車載カメラ用の高温耐久プラスチックレンズを開発、自動運転技術へのさらなる貢献を目指すタムロン

タムロン コンポーネント機器事業本部 営業二部 部長の吉原均氏(左)と同設計技術二部 部長の櫻庭宏光氏(右)
タムロン コンポーネント機器事業本部 営業二部 部長の吉原均氏(左)と同設計技術二部 部長の櫻庭宏光氏(右)全 12 枚

一眼カメラユーザーなら、「タムロン(TAMRON)」という名前を知っている人も多いだろう。一方で、カメラにまったく興味がないと「初めて聞いた」となるかもしれない。実はタムロンは1950年に創業した日本を代表するレンズメーカーとしてグローバルで事業を展開するメーカーなのだ。

同社は車載用レンズも手掛けており、今後その領域をさらに拡大していくという。一眼カメラ用とはまったく異なる領域へ参入する狙いはどこにあるのか。タムロンで開発を担当するコンポーネント機器事業本部 設計技術二部の櫻庭宏光部長と、営業を担当する同本部 営業二部の吉原 均部長の2人に話を聞いた。

あえての市場参入、商機は?

櫻庭氏によれば、タムロンは一眼カメラ用交換レンズが主力であることに今でも変わりはないが、同社はもともと産業分野でのFA(ファクトリーオートメーション)の分野へも早い時期に参入していた経験があったという。そんな中で次なる領域として進出したのが自動車関連分野だ。最初の仕事はリアビューカメラ用レンズで、それが2008年のことだった。

そんな中、世の中では衝突被害軽減ブレーキなどを搭載する車両が登場し始め、センシングにカメラやレーザーを使う例が相次ぐようになる。タムロンはこの動きにいち早く反応し、ここに新たな市場性があると判断。2010年頃にはその開発をスタートさせ、2014年には一部製品を量産するまでになる。さらに2016年にはレーザーを使うLiDAR用レンズ開発にも着手し、今後はADASの普及や自動運転の進捗により、車載用レンズの需要は今後急拡大すると見込んでいるという。

ただ、車載用レンズ市場はすでに大半が中国製で占められている状況にあり、特に「価格面を踏まえると日本製が太刀打ちできる状況にはない」と吉原氏は話す。しかし、タムロンはあえてその市場に参入することを表明。一体どこに商機を見出しているのだろうか。

それについて櫻庭氏は、「違いを発揮できるのはその品質にある」と断言する。実は中国製が高いシェアを維持できているのは、日系企業が参入の検討をしていた黎明期から中国メーカーが参入しているという先行メリットが大きい。近年、市場拡大に伴い品質面が重要視されてきた事と、高度な車制御が必要になる事でセンサーの性能が上がり、より高性能なレンズの需要が高まってきた。OEMに求められる高いスペックをしっかり実現することができれば、価格が多少高くても商機は十分あるということにもなる。タムロンの狙いはまさにここにあったわけだ。

タムロンの車載用レンズ

温度変化に耐えられるプラスチックレンズを開発

ではタムロンが発揮する技術力はどんなところに発揮されるのだろうか。


《会田肇》

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