北海道新幹線並行在来線のバス転換に懸念…小樽市長「代替交通プランの協議は担保なしで進まない」

余市駅前十字街停留場を発着している北海道中央バスの札幌直通便。2022年4月2日。
余市駅前十字街停留場を発着している北海道中央バスの札幌直通便。2022年4月2日。全 4 枚

北海道小樽市の迫(はざま)俊哉市長は3月31日に開かれた定例会見で、北海道新幹線の並行在来線問題について記者の質問に答えた。

函館本線・長万部~小樽間は2022年3月に開かれた北海道、小樽市、余市町による3者協議の結果、全線バス転換の方針が決まったが、その後は北海道から代替交通プランの概要が示されたのみとなっており、協議を行なう後志ブロック会議も2022年11月から開かれていない。

しかし、その間、北海道新幹線の建設では、トンネル工事における発生土の受入れ難や地表部の陥没、予期せぬ堅固な岩盤との遭遇などにより一部の工区が計画より3~4年工事が遅れたことにより、2030年度末の開業は「非常に厳しい状況」とされている。

さらに「予期せぬ自然条件への対応」「着工後に生じた関係法令改正等への対応」「着工後の関係者との協議等への対応」「着工後の経済情勢の変化への対応」が生じたとして、当初予算が大幅に見直されることになり、3月31日には独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)から申請があった工事予算の変更等申請が国土交通省から認可され、額を約2兆3159億円に変更することが決まった。

北海道新幹線札幌延伸工事の予算変更内容。6445億円の増額が認められた。北海道新幹線札幌延伸工事の予算変更内容。6445億円の増額が認められた。

これは当初予算より6500億円近い増額となり、北海道新幹線札幌延伸を巡っては厳しい状況が続いている。

当然、これらの動きは並行在来線問題にも波及することが予想されるが、迫市長は「我々としては、どちらかというと受け身の状況」とした上で、ドライバーの不足や高齢化が懸念されるバス転換については「今、人手不足が叫ばれる中で、バス事業者も同じ課題を抱えているということについては、私も関係者から聞いていますので、次回のブロック会議の中では、将来に向けて、今、示されているようなプランが担保されるのかどうかと言うことについて、ブロック会議の中で、私としてもしっかりと意見を申し上げていきたい」と述べた。

そして、それが解決できない限り、JR北海道からの支援や廃止前倒しの議論は進まないという考えを示しており、場合によっては次の後志ブロック会議でバス事業者から意見を聞く機会を設けることを、北海道に進言する考えも示した。

このほか迫市長は、仮称となっている北海道新幹線・新小樽駅の駅名について問われたが、仮称のままなのか、小樽をPRする名にするのかという方向性については、駅名を決定するのはJR北海道としながらも、「他の地域と比べて、小樽そのものが持つネームバリューやインパクトがありますから、何か違った名前やユニークな名前というよりは、むしろ小樽という名前を生かしたほうが、多くの方々に伝わるのではないかという思いはしています」と述べている。

(仮称)新小樽駅の周辺整備イメージ。開業後は中心部の小樽駅とのアクセスも注目される。(仮称)新小樽駅の周辺整備イメージ。開業後は中心部の小樽駅とのアクセスも注目される。(仮称)新小樽駅の位置。倶知安~札幌間に位置する。(仮称)新小樽駅の位置。倶知安~札幌間に位置する。

《佐藤正樹》

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