【スバル クロストレック 新型試乗】“骨太”に進化、理屈ではなく純粋に楽しめるSUVだ…島崎七生人

スバル クロストレック
スバル クロストレック全 16 枚

初代『インプレッサ』時代の「グラベルEX」(1995年)、3代目インプレッサ時代の「インプレッサXV」(2010年)を経て、『XV』として独立したのが2012年。そこから数えて早11年となる今年、XV改め『クロストレック』として登場したのが今回の新型だ。

【画像全16枚】

◆より骨太になったデザインとパッケージング

背が高く分厚く四角いのがSUV……そんなアメリカ市場の指向に合わせて、新しい外観スタイルは生まれたのだそう。確かに従来の“XVイメージ”を受け継ぎつつ、全体の雰囲気はより骨太な印象になった。

大型化されたフロントグリル(とダイナミックな内側のパターン)は新旧で較べると押し出し感が増した。またクラッディングと呼ばれる、黒色の樹脂部分も、バンパー左右で天地に視線を誘い、ホイールアーチ部分も、アーチに丸く均等に沿わせるのではなく、スタイリング上のアクセントになるようにひと手間加えた形状になっている(クラッディング表面の菱形パターンのシボは、資料を見るとダイヤモンドカットと記されていた)。

ボディサイズは従来型XVに対して全長はマイナス5mmの4480mm、全幅の1800mm、ホイールベースの2670mmは変わらず。全高は1580mmで新旧のカタログの諸元表を見較べるとややこしかったのだが、メーカーの資料を見直すとルーフレール付き車のシャークアンテナまでの最大値で従来比ー15~+5mmとあっさりと表記があった。アンテナ、レールなしの場合はー30mmとあり、それであれば1550mmで立体駐車場問題をクリアしているという訳だ。最小回転半径の5.4mは旧XVとクロストレックは同じだ。

インテリアでは上級車並みの11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイ(Limitedに標準)が目を惹く。全体の印象としては上質な味わいで納得がいく。

◆理屈ではなく、純粋に楽しめる仕上がり

今回の試乗は一般公道ながら限られた時間と決められたルートでのもの。なので心ゆくまで……とはいかなかったまでも、クロストレックの「おっ!」と思わせられる上々の仕上がりぶりを実感した。

まず何といってもいいのがシートで、運転席に関して言えばクッション云々ではなく新構造と骨格、形状で身体をシッカリと受け止めてくれるため、運転中に姿勢が崩れず実に快適で、まさにクルマとの一体感を味わわせてくれた。乗り味もさらによくなっており、ルーフ部分の造りが新しくなるなどした恩恵で、走行中の不快に感じる音圧、振動も相当に少ない。

パワーユニットが水平対向4気筒の2リットルエンジン+モーターということもあり、動力性能は常に余力を残している印象で、スムースさも印象的だった。試乗した2グレード(いずれもAWD)ではタイヤサイズの違い(Limited:225/55R18・ファルケン、Touring:225/60R17・ヨコハマ)があり、Touringの17インチがより直進性を強調しているのに対し、Limitedの18インチはすべてのシーンで一定の感触、表情を示す……そんな印象をもった。

アイサイトはさらに充実し、安全運転支援関係の機能も心強さを増した。理屈ではなく、使いこなすことと走らせることを純粋に楽しめる、そういうクルマに仕上げられている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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