【ホンダ N-BOX 新旧比較】軽自動車という制約の中でも感じる、確かな進化

ホンダ N-BOX 新型(左)と現行型(右)
ホンダ N-BOX 新型(左)と現行型(右)全 12 枚

2023年8月3日に、3代目ホンダN-BOX』の内外装が公開された。8月4日になると、ホンダの販売店では、価格を明らかにして先行予約受注も開始している。

【画像全12枚】

N-BOXのバリエーションは、基本的には先代型と同様で、標準ボディとエアロパーツなどを備える上級のカスタムに大別される。ここでは標準ボディについて、新旧モデルを比べたい。

◆外観は先代型を踏襲しつつも、より親しみやすいデザインに

外観の印象は先代型に良く似ている。N-BOXでは、車両の性格として、外観を大きく変えるのは困難であったからだ。

新型N-BOXの詳細な数値は不明だが、軽自動車だから、全長の3395mmと全幅の1475mmは規格枠いっぱいの大きさで変えられない。全高は軽自動車でも2000mmまで高められるが、従来型の1790mm(4WDは1815mm)と同じか、それに近い数値だろう。天井をさらに高くすれば、走行安定性の確保が困難になり、低く抑えると車内が狭まったり外観の存在感が薄れるからだ。

ホンダ N-BOX 新型(標準タイプ)ホンダ N-BOX 新型(標準タイプ)
ホンダ N-BOX 現行型ホンダ N-BOX 現行型

ウインドーやピラー(柱)の角度も大きくは変えられない。角度をさらに立てると外観の見栄えが不安定になり、寝かせると車内が狭まったりボックス感覚が低下する。N-BOXの外観は、2011年に発売された初代モデルで煮詰めていたから、現実的には変えにくいのだ。

販売面のニーズもある。初代N-BOXはヒット作になり、2017年に発売された2代目は、ほぼ毎年、国内の最多販売車種であり続けた。2021年は2位だが、この時の1位はヤリスで、そこにはコンパクトカーのヤリス、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスがすべて含まれる。ユーザーがクルマを選ぶ時の視点で、ボディタイプ別に見ると、2021年も実質的にはN-BOXが1位であった。こうなると売れ行きを落とせず、外観も変えにくい。

以上のような経緯で、新型N-BOXの外観は先代型を踏襲するが、フルモデルチェンジだからフロントマスクやボディパネルは変更された。まず標準ボディのヘッドランプは、丸型を継承しながら、周囲のリングを上下に二分割した。人の瞳を思わせる形状で、方向指示機やハザードランプを作動させると、リングの部分がオレンジ色になって点滅する。

フロントマスクの中央に装着されるフロントグリルも変更された。従来型はメッキを使った一般的な形状だったが、新型では丸い細かな穴をたくさん空けている。開発者は「シンプルな家電製品のような雰囲気に仕上げた」という。瞳を思わせるヘッドランプの形状と併せて優しい表情だ。

ボディサイドの表現方法も変化した。従来型では、前後のフェンダーやドアパネルに、明確なキャラクターラインを掘り込んでいた。そこを新型では、キャラクターラインを控え目に抑えて連続した面で見せている。これはボディをひとつの塊として捉える欧州車に多い手法だが、軽自動車の限られたボディサイズで使うのは難しい。キャラクターラインを抑えると、ボディパネルが薄く貧弱に見えてしまうのだ。この点も新型N-BOXは上手にデザインした。

ホンダ N-BOX 新型(標準タイプ)ホンダ N-BOX 新型(標準タイプ)ホンダ N-BOX 現行型ホンダ N-BOX 現行型

同様のことが後ろ姿にも当てはまる。従来型はキャラクターラインを積極的に使うが、新型の見せ方はシンプルだ。その上でリヤゲートの下側、つまりバンパーに相当する部分が張り出したような安定感を表現している。これも軽自動車の限られた全長を考えると、困難の伴うデザインであった。

なお標準ボディには、ファッションスタイルと呼ばれる外装のセットオプションも用意される。ドアミラーのカバーやアウタードアハンドルがオフホワイトになり、ホイールキャップもボディ同色のカラードタイプに変わる。外装色には個性的なイエローを含めて3色を用意した。

◆内装はメーターなどの変更で、配置が分かりやすくなった

※写真は新型N-BOXカスタムの内装※写真は新型N-BOXカスタムの内装ホンダ N-BOX 現行型ホンダ N-BOX 現行型

内装にも注目したい。従来型のインパネは、メーターを高い奥まった位置に装着していた。チェックする時の視線移動は少ないが、インパネに上下方向の厚みがあるため、小柄なドライバーは前方が見にくく感じられて圧迫感も生じる。

そこで新型は、メーターをステアリングホイールの奥に装着する一般的な形状に改めた。インパネ上端の位置が下がり、表面が平らになったから、斜め前側を含めて前方視界が向上している。その代わりメーターは従来型のアナログからデジタルに変わり、ステアリングホイールのスポークも、3本から2本に変更された。全般的にシンプルになっている。

収納設備は、従来型ではステアリングホイールの奥側にも配置したが、メーターの変更で廃止された。その代わりグローブボックスの容量を2倍に増やした。標準ボディでは、インパネなどの表面を壁材のように仕上げて、トレーはコルク風だ。後席の座り心地が柔軟になった効果もあり、車内全体のリラックス感覚が強まった。先に述べたフロントマスクの柔和なデザインも含めて、車両全体のデザインを穏やかに仕上げたことが、新型N-BOXの特徴になっている。

ホンダ N-BOX 新型(標準タイプ)ホンダ N-BOX 新型(標準タイプ)

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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