2022年9月初旬、日本では南西諸島付近に台風11号が居座っていたころ、当地ベンガルールも大雨に見舞われていた。
IMD(India Meteorological Department、インド気象庁)によると、1981年から2020年の降水量は年平均1000mmに満たないそうだが、例年なら最も降水量の多い9月、10月を含む4カ月を残して本年は既に1600mmに達し、1947年以来の観測史上最大値に至ったという。10月以降もまとまった雨が見込まれるとの注意喚起がなされているから、果たしてどこまで記録が伸びてしまうのか。経験則の2倍にも至る気象変動が都市機能にどう影響するか、家族や仲間の安全、身の処し方も含めて注視しておく必要がある。
元来、気候の良さが取り柄の当地。これまでは特定の数か月に限って夕立や夜半にさっと降る程度の雨が中心だったから、何日も続く激しい雨は経験がない。都市そのものが標高900m超のデカン高原の南端にあり限られた河川を水源としているため、むしろ周辺地域との水利問題が絶えないのが常。取水量による争いが暴動に発生して戒厳令により外出が制限された経験は何度かあるが、「水余り」による混乱は初めてだ。歴史的には水不足に備えて溜池が各所に設けられていて、その水位が季節の変化を知る指標にもなっている。