LCAに対応した生産システムの革新【LCAが変える自動車の未来 第10回】

デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みとLCA対応の関係性

生産システムのあるべき姿を実現するための課題と対応

図1 DXの取り組みとLCA/カーボンニュートラルの関係性
図1 DXの取り組みとLCA/カーボンニュートラルの関係性全 3 枚

デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みとLCA対応の関係性

近年、テクノロジーの急速な発展に伴い、生産活動におけるデータの取得が容易となり、クラウド上の各種サービスを活用することで、データを使った価値創出も手軽にできるようになってきた。一方、LCAへの取り組み強化がビジネスの存続に大きな影響を与えることになり、製造業各社は情報開示やカーボンニュートラル実現のための対応に追われている。これら2つのメガトレンドは手段と目的の関係性にあり、並行して取り組みを行う必要がある。LCA対応の検討を行う際には、DXの活動への理解と投資は必要不可欠なのだ。

技術トレンドとしては、IoTデバイスの低価格化があり、これまで取得困難だった生産実績データがリアルタイムで収集できるようになった。また、クラウドサービスも発展して安価に使えるようになり、取得したデータを蓄積する環境も整ってきた。さらに、AIによる分析ツールが発達し、特別なエンジニアリングスキルを有していなくても高度な分析や将来予測が容易となり、それらのデータを使う価値創出も迅速にできるようになった。現在、このようなDXによる業務改革の取り組みが加速している(図1)。

図1 DXの取り組みとLCA/カーボンニュートラルの関係性

実際にこうした取り組みによって、何が実現されるのだろうか。まずDXの提供価値としては、データ活用による顧客起点の価値創出があり、自社に目を向ければ、業務の効率化や生産性の向上がある。一方、環境負荷低減施策の視点としては、LCAによる顧客への公正な情報開示や温室効果ガス(GHG)排出量の削減(カーボンニュートラル)がある。

前述したように、このDXの提供価値と環境負荷低減施策の視点は、それぞれ手段と目的の関係性にあり、並行して取り組みを行っていく必要がある。

製造領域におけるカーボンニュートラル達成のためには、GHG排出量を正確に把握して収集できる環境整備を行い、目標達成に向けて戦略的に取り組む必要がある。

まず準備フェーズとして、全社目標に基づくGHG排出量削減目標の設定と、GHG排出実績把握のためのデータ収集と蓄積環境の整備が求められる。具体的な目標達成に向けた取り組みとしては、ファーストステップとして、エネルギー調達を含む物流最適化のためのアロケーションの検討など、ネットワークの最適化がある。


《PwC Japan合同会社》

アクセスランキング

  1. 真夏のダッシュボードが20度以上低下!? 驚きの遮熱サンシェード新時代[特選カーアクセサリー名鑑]
  2. スズキ『エブリイ』が災害時は「シェルター」に、軽キャンピングカーの新たな可能性
  3. メルセデスベンツ『CLA』新型、第4世代「MBUX」にセレンスの会話型AI技術搭載
  4. トヨタ『ランドクルーザー』公式アイテム、2025年夏の新作発売へ
  5. 世界最強の2.0ターボ搭載車に幕、メルセデスAMG『CLA 45 S』最終モデルが登場
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. トヨタや京大、全固体フッ化物イオン電池開発…従来比2倍超の容量達成
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る