【シトロエン C5 X 新型試乗】SUV味は薄いが、ステーションワゴンとしては魅力十分…諸星陽一

シトロエンらしいフラッグシップ『C5 X』

ハイドロファンには申し訳ないが

可変サスも搭載されるPHEVが本命か

シトロエン C5 X
シトロエン C5 X全 18 枚

シトロエンらしいフラッグシップ『C5 X』

シトロエンのフラッグシップモデルである『C5 X』は、じつにシトロエンらしいクルマだった。

【画像全18枚】

C5 X発表のニュースリリースには「セダン、ステーションワゴン、SUVそれぞれの強みを組みあわせた」と書かれている。あれもこれもという十徳ナイフ(ワインオープナーとかヤスリとかがビルトインされているフォールディングナイフ)みたいなものはだいたい中途半端になるもの。ナイフならナイフ、ワインオープナーならワインオープナーという単一機能のもののほうがだいたいは使いやすい。

シトロエン C5 Xシトロエン C5 X

しかし、クルマのような高価なものはそう簡単にはいかない。スポーツカーのように走り、セダンのように快適で、ステーションワゴンのように荷物が積め、SUVの走破性があれば言うことはない。

全長4805mm、全幅1865mm、全高1490mmは日本の道路環境ではちょっと幅が広すぎな印象となるが、トヨタ『ハリアー』が1855mmであることを考えると、さほど広すぎとも言い切れないのかもしれない。つまり、ある程度のプレミアム感を持ったクルマの場合、広い車幅を受け入れざるを得ないというのが現状だ。車名にXという名前が付いているものの1490mmの全高から感じるSUV感は薄い。

ハイドロファンには申し訳ないが

シトロエン C5 Xシトロエン C5 X

走らせてみるとまずはそのゆったりとした乗り心地に感心させられる。シトロエンはかつてハイドロニューマチックというエアスプリングと油圧システムを組み合わせたサスペンションを採用していた。ハイドロニューマチックは、魔法の絨毯と呼ばれる極上の乗り心地を持っていたのだが、今は廃止されている。その理由はトラブルが多かったからだ。こう書くとハイドロファンの方から、きちんと整備していれば大丈夫という意見が飛んでくるのだが、普通の人が普通に乗るときはそんなにきちんとは整備しない。ファンの基準と一般人の基準は異なり、一般基準ではやっぱりトラブルの多いシステムと言えるだろう。

今回試乗したC5 Xには、シトロエン・アドバンスト・コンフォート・サスペンションと言われるシステムが採用されている。このシステムはダンパーのなかにもうひとつダンパーを備えるというもので、普段のゆっくりした動きのときは柔らかく作動、サスペンションがフルバンプに近くなると内蔵部分のダンパーが働き、底付きを防ぐというような動きだ。従来はバンプラバーが担当していた領域で内蔵ダンパーが作用する。このため、非常にゆったりとした乗り心地を実現しているのである。

かつてのハイドロニューマチックほどではないにしろ、かなり柔らかいしっとりした乗り心地を確保しており、これはこれでいい。スポーツモデルでもないのにシトロエンがガチガチの足まわりのクルマを出してきても喜ぶ人は少ないだろう。ハイドロに比べるとまだまだ…という意見も出てくるだろうが、構造的にハイドロよりはトラブルは少ないだろう。トラブルの確立が高いシステムより、トラブルの確立が低いシステムのほうが私は優れいてると思う。

可変サスも搭載されるPHEVが本命か

シトロエン C5 Xシトロエン C5 X

搭載されるエンジンは例の1.6リットルターボである。このエンジンはPSA時代にBMWと共同開発したもので、すでに15年以上にわたって主力エンジンとして使われている。180馬力/250Nmのスペックは1.5トンのボディを走らせるにはちょうどいい。これ以上にパワフル、トルクフルとなると、足まわりに不安が残る可能性もある。

ゆったりとした乗り心地と必要十分なエンジン出力。そして独特の高級感が漂うインテリアはシトロエンらしいものであった。さすがに「セダン、ステーションワゴン、SUVそれぞれの強みは組み合わされた」とはいかなかったが、ステーションワゴンとしての魅力にはあふれるモデルであった。エンジン車ならば、トップグレードのシャインパックでも530万円。昨今の物価高騰、円安傾向を考えればフラッグシップモデルでこの価格は妥当だろう。

今回試乗したC5 Xはピュアエンジンモデルであったが、じつは81馬力/320Nmのモーターを組み合わせたPHEVも設定されており、遅れて日本にも導入される予定だ。PHEVは車重が約1.8トンとなり、サスペンションが可変式となる。C5 Xとしてはこちらが本命だろう。可変式のシトロエン・アドバンスト・コンフォート・サスペンションも楽しみである。

シトロエン C5 Xシトロエン C5 X

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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