走りは? 快適性は? アルファード&ヴェルファイアvsエルグランド…国産Lサイズミニバン比較

トヨタ・アルファード(左)と日産エルグランド
トヨタ・アルファード(左)と日産エルグランド全 31 枚

トヨタ『アルファード』&『ヴェルファイア』と日産エルグランド』は、両車ともにLサイズのボディを備えた上級ミニバンだ。最近は2列目シートに重役などが座るLサイズセダンのようなニーズも増えてきた。

◆外観デザイン&ボディサイズ比較

日産エルグランド日産エルグランド

両車ともに全長は4900mmを上まわり、全幅は1850mmに設定される。外観は堂々としているが全高は異なる。アルファード&ヴェルファイアが1935~1950mm、エルグランドは1815mmだから100mm以上低い。

フロントマスクも全高に合わせたデザインで、アルファード&ヴェルファイアは、立派に見える存在感を強調する。エルグランドは全高が低めで、全幅の数値を下まわる。つまりエルグランドのボディは横長で、外観でも重心の低さが感じられ、フロントマスクもスポーティだ。アルファード&ヴェルファイアの縦長のボディとは対称的にデザインされている。

◆インテリア&居住性比較

トヨタ・ヴェルファイアトヨタ・ヴェルファイア

内装にも外観と同様のことが当てはまる。アルファード&ヴェルファイアは光沢の強いパネルや装飾が使われ、高級感を明確に表現する。

対するエルグランドは、上質ではあるが、引き締まり感も伴う。特にアルファード&ヴェルファイアと異なるのは、運転席に座った時の印象だ。アルファード&ヴェルファイアは、サイドウインドーの下端が低めで視界が良く、開放感を伴う。その点でエルグランドは、サイドウインドーの下端が高めで、視界では不利だが囲まれ感はある。スカイラインなど、Lサイズセダンの運転席に座っているような雰囲気だ。

両車ともLサイズミニバンとあって多人数乗車を可能にするが、3列目が広々としているのはアルファード&ヴェルファイアだ。エルグランドは全高が低いこともあって、3列目の居住性はミドルサイズミニバンに近い。

◆荷室などの使い勝手比較

トヨタ・アルファードトヨタ・アルファード

両車ともに3列目シートを格納すると荷室を拡大できる。格納の仕方は、アルファード&ヴェルファイアは3列目を左右に跳ね上げる方式だ。格納時に3列目が荷室側へ張り出すが、荷室の床が低く、重い荷物も積みやすい。

エルグランドは3列目の背もたれを前側に倒す。そのために荷室の床が高まるが、3列目の張り出さないスッキリした空間に変更できる。

◆運転のしやすさ比較

日産エルグランド・ハイウェイスター・ジェットブラックアーバンクロム日産エルグランド・ハイウェイスター・ジェットブラックアーバンクロム

両車ともに視線の位置が高く遠方が見やすい代わりに、ボディの左側面は死角が大きい。縦列駐車や車庫入れをする時は、パノラミックビューモニターやアラウンドビューモニターに頼る。最小回転半径は、アルファード&ヴェルファイアは5.6~5.8m、エルグランドは5.7mだ。

◆走行性能&乗り心地比較

日産エルグランド・ハイウェイスター・ジェットブラックアーバンクロム日産エルグランド・ハイウェイスター・ジェットブラックアーバンクロム

アルファード&ヴェルファイアが搭載するエンジンは、直列4気筒2.5Lと、2.5Lのハイブリッドが主力だ。アルファードはV型6気筒3.5Lも用意する。

売れ筋の2.5Lノーマルエンジンは、動力性能はさほど高くないが、加速が滑らかで静粛性も優れている。特にハイブリッドは快適性も高い。V型6気筒3.5Lは、筒内噴射とポート噴射を併せ持つ高コストなエンジンで、4000回転を超えた領域の吹き上がりも活発だ。

エルグランドのエンジンは、直列4気筒2.5LとV型6気筒3.5Lで、ハイブリッドは用意されない。売れ筋の2.5Lは、排気量の割に2500~3500回転の実用域で高い駆動力を発揮する。街中から高速道路まで運転しやすい。

乗り心地はアルファード&ヴェルファイアが快適に仕上げた。エルグランドは少し硬めの印象だが、操舵に対する車両の動きが少し機敏だ。

◆燃費性能比較

アルファード&ヴェルファイアのWLTCモード燃費は、2.5Lノーマルエンジンの2WDが10.6~10.8km/L、3.5Lは9.9~10.2km/L、ハイブリッドは4WDのみで14.8km/Lになる。3.5Lは燃焼効率が優れ、排気量が大きくてパワフルな割に、燃費数値の悪化率は小さい。エルグランドの2WDは2.5Lが10km/L、3.5Lは8.7km/Lだ。

◆おすすめのユーザー

アルファード&ヴェルファイアは、広くて豪華というLサイズミニバンのメリットを重視するユーザーに適する。ハイブリッドが欲しい場合も、必然的にアルファード&ヴェルファイアになる。

エルグランドは走行安定性が優れ、車内は囲まれ感も強く、スポーティな雰囲気だ。4名以内で乗車するセダン的な価値観を求めるユーザーに適している。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 軽自動車よりも小さい! 15歳から運転できるオペル、約132万円から販売
  2. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  3. 王者アルファードを超えるか? メルセデスベンツの次世代高級ミニバンに熱視線!「車の域を超えてる」
  4. 「車種専用カット」にこだわった「超撥水ドアミラークリアシート」ハセプロが発売
  5. DSの新型プレミアムハッチ『N°4』、ハイブリッドは3万9000ユーロから
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. シェフラーがヴィテスコ合併後初の出展、ポートフォリオ拡大と顧客対応力をアピール…人とくるまのテクノロジー展2025
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. デンソーとローム、半導体分野で戦略的パートナーシップに基本合意
ランキングをもっと見る