日本でも普及しはじめた電動キックボードの安全性が問われている。不幸な事故も発生するなか、どのように社会に実装すればいいのか。電動キックボードのシェアリングサービスを欧米で展開する世界的な大手サービサーであるTier社と、BMWとも協業する電動キックボードメーカーであるSOFLOW社に、安全性やサービス運営上のノウハウなどを聞いた。
電動キックボードシェアリングサービス「Tier」
回答者:Mr. Florian Anders / Head of Corporate Communications

560都市33カ国に展開するTierのサービス
---:Tierがサービスを展開している地域とその運用台数は?
アンダース氏(以下敬称略):グループ全体では、北米の子会社を含めて560都市 33カ国、車両35万台以上。北米はSPINブランド、欧州ではNEXT BIKEというブランドも展開している。Tierブランドだけで言えば欧州と中東で150都市22カ国になる。
現在ののべ利用回数は約3億回。最大の市場であるベルリンで約1000万回となっている。ベルリンとパリが大きな市場だ。
---:35万台の運用規模はかなり大きいが、ライバル企業は?
アンダース:世界的なサービサーとしてはLimeとBird。欧州ではDOTとVoiが競合になるだろう。しかし競争相手という意味では自家用車だ。自家用車を代替する形でモビリティを提供していきたい。
---:電動キックボードが世に出てから数年経つが、ハードウェアはどのように進化してきたのか。
アンダース:最初は個人ユーザー向けと同じ車体を使っていたが、現在は、全体的に耐久性を向上するとともに、乗車するボードの部分を大きくして安全性を高めたり、停める時のスタンドを倒れにくいものに改良している。またGPSの精度を向上して走行禁止エリアの走行の検知や駐車禁止エリアの警告などを計画している。
このような改良を重ねた結果、現在は第5世代となっており、ミュンヘンやブタペストなどの地域では第6世代を投入している。また今後はADAS技術の導入を計画している。これは、電動キックボードで歩道の走行禁止帯を走ると危険なので、その走行を検知すると走れなくするもの。ロンドンで実証実験をするためのパイロットプロジェクトを進めている。

---:電動キックボードのシェアリングサービスを展開するうえで、大きな課題は何か。クルマとの事故、歩行者との事故、あるいは歩道への放置問題もあるが。