【三菱 トライトン 新型】日本導入はダブルキャブ仕様、トヨタ『ハイラックス』に真っ向勝負

三菱 トライトン ダブルキャブ・アスリート
三菱 トライトン ダブルキャブ・アスリート全 14 枚

7月26日、三菱自動車工業は主力モデルとなるピックアップトラックの『トライトン』をフルモデルチェンジ、タイ王国の首都バンコクで世界初公開した。盛大におこなわれたワールドプレミアの様子を現地の写真とともに紹介する。

発表会の会場として選ばれたのはバンコク市内にある国際会議場の「QSNCC(クィーン・シリキット・ナショナル・コンベンション・センター)」。QSNCCは2022年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会場としても使われた巨大な施設。展示面積は3万5000平米にもなり、これは幕張メッセの1~5ホールを合計した面積よりも広い。日本の新車発表でも、単一のモデルでこれだけの大きな会場が使われることはまずないことである。会場にはタイのメディアだけでなく、オーストラリア、マレーシア、そして日本など数か国のメディアを招待。ワールドプレミアらしい盛大なものとなった。

トライトンのアンベール後にスピーチする三菱自動車工業の加藤隆雄社長トライトンのアンベール後にスピーチする三菱自動車工業の加藤隆雄社長

◆三菱車のルーツ=トライトンの歴史

三菱のピックアップトラックは1978年に市場導入された『フォルテ』にそのルーツを持つ。フォルテから派生したSUVが『パジェロ』であり、さらにそこから発展したミニバンが『デリカ スターワゴン』であることを考えると、まさに三菱のルーツ的な存在であることがわかる。

フォルテは1986年にフルモデルチェンジを受けて、『ストラーダ』となる。ストラーダは1996年にフルモデルチェンジを受け、2世代に渡って製造されたモデル。両モデルともに国内でも販売されている。そのストラーダは2005年にフルモデルチェンジされトライトンと名前を変えた。

トライトンは2014年に最初のフルモデルチェンジを迎え、2代目に移行。そして今回2023年、フルモデルチェンジを受けて3代目となった。新型トライトンは三菱のピックアップトラックとしては6代目、トライトンとしては3代目ということになる。

なお、トライトンという車名はタイや日本などで使われているもので、オーストラリアなどでは『L200』と呼ばれる。

さまざまなタイプのトライトンが展示されたさまざまなタイプのトライトンが展示された

先代モデルが輸入されていないトライトンのワールドプレミアに日本のメディアやジャーナリストを呼んだのにはわけがある。三菱は2024年初頭にもトライトンの日本導入を予定しているのである。ワールドプレミアが行われた2023年7月26日からはタイで販売を開始、今後アセアン各国、オセアニア地区での販売を開始し、2024年に日本での販売を開始する予定だという。

2023年秋には「東京モーターショー」から名前を変えた「ジャパンモビリティショー」が開催されるので、その場で何からの展示が行われるのは必至であろう。

◆日本導入はダブルキャブ仕様、ハイラックスのライバルに

三菱 トライトン ダブルキャブ・アスリートのフロントスタイル三菱 トライトン ダブルキャブ・アスリートのフロントスタイル

新型トライトンは従来どおりラダーフレームを採用するモデル。従来型よりも強化された新開発のフレームは断面積を65%増やし曲げ剛性で60%、ねじり剛性で40%の向上を実現。ハイテン鋼の採用比率を増やすことで重量増を最小限に抑えていることも特徴的だ。ハイテン材の採用はフレームだけではなくボディにも及ぶ。ボディは従来型と比べると、軽く仕上げられているとのことだ。

ボディタイプは左右1対のヒンジドアを持つシングルキャブ、左右2対のヒンジドアを持つダブルキャブ、観音開きドアを1対持つクラブキャブの3つのボディタイプを用意。クラブキャブはシートの後ろ側に荷物搭載スペースを確保するとともに、リクライニング量を確保している。

