッテリーは、SOCと出力電圧は連動して増える特性があるので、電圧の変動を検出しやすい。LFPはSOCが増えても出力電圧はあまり変わらない。傾きが小さいので電圧監視に高い精度が要求される。

パワー半導体だけでなく、EVやエネルギーストレージ、EV充電器、V2H(上記はソーラーパネルの発電状況のモニタリングに言えることだ)向けのソリューションにも力を入れている。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

+ 続きを読む

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産『スカイライン』新型が12月公開へ! 開発期間を半減、“日産復活の象徴”はどうなる?
  2. 【フェラーリ アマルフィ 新型試乗】瓜のつるに茄子はならぬ…優雅さと獰猛さを併せ持つ走りに触れた
  3. ベントレーのSUV『ベンテイガ』、日本13台限定「オルガン ストップ」発売…18Kゴールドプレーテッド装備
  4. 【ホンダ スーパーワン】CMFで“刺激”表現、『N-ONE e:』との同時開発だからこそできた差別化とは
  5. 【BYD ラッコ 新型試乗】1週間、日常使いをしてわかった「2つのメリット」と「3つの課題」…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 【全文PDFプレカン】日産自動車 長期ビジョン発表会
  2. タイ矢崎電線のアルミ新工場がタイに完成、生産量3倍に増強…送配電網・自動車向けに対応
  3. ボッシュ、大型商用車事業の売上倍増へ…IAA TRANSPORTATION 2026
  4. スカニア、中国で新事業開発組織「VNBC」設立…電動・自動運転輸送を加速へ
  5. 全ての体格に対応する後席用新型シートベルト、ZFが2025年央発売へ
ランキングをもっと見る