鈴木亜久里とオートバックスの「ARTA」が初のショップ、高付加価値をめざす 5月12日にオープン

ARTA MECHANICS&INSPIRATIONS
ARTA MECHANICS&INSPIRATIONS全 14 枚

元レーシングドライバーの鈴木亜久里氏とオートバックスセブンが立ち上げたレーシングスポーツブランド「ARTA」は、初のコンセプトストア“ARTA MECHANICS&INSPIRATIONS”を東京新木場に5月12日にオープンする。メディア向け内覧会で、このブランドやショップに関して関係者に話を聞いた。

オートバックスセブン広報・IR部広報課の宇留間裕実さんオートバックスセブン広報・IR部広報課の宇留間裕実さん

◆若手の経営層やエグゼクティブ層に向けて

---:初めにお伺いしたいのは、ARTAとはどういうブランドなのでしょう。

オートバックスセブン広報・IR部広報課の宇留間裕実さん(以下敬称略):25年前にARTAは発足しました。元々は若手のドライバー育成などを、鈴木亜久里さんとオードバックスとで立ち上げたプロジェクトでした。その後、およそ今から5年前からリブランディングに取り掛かりました。それまではレーシングチームとしてのブランドだったのですが、モータースポーツブランドにしようというものです。そこから高付加価値に昇華させていくことに取り組みを始めました。

鈴木亜久里氏鈴木亜久里氏

何をやったかというと、まず世界観をしっかりと整えることでした。SUPER GTのレース会場などで物販ブースを出して、ワゴンにごちゃごちゃと乗せて量販店のようなやり方で応援グッズなどを売っていたのですが、セレクトショップのセンスを持ち込み、きれいに並べるようにしたのです。

ARTA MECHANICS&INSPIRATIONSARTA MECHANICS&INSPIRATIONS

その次にやったのがスイスの高級機械式腕時計のクストスとコラボレーションして、アパレルのライン、ARTA CVSTOSを出しました。若手のエグゼクティブ層、経営者層を狙って、アスリートや経営者層の移動着というコンセプトからスタートしました。リラックスできて、しかし人に会うときにスマートで綺麗に体が見えるものです。普段、トライアスロンをやっていたり、ジムに行くなどで体にしっかりと投資する経営者層の方々の体が綺麗に見えるような、そんな洋服をいつの時代でも飽きられることなく、シンプルに着られるイメージでリリースしています。

ARTA MECHANICS&INSPIRATIONSARTA MECHANICS&INSPIRATIONS

去年(2022年)はさらにクルマを出しました。これはカスタムカーブランド、ARTA MECHANICSとして、日本車をカスタムしてスポーツカーに仕上げるというもの。このターゲットもアパレルラインと同じように若手の経営者層、エグゼクティブ層を狙って高付加価値のものとしました。これまでその方たちがスポーツカーを自分のステータスとして乗りたいとなった時に、輸入車しか選択肢がなかったわけです。

しかし、日本車でもこんなに格好良いんだ、こんなにスタイリッシュな日本車があるんだと思ってもらえるようなものづくりをしようと、第一弾はホンダ『NSX』をベースにした『リガヴェロ』を2022年の東京オートサロンでローンチしました。続いて2023年のオートサロンではトヨタ『86』をベースにした『ヴィゲイル』を発表しました。

リガヴェロリガヴェロヴィゲイルヴィゲイル

ここまで、グッズやアパレル、そしてクルマとどんどんリリースしていったのですが、肝心の実際に見られる場所、実際に手に取って買える場所がなかったのですね。いままでは全てウェブで表現してきたわけです。ここからさらに発展していくためには、実際にご覧いただける場所があり、ファンの方たちをはじめスポーツカー好きの方たちが集まることができるプラットフォームを作ることで、一気に発展していくだろうと考えました。そこでこのお店をオープンすることになったのです。

◆何より日本車であるということ

---:クルマを作るにあたっては、NSXや86など日本車をベースにしています。なぜそうしているのでしょうか。

宇留間:我々オートバックスという会社がここまで大きくなることができたのは、まさに日本メーカーのクルマがあってこそなのです。日本メーカーがクルマを日本中に販売することで、そのクルマを購入された方がオイル交換や、必要なクルマ用品を購入しに来てくださるという、我々はそのアフターマーケットで成長してきました。ですから日本メーカーに対して非常に強いリスペクトがあるのです。

でも一方で、先ほどお話ししたエグゼクティブ層の方たちがスポーツカーを街で格好良く乗りたい、ステータスの高いものが欲しいとなった時に、輸入車という選択肢がすごく強いのが今です。そこで、日本車がもっともっと輝いて欲しいという思いから、日本車にとって代わってということではなく、三極的な立ち位置、すなわち日本車、輸入車、そしてもうひとつ日本車をカスタムした価値のあるクルマを出す。そのことで、スポーツカー業界やモータースポーツ全般が新しい選択肢を手に出来るようになる。そしてその結果として、この世界がもっと広がり、盛り上がるのではないかという思いでやっています。

ですから、カスタムも全て日本製で、ハンドメイドです。我々はハンドメイドインジャパンといっています。

◆クルマであることがキーワード

---:ショップに関してですが、5月12日にオープンするということですね。ここが第一店舗目で今後各地に展開していくのか、それともここのみで訴求していくのでしょうか。

宇留間:明確に第二店舗目を計画しているわけでもなく、ここで終わりと決めているわけでもありません。まずはこのショップをモータースポーツファン、スポーツカーファン、ARTAのファンたちが、行ってみたいよねとか、行ってみたらめちゃくちゃ良かったよというような場所にしたいと思っています。そういう意味でも、商業地として完成されていない新木場という場所を選んだのも、こういったところにこそ我々はチャンスがあるという考えているからです。

---:ARTAとして絶対に外せない核のようなものは何でしょう。

宇留間:製品でいえば、まさしくクルマになるでしょう。オートバックスとして、様々なブランドを展開していますが、その全てはカーライフにつながるものとです。もちろんアパレルも大事ですし、クストスとしてコラボしている時計も大事ですけれども、我々は何よりもまずはクルマというところは譲れないところですね。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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