「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での商用飛行に向けて - 経済産業省 次世代空モビリティ政策室 石尾拓也氏[インタビュー]

「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での商用飛行に向けて - 経済産業省 次世代空モビリティ政策室 石尾拓也氏[インタビュー]
「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での商用飛行に向けて - 経済産業省 次世代空モビリティ政策室 石尾拓也氏[インタビュー]全 6 枚

経済産業省は、2025年大阪万博で空飛ぶクルマの商用飛行を目標に掲げている。その狙いとは何か。実現可能性はいかほどか。

12月1日にオンラインセミナー「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での実装に向けてが開催される。「空の移動革命~大阪・関西万博での実装に向けて」をテーマに講演する経済産業省 製造産業局 次世代空モビリティ政策室 室長補佐の石尾拓也氏へ事前のインタビューでセミナーの見どころについて聞いた。

【オンラインセミナー】「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での実装に向けて
<1>空の移動革命~大阪・関西万博での実装に向けて
14:00-14:20

1.空飛ぶクルマとは
2.空飛ぶクルマの現状
3.官民協議会の検討状況とロードマップ
4.今後の取組みの方向性

セミナーの詳細・お申込はこちらから。

「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での商用飛行に向けて - 経済産業省 次世代空モビリティ政策室 石尾拓也氏[インタビュー]「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での商用飛行に向けて - 経済産業省 次世代空モビリティ政策室 石尾拓也氏[インタビュー]

空飛ぶクルマの定義とは

---:今回は「空飛ぶクルマ」に関するセミナーですが、空飛ぶクルマとは具体的にはどのようなものなのでしょうか。

石尾:技術的には電動であることや垂直離着陸ができることが大きなポイントとなっています。例えばヘリコプターと比較しますと、ヘリコプターよりも少ない部品点数で安く製造および整備をすることができ、騒音も小さくなります。

さらには垂直離発着ができますので、これまでの地上の交通インフラを線と捉えるなら、点から点への移動ができるようになります。空飛ぶクルマは、これまでの移動の概念を変える新しい交通のインフラであると考えています。

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---:空飛ぶクルマのイメージとしては、ヘリコプターほどの大きさの電動有人ドローンのようなものでしょうか。

石尾:そうですね。ヘリコプター程度のサイズをまずはイメージしていただくのが良いと思います。実際のサイズは想定している運航によって変わりますが、2人乗りのような一番ミニマムなものは、ヘリコプターサイズがイメージに近いです。

一度のフライトで多くのお客さまを乗せられるほうがビジネス的には収益を得やすくなりますので、メーカーによっては5名から6名が乗れるような機体の開発も進んでいます。この場合、一回り大きなものになってくるかと思います。

---:街なかの離着陸に関しては、ヘリポートをイメージすればいいのでしょうか。

石尾:おっしゃる通りです。垂直に離発着できますので、まさにヘリポートのようなものをイメージいただければと思います。

違いとしては、空飛ぶクルマは基本的には電動で飛行しますので、離発着場において燃料を入れるかのごとく給電して電力をチャージ、またはバッテリー交換をすることになります。現在のヘリポートそのものではなく、空飛ぶクルマに合わせてカスタマイズする部分は出てくると思っています。

---:なるほど。よく分かりました。

石尾:では、空飛ぶクルマが実現すればどのようなことが解決され、どのようなところで使われるのか。まずは都市部・地方部に分けてご説明します。

都市部では今後さらに人口が集中することが可能性として考えられます。すでに渋滞問題が課題になっている中でさらに人口が密集すると、渋滞がより深刻化します。空飛ぶクルマを使い、空という交通ルートを開放することで、地上の渋滞を解消する。また、空を移動することで、より快適で高速な移動を可能にする。このような活用を考えています。

また地方においては、限界集落が増え、交通インフラの維持が難しくなることも予想されています。こうした中でも空飛ぶクルマを活用することによって、移動や物流の手段を確保することができるのではないかと考えています。

