三菱ラリーアート復活の軌跡…アジア諸国を1700km、アジアクロスカントリーラリーで優勝

三菱ラリーアートがアジアクロスカントリーラリーで優勝。写真はSS1のスタートシーン
三菱ラリーアートがアジアクロスカントリーラリーで優勝。写真はSS1のスタートシーン全 7 枚

三菱自動車はちょうど1年前のバンコクモーターエキスポにて、「ラリーアート」ブランドの復活を宣言していた。その宣言から1年後となる2022年11月下旬。三菱は「チーム三菱ラリーアート」という形でFIA公認のアジアクロスカントリーラリーにピックアップトラックのトライトンで参戦、見事優勝を勝ち取った。

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◆アジア諸国を1700km、ラリーアート復活の軌跡

今回はフラットダートのような路面が多かった今回はフラットダートのような路面が多かった

ワークスとしての参戦ではなく、タイのチームに技術提供という形であるが、そのバックアップ体制はかなりの規模であった。アジアクロスカントリーラリーはアジア地区で複数の国にまたがって行われるクロスカントリーラリーで、今回はタイのブリラムをスタート。カンボジアのシュムリアップでゴールするというスケジュールで開催。総走行距離は1700kmにおよぶロングディスタンスだ。

当初、チーム三菱ラリーアートは3台体制で参戦する予定であったが、SS1直後に1名のドライバーが新型コロナウィルスに感染していることが判明。この1名がドライブする119号のマシンはリタイヤを決め、急きょ2台体制での参戦となった。SS1はわずか3kmのターマック(舗装路)で行われたタイムトライアルで、翌日のSS2でのスタート順位を決める要素の強いものであった。

SS2は今回のSSのなかでももっとも長い200km強のコースであった。コースコンディションはラフロードに無数の穴が存在するようなタフなものであったが、105号車のチャヤポン・ヨーターが2位に4分7秒と大きなリードを持ってトップタイムを記録。118号車のリファット・サンガーはパンクに起因するリヤサスペンションのトラブルでこの日のSSは5位に終わった。

乾期の入り口だったタイだが、冠水しているコースも多かった乾期の入り口だったタイだが、冠水しているコースも多かった

105号車のチャヤポンは、それぞれのSSで好タイムを記録。SS個別のタイムではトップとならない日もあったが、初日の4分7秒のリードが功を奏し、オーバーオールではつねにトップという状態で最終日を迎える。最終日のリードタイムは8分15秒であった。

最終日のSS6はタイではなく、国境を越えたカンボジアで行われた。SS6は約50kmと短い距離であったので、チャヤポンの優勝は決まったようなものだった。しかし、なにが起こるかわからないのがモータースポーツの世界、とくにクロスカントリーラリーではスタック1回で順位がひっくり返ることもある。

チーム総監督である増岡浩は「万が一スタックしたらけん引用準備をして、4台後ろにいる118号車のリファットを待て。リファットにはサポートするように指示している」と伝えたという。事実、一部は沼のようなマッド路面にはまり身動きが取れなくなったマシンもいた。そうした心配はあったものの、105号車のチャヤポンはトップタイムを維持したままゴール。チーム三菱ラリーアートは見事に優勝。復活ののろしをあげた。

SS5終了後、勝利を確信したチャヤポンは、1をかざしたSS5終了後、勝利を確信したチャヤポンは、1をかざした

◆優勝を意識したのはSS4が終了時点だった

スタート前、増岡浩総監督は「ねらうは上位入賞」と言っていたが、その気持ちは徐々に“優勝”に向かっていたという。ゴール後に話を聞いたところ、優勝を意識したのはSS4が終わった時点、確信したのは最終SS1つ前のSS5が終わった時点であったという。

モータースポーツに対する風当たりはいつも強い。そうしたなかでラリーアートというブランドを復活させたからには、絶対に結果を残さないとならないという大きなプレッシャーが増岡氏にはあったはずだ。ラリー終了後に本社に直接連絡した増岡氏は「困ったことがあったら何でも相談してくれ、と言われたよ」と満面の笑顔で教えてくれた。

セレモニアルゴールでの風景。マシンの上に立つ向かって左がドライバーのチャヤポン・ヨーター、右がコドライバーのピーラポン・ソムバットウォンセレモニアルゴールでの風景。マシンの上に立つ向かって左がドライバーのチャヤポン・ヨーター、右がコドライバーのピーラポン・ソムバットウォン

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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