2ストローク3気筒にRR、スズキの技術を世に示した『フロンテ360』【懐かしのカーカタログ】

スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像
スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像全 7 枚

2023年8月末までに4輪車の世界累計販売台数8000万台を達成したスズキ。1955年発売の『スズライト』は日本初の軽4輪車として登場し、2世代続き、『スズライト・フロンテ』に発展。さらにその後継車として1967年に登場したのが『フロンテ360』だった。

◆2ストローク3気筒にRR、エンジニアリング的にも注目のフロンテ360

スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像

“フロンテ”名義で最初となるこのモデルは型式を“LC10”といい、2022年に追加設定された『ラパンLC』は、このクルマの型式に由来した車名とフロントデザインを、いわばセルフカヴァーとして活かしたモデルだった。

フロンテ360はスズキの4輪車の中で最初のフロンテというだけでなく、エンジニアリング的にも注目だったクルマで、それまでのスズライトがFFだったのに対して、まったく新しい設計のRR方式を採用。このことで足元の広さが魅力の室内空間を実現した。

スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像

搭載エンジンは軽4輪初の2ストローク3気筒356ccを搭載。“バランスがよく回転がなめらか……4ストローク6気筒に相当する機構”とカタログでは紹介されている。

サスペンションは前:ウイッシュボーン/後:トレーリングアームの全輪独立懸架、ラック&ピニオン式ステアリングを採用。3.9mという最小回転判型も実現していた。

スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像スズキ・フロンテ(LC10)当時のカタログ画像

また登場翌年の1968年には高性能版のフロンテSSも登場。アルミのシリンダーブロック、3キャブレターほかでチューンアップを施し、標準の25ps/3.7kg-mに対して最高出力を36psに高め(最大トルクは発生ポイントが4000→6500rpmに高回転化)、最高速125km/h、0-400m加速19.95秒を記録。

このフロンテSSは、発売前、あのスターリング・モス(元F1ドライバー)と伊藤光夫(マン島TTレースで日本人唯一の優勝者)をドライバーに、イタリアのアウトストラーダ・デル・ソーレ(太陽の道)でデモ走行を実施。ミラノ~ローマ間の750kmを平均速度122.44kmで走りきっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  2. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
  3. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
  4. ホンダ『CB1000F SE コンセプト』を世界初披露! カウルが付いてネオレトロ感アップ、MSショーからの変更点もチェック!
  5. 自動車購入の落とし穴! 公取協・公取委の警告から学ぶ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る