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またそれ以外にも、空飛ぶクルマを使った物流や、災害時や緊急時における防災ヘリの代替。さらに娯楽・観光においては、空飛ぶクルマによって、より身近な娯楽・観光体験ができるようになるのではないかと期待しています。

空飛ぶクルマによって広がる産業の可能性とは

---:空飛ぶクルマとその周辺産業はどのようなものがあるのでしょうか。

石尾:関連するサービスは多岐にわたります。一番イメージしやすいのはもちろん機体を造るメーカーだと思いますが、現在の飛行機を考えてみても、航空機メーカーと飛行機を運航させてお客さまを運ぶ事業者は異なります。

空飛ぶクルマも同様に、機体を造るメーカー、その機体を使って人やものを運ぶ事業者、それから空飛ぶクルマ向けの保険などが考えられます。また、空飛ぶクルマは空を飛ぶわけですが地上から離発着する必要がありますので、空飛ぶクルマ向けの離発着場も今後整備が進んでいくと考えています。

街なかに空飛ぶクルマの離発着場を造ろうとすると、街づくりや街のインフラとも関連してきます。例えば、新しく高層ビルを建設する際には、空飛ぶクルマの離発着場を備えたものを造る。あるいは、都市の中にスペースを確保して離発着場を造る。このような形でインフラに関わる事業者にも関係していきますし、空を安全に飛行するためには通信環境や官制システムも必要ですので、通信・管制関連のサービサーにも及びます。

このように、空飛ぶクルマという1つのツールから幅広い産業・ビジネスが広がっていくと考えています。

こちらは世界の市場予測データになりますが、2040年には約154兆円もの市場に拡大すると予想されています。ですので、日本においてもしっかりと空飛ぶクルマを根付かせるために、取り組みを進めているところです。

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世界規模でまさに開発が進んでおり、実機を用いたテストフライトも実施されています。日本国内でも、大手メーカーであるホンダをはじめとして、SkyDrive社やテトラ・アビエーション社などベンチャー企業が開発に取り組んでいます。商用運航に向けてさらに開発を急がれているという状況にあります。

大阪万博で商用飛行を目指す

石尾:大阪・関西万博においてお客さまを乗せて飛行する。つまり空飛ぶクルマの商用飛行を実現することで、その後の空飛ぶクルマの社会実装をしっかり広げていきたいと考えています。

---:商用飛行はもう決まっているのですね。

石尾:そこを目指しているということです。そのためには、機体が安全であることの証明を取る必要があります。また、その他周辺の環境整備や運航ルールをどうするのか、離発着場をどう整備するのか、このようなルールも整備する必要もあります。2023年度までにルールを整備し、2024年度はその整備されたルールの上で、機体も含めた周辺の環境を整える。そして、万博で空飛ぶクルマを実現するという段取りを考えています。

---:なるほど。

石尾:経済産業省は、この中でも特に利活用と技術開発に取り組んでいます。利活用においては、どのように空飛ぶクルマが社会実装されていくのかについて関係各所としっかり議論する中で、将来の絵姿を描いています。

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大阪・関西万博を契機として、その後は二次交通での利活用を考えています。飛行機で空港まで行き、そこから次の都市や観光地に移動するような形、つまり二次交通としてまずは入っていく。それがしっかりと進んでいくと、次は都市間で移動できるような、もう少し身近なツールになっていく。最終的には、自宅の目の前から空飛ぶクルマが飛び立って好きなところに降りていく。そのような形で空飛ぶクルマのネットワーク網が広がるという展開を期待しています。

実際にどのように飛ばすのかにつきましては、遊覧飛行だけではなく、近隣の空港などとの2地点間飛行を行いたいと考えています。近隣の空港から万博会場へ空飛ぶクルマでの移動を実現したい。そして、期間中に1~2度飛ぶだけではなく、高い頻度で定期的に飛ぶことによって、将来的に空飛ぶクルマが社会インフラになることを実感してもらう。このようなことを万博の中で実現できればと考えています。

経済産業省 石尾補佐が登壇する【オンラインセミナー】「空飛ぶクルマ」大阪・関西万博での実装に向けては12月1日開催。

《佐藤耕一》

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