30年前、ほぼコンセプトカーのまま発売されたマツダ『AZ-1』の衝撃【懐かしのカーカタログ】

オートザム AZ−1のカタログ
オートザム AZ−1のカタログ全 7 枚

今からちょうど30年前の1992年10月、当時のマツダ系販売チャネルのひとつ、オートザムから発売されたのが、このマイクロスポーツ軽カー『AZ-1』だ。ホンダ『ビート』、スズキ『カプチーノ』に次いでの登場だった。

ほぼコンセプトカーのまま発売されたマツダ『AZ-1』当時のカタログ

ガルウイングもコンセプトカーそのままに

1989年の第25回東京モーターショーに「AZ550 SPORT」としてコンセプトカーが登場。このコンセプトカーは550cc時代の軽規格に合わせ、外観ではリトラクタブルヘッドライトを持ち、インパネ形状なども異なるデザインだったが、ガルウイングドアを始め、ほぼ市販車と差異のない姿形のクルマだった。

実車は全長×全幅×全高=3295×1395×1150mm、ホイールベースは2235mm。搭載エンジンはスズキ製のF6A型660cc・3気筒DOHCインタークーラーターボ付き(64ps/8.7kgm・ネット)で、これにミッドシップレイアウトを採用。2名乗車時で前後重量配分は44:56、車両重量はエアコン付きで720kgで、パワーウエイトレシオは当時の軽自動車ではトップクラスの11.25とした。

サスペンションは前後マクファーソンストラット、タイヤサイズは前後とも155/65R13 73Hで1本あたり7.05kg(アルミホイール4.9kg)と当時の資料にはある。

『ビート』以上にホットな走りを堪能させてくれた

また何といっても特徴だったのは、スチール製のスケルトンモノコックフレームに樹脂の外板をボルト停めする構造だったこと。このことを利用し、イタリアを始め社外の工房が手がけたボディキットも存在した。またガルウイングドアは開閉時の横方向のスペースは320mm(=片側)で済むなど、通常のヒンジ式ドアを上回る利便性もあった。

89年登場の『ユーノスロードスター』(開発主査はどちらも平井俊彦主査だった)以上に低い着座位置、短いストロークのシフト、シュンシュンと回るエンジン、シャープなハンドリングなど、同じミッドシップのホンダ『ビート』以上にホットな走りを堪能させてくれるマイクロスポーツカーだった。

OEMとして発売されたのがスズキ『キャラ』で、こちらは角形・イエローのハロゲンフグランプを装着するなど、ほんの僅かだけデザインが異なっていた。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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