“動力用”ロータリーエンジン最後の搭載車、マツダ『RX-8』は忘れられない一台だ【懐かしのカーカタログ】

マツダ RX−8
マツダ RX−8全 9 枚

ロータリーエンジン(RE)を発電機として使用する独自のプラグインハイブリッドモデル、『MX-30』のe-SKYACTIV R-EVが欧州でついに公開された。そこで今回はREを“動力用”に搭載した最後のモデル『RX-8』を取り上げてみたい。

◆マツダスポーツの伝統的なデザインとフリースタイルドア

マツダ RX−8マツダ RX−8

コンセプトカーの『RX-EVOLV(RXエボルブ)』が東京モーターショーに姿を現したのが1999年。このモデルはロータリーエンジンを搭載、観音開きのフリースタイルドアを採用した4座席ではあったものの、実はもともとは当時のアメリカ発のコンセプトをベースに開発された4ドアスポーツセダンだった。

さらに2001年になるとデトロイトショーで『RX-8』名義のコンセプトカーを出品、ここからリファインが重ねられたのが市販車のスタイルだった。RX-EVOLVに対してキャビンがグッと短く、よりスポーツカーらしいフォルムにこだわった点が特徴で、リヤドアはよりコンパクトなものに。

マツダ RX−8マツダ RX−8

立ったリヤピラーと大きくラウンドしたリヤウインドゥは『コスモスポーツ』や『RX-7』でも見られた、マツダのスポーツカーの伝統的なデザインだ。4ドア4シーターをスポーツカーでモノにした観音開きの“フリースタイルドア”はご存知のとおり現行『MX-30』にも同名で採用されたが、RX-8のそれは約900mmの開口幅をもち、優れた乗降性も確保していた。

インテリアでは、前後ドアをフルオープンさせた時に目に飛び込んでくる、前後に貫通したセンターコンソール、ローター型のシートベゼル、シフトノブなどがポイント(ローターのモチーフは、ほかにディーラーオプションのリヤフォグ、スカッフプレート、スペシャルキーなどでも使われていた)。

メーターは3眼式とし、中央はアナログ式のタコメーターとデジタル表示のスピードメーターの組み合わせ。タコメーターは6時の位置を起点に7500rpm+あたりが12時の位置、フルスケールで10000rpmまで目盛られていた。

◆新世代のロータリーエンジンRENESIS

マツダ RX−8マツダ RX−8

そしてこのRX-8に搭載されたのが“RENESIS(レネシス)”と名付けられた新世代のロータリーエンジン(以下RE)だった。13B-MSPの型式が与えられたこのREは、654cc×2と排気量はそれまでの13B型と共通の自然吸気ながら210ps/22.6kg-m(いずれもネット値・当時のカタログ値。ハイパワー版は250ps/22.0kg-m)のスペックをモノにした。

最大の特徴はサイド吸気/サイド排気の採用で、それまでの不都合だった吸排気オーバーラップをなくし、これにより充填効率や燃焼効率を改善し高出力、高トルクを達成したほか高回転化も実現。S-DAIS(シーケンシャル・ダイナミックエアインテークシステム)や、電子制御スロットルも採用された。

マツダ RX−8マツダ RX−8

アドバンスドフロントミッドシップと呼ばれ、338mmに高さが抑えられたエンジンは『RX-7』に対してさらに40mm低く60mm後方に搭載。今から20年前の20003年のデビューから2013年の販売終了までちょうど10年。最後のRE搭載車として忘れられない1台だ。

なお写真のカタログは登場時のもので、黒地にREのカット写真が載った表紙が本カタログ、赤い表紙はイメージ写真などを載せたフォトブック。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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