改正地域公共交通活性化再生法の成立に愛媛県知事が危惧…JRの再編なども議論に

北宇和島~真土間が愛媛県内に入るJR四国予土線。2021年度の営業係数はJR四国のワースト1に。
北宇和島~真土間が愛媛県内に入るJR四国予土線。2021年度の営業係数はJR四国のワースト1に。全 1 枚

愛媛県の中村時広知事は4月27日の定例会見で、4月21日に成立した改正地域公共交通活性化再生法について記者の質問に答えた。

この法律は鉄道事業者と沿線自治体とのローカル線協議において、存廃ありきではなく、鉄道や路線バスなどを含めて、利便性や持続可能性、生産性が高い地域公共交通ネットワークを構築し直すことを目的としたもので、国が再構築協議会を設置する形で介入し、中立的な立場から関係する鉄道事業者や沿線自治体、利用者の耳を傾けるとともに、新たに創設する調査・実証事業を活用して客観的な事実とデータに基づき議論を促すとしている。

対象は平常時の輸送密度が1000人/日未満で、自治体と比較的連携しやすい第3セクター鉄道を除いた線区とされており、JR四国が公表している2021年度の線区別収支によると、愛媛県内の場合、予讃線・向井原~伊予大洲間と予土線・北宇和島~若井間の一部が該当している。

法律の成立について中村知事は「こういった形になるとすぐに存廃やバス転換という議論になり、危惧を感じている」とした上で、分割されたJRのままで鉄道のネットワークを維持することができるのかどうかという議論も必要ではないかと述べ、JR各社間の収益格差やJRの再編など、根本部分に踏み込む言及もしている。

また、知事はローカル線に対して利用促進などの協力は惜しまないとしているが、JR四国に対しては国が株主となっている特殊法人であるという性格上、情報開示がなされず、提言ができにくい体質があるため、できるだけ開示を行ない、社外の意見や協力を採り入れる態勢をつくってもらいたいと述べた。

ちなみにJR四国から愛媛県に対しては現時点で意見交換の打診はあるものの、法律による再構築協議会の申し入れはないという。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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