新型プリウスKINTO専用グレードに込められたビジネスの仕組みとは – KINTO マーケティング企画部 曽根原由梨 部長[インタビュー]

新型プリウスKINTO専用グレードに込められたビジネスの仕組みとは – KINTO マーケティング企画部 曽根原由梨 部長[インタビュー]
新型プリウスKINTO専用グレードに込められたビジネスの仕組みとは – KINTO マーケティング企画部 曽根原由梨 部長[インタビュー]全 7 枚

2019年3月にスタートしたKINTOは、設立4か月で合計50台というスロースタートとなったが、様々なサービス改善によって現在(2022年11月末時点)では累計約5万2000件の申込み件数を積み上げるまでに至った。

まもなく開催される無料のオンラインセミナー「2023年「クルマ×金融」各社の挑戦~サブスク・リース・法人・個人・新車・中古車~」に登壇するKINTO マーケティング企画部 部長の曽根原由梨氏に、これまでのKINTOの歩みや、さらに新型プリウスからスタートした新たな取り組み「KINTO Unlimited」に込められたビジネスの狙い、そしてセミナーの見どころについて聞いた。

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◆KINTOを成長路線にのせるまで

---:KINTOのスタートは低調だったとのことですが、その後どうなって成長路線に乗せることができたのでしょうか。

曽根原:はい、手前味噌ながら、企業努力の側面と、お客様のニーズ変化、そして販売店さんの理解拡大という三つの要素があると思っています。

我々の企業努力としては、まず取り扱い車種を増やしました。最初は3年プランのみ5車種しか扱っておらず選択肢が少なかったのですが、車種数を増やしたりレクサスブランドを追加、さらに法人様からのお申し込みも受け付けるようにしたり、あとは長い年数のプランを用意する、といった改善を、お客様の要望等をふまえ実施しました。

二つ目のお客様のニーズ変化という点では、コロナが蔓延し始めて、改めてマイカー、パーソナルモビリティのニーズがクローズアップされ、お客様層が広がったのではないかと思っています。またちょうどその頃、メディア発表会を実施したのですが、メディアの方々からポジティブな記事・コメントが出てお客様の見方も変わったと感じました。

三つ目の販売店さんに関してですが、最初はKINTO推進にご賛同いただける販売店が多くはありませんでした。KINTO取り扱い店として手は挙げていただくのですが、推進に至らない販売店さんが多かったです。そんななか、興味を持ってくださったとある販売店さんと一緒にお客様へのご案内や必要なツール類をつくりこみ、こういうお客様にこう伝えるとお客さんも販売店さんも嬉しいんだという好事例を示せるようになり、そこから広がっていったのだと思います。

このようにお客様、販売店さん、そして手前味噌ながら企業努力というこの三つの要因が潮目の変化に繋がっていると思っております。

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◆新型プリウスから始まるKINTO Unlimited

---:これまで、KINTO専用の車種やグレードなども用意されたということですが。

曽根原:はい。例えば、2022年のトヨタ初の量産バッテリーEV「bZ4X」の取り扱いです。地球資源であるバッテリーを大事に使いたいというトヨタの意向もあって、クルマの状態を見守れる販売形態がいいということで個人向けについては、リース(サブスク)のみ取り扱うことになりました。

---:これはバッテリー保証も含めた専用プランということなんですね。

曽根原:そうです。bZ4Xの契約期間である10年間、または走行距離20万kmまでの間、容量70%を保証しますので、最長10年間安心してお乗りいただけます。

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---:国や自治体のEV補助金の分も反映して値引きされるそうですね。

曽根原:そうです。経産省のCEV補助金と、地方自治体の補助金が両方適用されます。お客様のお申し込みいただいたご住所を見て、一人ひとりのお客様の状況を見ながら、補助金の額も含めたリース料金で設定しております。

---:なるほど。次に先日発売された新型プリウスですが、新たな取り組みであるKINTO Unlimitedの対象グレードがあるそうですね。

曽根原:はい。KINTO Unlimitedの対象グレードとして1.8リッターの「Uグレード」をご用意しています。このUグレードでは、これまでのKINTO ONEに納車後にクルマが進化する「アップグレード」と、お客様の運転やクルマの状態を見守る「コネクティッド」という二つの付加価値を加えています。

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クルマが進化するというのは、契約後でもクルマのソフトウェアやハードウェアのアップグレード(進化)がしやすいように、あらかじめワイヤーハーネスやセンサー取り付け台をクルマに装備しておく(アップグレードレディ設計※トヨタ初)など、装備を後付けできるような設計をクルマづくりの段階から施しています。

---:これは、希望すれば後から付けてもらえるのですか。

曽根原:そうです。もちろん新車をお選びいただく際にも選択できるのですが、その時に仮に選択しなかったとしても、後々やっぱり必要だと思った時に追加できるような設計にしていただいています。

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---:なるほど。この月額16,610円という価格は安く感じますね。

曽根原:初期費用フリープラン(7年契約)、ボーナス払いあり、追加オプション無しで16,610円になっているのですが、ボーナス払いではなくても、旧型プリウスのうちUグレードと車両価格が同水準のグレードと比較すると新型にもかかわらず、1割程度安い月額に設定しています。

これには実はからくりがありまして、先ほど申し上げたようなクルマのアップグレードができるということと、コネクティッド技術でクルマの状態を見守り続けるということによって、クルマの価値を維持し、本来下がるクルマの価値との差分を、月額利用料の引き下げに使っているということです。

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---:コネクティッドでクルマの状態を見守るというのは、具体的にはどのようなことをするのでしょうか。

曽根原:二つありまして、一つは安全運転の支援です。お客様のブレーキの踏み方やウィンカーの出し方、こういったところのデータを分析して、もっと安全運転できますよというアドバイスをしています。

もう一つが、例えば、クルマのデータからエンジンオイルの汚れ具合を察知して、これまでのように一定距離を走行したら交換してくださいということではなく、本当に車にとって最適なタイミングでメンテナンスを施すということで、これまで以上にクルマを良い状態で乗り続けていただけるというようなことを想定しています。

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---:アップグレードやコネクティッドによって、KINTOで提供しているクルマは比較的良い状態で返ってくるであろうということですね。

曽根原:それを見越して、その分月額利用料をお手軽価格に設定しています。

---:今お聞きしたアップグレードやコネクティッドというサービスは、普通に売っているプリウスにはないということでしょうか。

曽根原:今はないです。月額利用料を下げるというところまでやろうとすると、サブスクの業態、もしくはクルマが100%返ってくる状態じゃないとなかなか金額に反映できないということです。ただ技術そのものとしては、トヨタとしても広げたいという意向があります。

---:なるほど。クルマが戻ってくるという前提があるから、工夫できることがあるということですね。これには可能性を感じますね。KINTOだとプリウスの納期はどれくらいですか?

曽根原:新型プリウスUグレードに関しては、今ならご契約から1.5~2ヶ月程度でご案内しています。(2023年2月6日時点)

---:2ヶ月は早いですね。それだと大人気になりそうですね。

曽根原:プリウス効果で、2023年1月は創業以来最大のお申し込みをいただいた月でした。

---:なるほど。納期も早いし、プリウスを狙っている方はKINTOも一つの候補になりそうですね。

曽根原氏が登壇する無料のオンラインセミナー「2023年「クルマ×金融」各社の挑戦~サブスク・リース・法人・個人・新車・中古車~」は2月24日開催。申込締切は2月22日正午まで。セミナーの詳細はこちらから

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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