“小ベンツ”以上のインパクトがあった最小のメルセデス『Aクラス』【懐かしのカーカタログ】

メルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログより
メルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログより全 13 枚

1993年のIAA(フランクフルトショー)で『ヴィジョンA93』なる新コンセプトの超小型車を発表。このクルマを源流に、“スタディA”を経て、1998年に日本市場にも登場したのが、市販車版のメルセデスベンツ初代『Aクラス』だった。

メルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログよりメルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログより

“新発明カテゴリー、メルセデス・ベンツAクラス”。最初の日本仕様のカタログを開くとそんなコピーが記されている。全長×全幅×全高=3605×1720×1575mmの短く幅広く背の高い独特のプロポーションは、とにかく目を惹くもの。“小ベンツ”などと言われた、最初の『190E』が登場したとき以上のインパクトをもっての登場だった。

メルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログよりメルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログより

メルセデスベンツの量産車では初めてのエンジン横置きのFF車。さらに“サンドイッチコンセプト”と呼ばれた、2重のフロアの間にフレーム、サイドメンバーを挟む構造を採用。万一の正面衝突時にパワートレインが床下に滑り込むように落とす仕組みと、高い位置に座る乗員がサイドからのインパクトを受けにくくするレイアウトになっていた。

メルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログよりメルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログより

ちなみにエンジンもシリンダーが前方に59度傾斜した専用設計で、当初は4気筒の1.6リットルが用意され、これに5速ATが組み合わせられた。ちなみにヴィジョンA93では、電気モーターの設定も想定されていた。

メルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログよりメルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログより

室内空間は、高めの着座位置によりスムースな乗降性を実現。ただしフロアは後席を含めフラットだったが、やや高めのため、実用にはなる……そんな程度の空間だった。後にホイールベースを170mm伸ばした“L”が追加設定(2001年)され、このボディでは後席スペースに余裕をもたらした。

メルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログよりメルセデスベンツ Aクラス(初代)のカタログより

また初代Aクラスというと、デビュー早々にとあるメディアが実施したいわゆるエルクテストでクルマの横転が発生、メルセデス・ベンツではすぐさまこれに対応。ESP(横滑り防止機構)、BAS(自動ブレーキアシスト)の追加とダンパー、スプリングのスペック変更と車高ダウン、それとタイヤサイズの変更(175/65R15→195/50R15)が改良点。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 洗車機=傷が付くはもう古い! 最新洗車機の凄さとプラスアルファの洗車法
  2. トヨタがインドで新型SUV『アーバンクルーザー・タイザー』を発表…Aセグメント再参入[詳細写真]
  3. 夜行高速バス「ドリーム号」、深夜の乗務引継ぎを見学する
  4. メルセデスAMG『E53』新型、612馬力の電動セダンに…欧州受注開始
  5. 【ヤマハ XSR900GP】開発者が語る「ただの80年代オマージュやレプリカを作ったわけじゃない」
  6. 3万ドルなら大人気確定!? テスラの新型コンパクトEVは『モデル2』か否か?
  7. AC コブラGTロードスター…過去と現代が織りなすデザイン[詳細画像]
  8. フォルクスワーゲン『ゴルフ』改良新型はよりシャープな表情に[詳細画像]
  9. [音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファーの小型・薄型モデルでは、振動板サイズとボディの堅牢さを要チェック!
  10. カヤバが解説するサスペンションの全貌
ランキングをもっと見る