日本に導入が予定されているダブルキャブは全長×全幅×全高が5320×1865×1795(mm)、ホイールベースが3130mm。トヨタ『ハイラックス』の外寸が同5340×1855×1800(mm)、ホイールベースが3085mmなので、ほぼ同サイズであることがわかる。

三菱 トライトン ダブルキャブのリヤスタイル三菱 トライトン ダブルキャブのリヤスタイル

搭載されるパワーユニットは直列4気筒2.4リットルのディーゼルのみ。仕様により出力が3種あり、もっともパワーのある仕様は新型ターボチャージャーと新たな燃焼方式を採用し150kW/470Nmを獲得。残りの2種はVGターボチャージャーを採用しタービン容量を可変することでアウトプットを制御、標準タイプが135kW/430Nm、もっともおとなしい仕様が110kW/330Nmとなる。

組み合わされるトランスミッションはスポーツモード付きの6ATと6MTの2種。通常、縦置きエンジンのMTはシフトレバーが直接ミッションケース内のシフトロッドをスライドさせるが、新型トライトンでは横置きエンジンのようにワイヤーを介することで、レバーへの振動を低減している。

◆SUV的な使い勝手、先進安全機能も充実

三菱 トライトン ダブルキャブ・アスリートのリヤスタイル三菱 トライトン ダブルキャブ・アスリートのリヤスタイル

サスペンションはフロントがコイルスプリング式のダブルウィッシュボーン、リヤはリーフ式リジッドで左右のショックアブソーバーをホーシングの前後に配置する“ちどり配置”を採用。ステアリング機構はタイロッドをフロントアクスルの前側に配置するいわゆる“前引き”となる。

4WD方式はシンプルなイージーセレクト4WDと、かつてのパジェロなどに採用(先代トライトンにも採用)された三菱が誇る高機能4WD方式であるスーパーセレクト4WD-IIの2種。スーパーセレクト4WD-IIは、後輪駆動の「2H」、フルタイム4WD(前後トルク配分が変化する)となる「4H」、センターデフを直結状態とする「4HLc」、センターデフ直結で減速比を下げる「4LLc」の4種。

ドライブモードは「ノーマル」、「エコ」、「グラベル」、「スノー」、「マッド」、「サンド」、「ロック」の7種を設定。「ノーマル」はすべての4WDモードで適用となる。「エコ」は2Hのみ選択可能、4Hでは「グラベル」と「スノー」が選択可能、4HLcでは「マッド」と「サンド」が選択可能、4LLcでは「ロック」が選択できる。

三菱 トライトン アスリートのインパネまわり三菱 トライトン アスリートのインパネまわり

スーパーセレクト4WD-II搭載モデルについては、アクティブヨーコントロール(AYC)も搭載される。AYCはコーナリング中にフロント内側のブレーキを作動させることで旋回性能を向上することが可能。また、タイヤが空転した際には空転している車輪に対して独立してブレーキを作動させるアクティブLSDも採用され、悪路走破性や滑りやすい路面での安全性を向上している。

ピックアップトラックとはいえ、日本ではSUV的な使い方をされるモデルである。そのためADAS関連についても、レーダークルーズコントロール(ACC)、衝突軽減ブレーキ(FCM)、後側方車両検知警報システム(レーンチェンジアシスト機能付)、後退時交差車両検知警報システムなどを装備し安全性を向上。三菱コネクトも搭載され、万が一の際のSOSエマージェンシーサービスを確保。スマートフォンとの連携によって、車両駐車位置の確認や燃料やオイル状態の表示、リモート操作による乗車前エンジン始動なども可能としている。

2023年のアジアクロスカントリーラリーには新型トライトンで出場。左は増岡浩監督、右がドライバーのチャヤポン・ヨーター選手2023年のアジアクロスカントリーラリーには新型トライトンで出場。左は増岡浩監督、右がドライバーのチャヤポン・ヨーター選手

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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