アドレスの化粧直しじゃない!“シン・通勤快速”『アヴェニス125』はキビキビ走るすごいヤツ

スズキ アヴェニス125 新型
スズキ アヴェニス125 新型全 32 枚

スズキは、125ccクラスの新型スクーター『アヴェニス125』を発表し、2022年10月21日から販売を開始した。「アヴェニス125」は、ひと足早く発売された『アドレス125』の兄弟モデル。開発コンセプトには「The Urban Arrow」を掲げ、街中をキビキビと駆け抜ける軽快なスポーツスクーターとして誕生した。これまで、その座はアドレスシリーズが担ってきたわけだが、今回のモデルチェンジでシックな大人路線へとキャラ変。それに代わる通勤快速が、この新型アヴェニス125というわけだ。

◆アドレスの単なる「化粧直し」とは呼べないアグレッシブなスタイル

アドレス125(左)とアヴェニス125(右)アドレス125(左)とアヴェニス125(右)

実際、そのスタイリングは、かなりアグレッシブに仕立てられている。シャープさを強調したフロントカウルは、かなりエッジが立ったもので、サイドカウルやメーターバイザーはモトクロッサーの外装がモチーフになっている。空気を切り裂くようなそのイメージは、マフラーカバーにまでおよび、アドレス125に与えられた丸みがことごとく排除されている。

兄弟モデルではあるが、単に外装を変えただけの化粧直しではない。エンジンのマッピング、フレーム形状、足まわりのセッティングにまで手が加えられ、走りのパフォーマンスも引き上げられているという。

◆加速重視のセッティングと、通勤に嬉しい低燃費

スズキ アヴェニス125 新型スズキ アヴェニス125 新型

搭載されるエンジンは、124ccの空冷4サイクルSOHC単気筒だ。6.4kW(8.7ps)/6750rpmの最高出力と、10.0Nm(1.0kgf・m)/5500rpmの最大トルクは、アドレス125と共通ながら、ECUの変更によって加速重視へと振られている。これに関して、エンジン実験担当の杉芳典さんに聞いたところ、「特にゼロ発進からの加速感が向上しています。比較するとその差を体感して頂けますし、燃費も損なわれていません」とのことだった。

スペックを比較してみると、燃費は損なわれていないどころか、アヴェニス125の方がむしろいい。アドレス125の燃費が、WMTCモードで53.8km/リットルなのに対し、アヴェニス125は、54.3km/リットルを公称。燃料タンク容量もアドレス125より0.2リットル(アヴェニス125:5.2リットル/アドレス125:5.0リットル)とはいえ、多く入るのだ。

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アラを探せば、車重が2kg重いこと(アヴェニス125:107kg/アドレス125:105kg)と、シート高が10mm高いこと(アヴェニス125:780mm/アドレス125:770mm)、そしてシート下スペースの容量が0.3リットル小さいこと(アヴェニス125:21.5リットル/アドレス125:21.8リットル)が挙げられるが、微妙といえば微妙なところ。静止状態でまたがると、確かにアヴェニス125のシート高はやや高い。ただし、表皮がパンッと張っているおかげで身体が動かしやすく、このあたりもスポーツ性を重視した作り込みが見て取れる。

フレームの主要部位はアドレス125と共有しながらも、シートレールを高くするなど、走行性能に合わせて剛性と安定性を最適化。サスペンションもやや引き締められているとのことなので、そのハンドリングはかなり異なっているはずだ。

◆若々しさと軽やかなフットワークなら「アヴェニス」か

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燃料の給油口がシート後方に設けられているのは、アドレス125と同様だ。ただし、アドレス125のキャップが地面に対して斜めになっている一方、アヴェニス125は水平のエアプレーンタイプを採用。これは一長一短があり、トップケースを装着しないのならアヴェニス125の方が給油しやすく、装着するならおそらくアドレス125の方が視認しやすい。こうした違いからも身軽さを優先して設計されたことが分かる。

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アヴェニス125にあって、アドレス125にないもの。それが、ハンドル左側に備えられたリヤブレーキロックシステムだ。これがあれば、停車時に車体が前後しないように固定することができ、利便性や安全性の点であるに越したことはない。また、フロントカウル内側にはふたつのインナーボックスを備えている点も異なる。(アドレス125はひとつ。そのぶんレッグスペースに余裕がある)

いずれ実際の走行を通して、両モデルの違いを明解にしたいところだが、若々しさと軽やかなフットワークでは、アヴェニス125に軍配が上がることは間違いなさそうだ。アヴェニス125のカラーバリエーションは、パールミラージュホワイト/マットフィブロイングレーメタリック、マットフィブロイングレーメタリック/ラッシュグリーンメタリック、グラスパールブラック/マットブラックメタリックの3色。価格は、28万4900円となる。

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《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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